今の「個人社会」は偽物だ。どう偽物かというと、バーチャル空間でだけ個人主義が確立しながら、リアル空間ではそれが確立していないことだ。そのため、リアル空間で個人主義が確立すれば、それは本物の個人主義になったといえよう。
では、100年前の「偽物社会」はどうだったか?
100年前は偽物の「自由競争社会」だった。企業が自由競争しているように見えながら、それは一部の新興産業に限り、残りのほとんどは特権階級、既得権益層に独占されていた。全然「自由」ではなかった。
それで恐慌や戦争が起き、世の中が乱れた。そうした混乱を経て、本物の自由競争社会――企業社会が到来したのである。
では、50年前の「偽物社会」はどうだったか?
50年前は偽物の「情報化社会」だった。マスコミが発達して情報が自由に行き交っているように見えながら、実際は重要な情報を大手マスコミや特権階級が独占していた。本当に重要な情報は特別な地位
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