リチャード・ペイン・ナイトは1751年生まれの貴族だ。莫大な遺産を継いで国会議員なども務めたが、ほとんど名誉職のような感じだった。
それよりも、彼は貴族の出らしく「文化人」として生きた。莫大な領地を所有したことから造園に興味を抱き、たまたま隣人だったユーヴドール・プライスとともにランスロット・ブラウンのなだらかな庭を批判して、「ピクチャレスク論」を押し進めた。
ただ、ナイトの頃になるとそれはもはや単なる芸術論ではなく、ある種の政治的なイデオロギーへと転換していた。というのも、18世紀後半になるとにわかに起こった産業革命によって、新興のブルジョアたちが台頭してきた。ナイトら古くからの貴族たちは、そんな彼らに対抗する必要があったから、自分たちの優位性を誇示する論陣を張ったのだ。
それで、プライスやナイトは新興のブルジョアたちを「成金趣味」だと批判した。そうして、自分たちは彼らには分からない「侘
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