これは本当に知らない人が多いのだが、科学は科学的ではない。
例えば、最近もちょくちょく話題になるが、「優生学」というのは20世紀の前半までは立派な科学だった。「科学的に正しい」と科学的に証明されており、それに則ってナチスは人種隔離政策や虐殺を行った。
その後、優生学は科学的に否定され、あっさりと科学的ではなくなった。この一例からも分かるように、科学というのはきわめて「時代的」で、経年で簡単に変化する。また、きわめて恣意的でもあり、観察者によっても結果が大きく異なってくるのだ。
有名な「シュレーディンガーの猫」という概念がある。量子力学の世界では、観察者の「観察する」という行為が対象に影響を及ぼす。だから、「箱の中の猫は、箱を開けてみるまで存在するかどうか分からない」のだ。これは、観察は科学的に不可能――ということを表している。
この概念は、文化人類学の世界では古くから問題になっている。研究
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