多くの人が、「差別をしてはならない」と考えている。が、そのことが人の判断を狂わせ、結果として人間関係を阻害し、社会を混乱させている。なぜかというと、「差別をしてはならない」という考えは、端的にいって誤りだからだ。それを押し通そうとするので、無理が生ずるのである。
まず、この世から差別はなくならない。むしろ、差別がないと人間社会は存続しない。その意味では「必要悪」といえるかもしれない。しかし差別は、「悪」と呼ぶことすら憚られる、もっと奥の深い概念である。
なぜ差別がなくならないかというと、差別のない世界というのは、すぐに「新たな差別を生み出す」という矛盾に突き当たるからだ。
例えば、「貧乏人を差別してはならない」とする。平等に扱わなければならない、と。お金持ちと貧乏人の権利を同じにし、平等にしようとする。
ところが、これを実現すると、逆にお金持ちも、貧乏人と平等に扱わなければならなくなる。お
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