「意識」というのは幻である。ぼくは、本を読んでそのことを知るまで、全く気づかなかった。しかし言われてみると、納得するところも大きかった。
というのも、そもそもぼくは「無意識」というものの存在が、ずいぶん前から気になっていた。大学1年生のとき、新歓コンパで痛飲し、気づいたら三鷹駅にいた。次に気づいたときには下宿している小金井の祖母の家の布団で寝ていた。新歓コンパの場所は上野だ。
その間、どうやって移動したのかは分からない。しかしぼくは、確かに自分で移動したのだ。救急車に運ばれたり、誰かの世話になったりしたわけではない。祖母に聞いても、普通に帰ってきて寝ていたという。しかし全く記憶がない。
これは全くおかしなことだった。ぼくが無意識に関心を持ち始めたのも、これがきっかけだった。しかしながら、人に話してみると「それはよくあること」と言う。なんなら「大人の仲間入りをした」などと洒落たことを言う人ま
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