マンガが苦戦した90年代を代表するマンガ家は浦沢直樹だ。
そこで今回は浦沢直樹を概観してみたい。


浦沢直樹は、端的にいうと「ふざけるのが下手」だと思う。根が凄く真面目だと思う。真面目というか「くそ真面目」の堅物だ。真面目の度が過ぎている。だからそこが大きな弱点となっている。

浦沢直樹でよくいわれる短所はスタートの面白さに正比例するラストのがっかりさだ。スタートで魅力的な謎が提示されるにもかかわらず、ラストで納得できる結論の提示がない。むしろがっかりとさせられるというか、それならまだいい方で、「よく分からない」と疑問符の残るような結末が提示される。毎作品、エヴァテレビ版のラストのようなものだ。「一体なんだったの?」と読者を憤らせる。

それは、ふざけることができないことと、キャラ掘りや剣越えができていない証拠であろう。これら、マンガ家にとって一番大切ともいえる能力が浦沢には欠けているのだ。