「死ぬほどの体験」というのは、人を確実に変える。目の曇りを取り除かせ、世の中の実相を見られるようになる。
ぼくは、昔から「死ぬほどの体験をした人のドキュメンタリー」を見るのが好きだ。そういう人は、やはりどこか違う。
例えば、小児癌患者のドキュメンタリーなどは特に印象に残っているのだが、そこでは子供がどんどん透明な存在になっていく。虚飾が剥ぎ取られて、人間の芯がむき出しになっていくのだ。
人間の芯は透明である。それは、人間が本質的には「筒」のようなものだからだ。
人間は、本質的には「声の増幅機関」であり、メガホンに近いと言えよう。入ってきた声を、少し大きな音に変換してアウトプットするだけの存在だ。
だから、芯がない。芯がないのが人間の芯なのだが、それがすなわち透明という意味だ。
死ぬほどの体験をした人間は、どんどん透明になっていく。つまり、メガホンの通りが良くなるのだ。おかげで、向こう側が透
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僕も大学生の頃にエリ・ヴィーゼルの「夜」や、キューブラー・ロスの著作をくりかえし読んでいました。