「正解はない」という考え方は、きわめて20世紀的なものだ。20世紀とともに現れて、そして20世紀とともに消えていく価値観である。

なぜ20世紀的かというと、20世紀になってから大量に現れた「産業機械」を操るため、人はオペレーターとして動員されなければならなかった。もっというと、機械の一部にならなければならなかった。「機械人間」にならなければならなかった。それは、チャップリンが映画『モダン・タイムス』で皮肉った機械工の姿である。

そういう人間が、産業機械が社会を大きく変革する力があると分かった20世紀には必要だった。そこでは、人間同士がかつてないほど緊密に、また大規模に連携する必要があった。協力する必要があった。

そのため、一度は「全体主義」が試されたが、結局のところ全く上手くいかなかった。そこで今度は「マネジメント」を採用し、これはなかなか上手くいった。そうして、大企業や大組織というのが存