「映画を作る」というのは「新しい撮り方を創造する」ということで、これはキューブリックもしていたし、初期のスピルバーグやルーカスやコッポラもしていたし、デビッド・フィンチャーもしているし、アルフォンソ・キュアロンもしている。つまり気の利いた映画監督はみんなしている。

アメリカン・ニューシネマというムーブメントは、小型カメラが開発され、多くの監督が「これでどんな撮り方をしてやろうか?」と創造力を働かせたから傑作がたくさん生まれた。『イージー・ライダー』『真夜中のカーボーイ』『クレイマー、クレイマー』『ロッキー』など、みんな小型カメラのいい撮り方を監督が思いついたから傑作となった。

実は宮崎駿もそうで、彼は今に至るまでルーティン的な撮り方で作ったことは一度もなく、新作のたびに新しい撮り方を開発している。工場生産ではなく手仕事なのだ。
だから時間がかかるし、撮り終わったらいちいち引退を宣言をする。