最初の妻と離婚した後の5年間、ぼくは自分の好きなことを貫いた。則ち、小説だけを書き続けた。
理由は単純で、小説が書きたかったというだけだ。しかし、それで他の仕事ができなくなり、年収は95万円まで落ち込んだ。生活が、これ以上下はないというくらいに落ち込んだ。そうして今度は、生活の苦しさから死にそうになった。
しかし、それでも仕事をしなかった。ただ小説を書き続けていた。
なぜかといえば、死んでもいいと思っていたからだ。また、死ぬことはそれほど悪くないと思っていた。それよりも、生きていることの方がよっぽど苦しかった。
生きていることは必ずしもいいことばかりではない。それが、ぼくがこの期間の人生を通じて得た価値観だ。
そして、その価値観は今でも変わっていない。だから、『もしドラ』がヒットしても、結婚して最愛の子供が生まれても、「あのとき死ななくて良かった」とは思わない。心底から思わないというだけで
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