映画のサンプリングについて研究する:その9「なぜ映画のサンプリングは『パクり』と非難されないのか?」(1,964字)
「デジャ・ビュー」という現象がある。初めて見る景色なのに、以前に見たことがあるように思ってしまう感覚のことだ。あるいは、夢で見たことがあるような感覚のときもある。日本語だと「既視感」という。
このデジャ・ビューという現象は、いまだにどうして起こるのか、よく分かっていない。脳の中で起こっているのだが、その仕組みがよく分かっていないのだ。人間の脳は、これだけ科学が発達した世の中でも、依然として分からないことが多い。
そして「映画」は、この「デジャ・ビュー」とよく似ている。
まず、我々はいまだに「映画とは何か」がよく分かっていない。文化的な側面からは説明できても、なぜ脳がそれを魅力的に感じるかは説明が難しいのだ。
また、すぐれた映画というのは、デジャ・ビューに似ている。なぜか、以前に見たことがあるような気がするのだ。あるいは、夢で見たことがあるような気もする。つまり、既視感を覚えさせるのである。
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