映画『戦艦ポチョムキン』は、映画におけるモンタージュ手法を確立した作品として歴史に残った。そして乳母車は、そんな『戦艦ポチョムキン』の象徴である。『戦艦ポチョムキン』というと、誰もが乳母車を思い出す。逆に『戦艦ポチョムキン』の他のシーンを忘れても、乳母車だけは記憶に残っている。
映画『アンタッチャブル』において、監督のブライアン・デ・パルマはそれを「印象的に再現」してみせた。「印象的に」というのは、そのサンプリングが厳密なものではなかったからだ。そこでは、ただ「銃撃戦の場面で乳母車が階段を転げ落ちる」というモチーフしか一致していない。登場人物や画面構成、展開や結末は何一つ一致していない。両者を見比べると、むしろその不一致さが際立つくらいである。
おそらくデ・パルマ監督は、『アンタッチャブル』を撮影する際にあえて『戦艦ポチョムキン』を見返したりはしなかったろう。むしろ、記憶だけを頼りにそのシ
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