続きです。

ぼくはYから校技大会のキャプテンをやれと、いわゆる「イジられ」た。そこでは、キャプテンを受諾しても、あるいは断ってもまずかった。なぜなら、受諾すれば痛いやつと誤解され、断れば洒落が分からないやつと見下されるからだ。

そういうダブルバインドの状態に陥ったのだが、そこでぼくは、機転を利かせて逆にとことん痛いキャラを演じることにした。すなわち、花園に出る名門ラグビー部のキャプテンでありエイトのレギュラーであるYを差し置いて、大胆にも「おれにエイトをやらせろ」と交換条件を突きつけたのだ。

もちろんそれはギャグだったが、重要なのはクラスの誰もが分かる難易度だったということだ。すなわち高尚すぎず、かといって簡単すぎず、ちょうど良いバランスだったのである。

その意味で、このギャグは百点満点だった。クラスのみんなが爆笑してくれたし、Yも笑ってくれた。Yは笑ってぼくにエイトのポジションを譲ること