アイドルで始まった疑似恋愛産業は、続いてマンガに飛び火する。マンガにいわゆる「萌え」というものが現れ、価値として台頭するのだ。

1970年代の後半、マンガの中に読者の恋愛欲求を満たすようなマンガが生まれ、それが人気を獲得していった。

先鞭をつけたのは柳沢きみおと高橋留美子だ。
まず柳沢きみおは、1978年にスタートした『翔んだカップル』で、高校1年生の男女が偶然、同じ家に同居することになるマンガを描く。すると、これが大ヒット。ちなみに、1978年に16歳になる男女というのは、設定的には1962年生まれということだ。つまり、男女が逆転した第一世代、オタク第一世代ということになるのだが、この世代を『翔んだカップル』は直撃した。
そうして、いわゆる「ラブコメ」というジャンルを成立させ、無数のフォロワーを生み、やがてマンガの主要なスタイルとして確立していくことともなるのである。

次に高橋留美子は、