『ハチのムサシは死んだのさ』という歌がある。
ぼくはこれを子供の頃に聞いて、いやに耳に残った。歌詞も覚えた。その絶妙なリズム感と語呂とが、なんともいえず気持ち良かったからだ。今でも覚えているのは、母親がこの歌をよく口ずさんでいたことだ。そういうふうに、人に口ずさませたくなるような、なんともいえない魅力があるのである。

「ハチのムサシは死んだのさ」

 ハチのムサシは死んだのさ
 畑の日だまり土の上
 遠い山奥 麦の穂が
 キラキラゆれてる午後でした
 ハチのムサシは向こう見ず
 真っ赤に燃えてるお日様に
 焼かれて落ちて 死んだのさ
 ハチのムサシは死んだのさ
 お日様仰いで死んだのさ
 高い青空 麦畑
 いつもと変わらぬ午後でした

以上が一番の歌詞である。
ちなみにこの歌は、内田良平という詩人がもともと単に詩として書いたものに、その後フォークミュージシャンの平田隆夫が曲をつけ、シングルとし