「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第11回(1,652字)
ぼくは昔から勉強ができる人、あるいは頭がいい人に興味があった。理由は単純で、ぼくも勉強ができる人、頭がいい人になりたいと思ったからだ。
それで、彼らの話を聞いたり行動を観察したりすると、自分も勉強ができたり頭が良くなったりするのではないかと考えていた。
そうした中で、一つ気づいたことがあった。それは、彼らはよく「言葉を丸暗記」していたということだ。それは詩の場合が多かったが、文学の場合もあった。例えば宮沢賢治の「雨にも負けず」や『走れメロス』の冒頭部分を丸暗記していたりした。つまり、言葉を身体に入れていたのだ。
振り返ってみると、ぼくにも身体にいくつかの言葉が入っていた。「元二の安西に使ひするを送る」もそうだが、それ以外にもソウルオリンピックで鈴木大地選手が金メダルを獲得したときの島村俊治アナウンサーの実況も身体に入っていたりした。なぜかというと、その実況の映像をビデオテープがすり切れるほ
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