戦後初の本格的な長編アニメ映画『白蛇伝』は、一九五八年に上映された。
一九五八年といえば、戦後一三年が経過して、復興はほぼ完了し、そろそろ日本の高度経済成長が始まる頃合いだ。
一方、テレビの勃興に伴って、映画産業そのものは衰退を始めていた。そうしたタイミングで、東映は満を持して長編アニメ映画を制作した。それはまだ、当時「漫画映画」と呼ばれていた。

この『白蛇伝』は、日本のアニメ産業にとって一つの大きなエポックメイキングとなった。
まず、これを見た手塚治虫が大いに刺激され、その後アニメ制作に乗り出すきっかけとなる。
また、当時一七歳だった宮崎駿を筆頭に、後世のアニメ作家たちにも、アニメ業界に参入するきっかけを与える。この頃、アニメといえば外国製のものばかりだったので、ほとんどの人が日本でもアニメが制作できるということを想像していなかった。この映画は、そうした常識を覆したのである。

ちなみに、