26
ぼくのノックの音で、エミ子は目を覚ました。ベッドに寝転がっているうちに、いつの間にか寝入ってしまったようだ。
エミ子が部屋から出てくると、ぼくは説明した。
「みんな、トレッキングから帰ってきたみたい。これから夕方の授業が始まるらしいから、一緒に行こうよ」
それで、ぼくは寝起きでまだちょっとぼんやりしているエミ子と一緒に、渡り廊下を渡って教室棟へ移動すると、あらかじめ聞いていた二〇三教室までやってきた。二階には四つの教室があって、大きいのが二つと小さいのが二つなのだが、二〇三は小さい方の一つだった。
ぼくたちが教室に入ると、すでに他の生徒たちも来ていた。ぼくたちが入った瞬間、生徒たちの視線がぼくらの方に集中したが、そのとき、エミ子が「あっ!」と驚いたような声を上げた。
それで、「えっ?」と振り返ったぼくに、エミ子は言った。
「あの子!」
そうして、生徒の一人を指さした。
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