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 オーナー室に入って、ぼくはびっくりした。そこは、想像以上に広い空間だったからだ。体育館……まではいかないが、その半分はあったろう。しかも、左右正面の三面がガラス張りで、右手には日本海、左手には弓ヶ浜半島の全景を見渡すことができた。
「すごい!」
 と、エミ子は思わず感嘆の声を上げた。ぼくもつい声を上げそうになったが、しかしここはぐっと堪えた。正面の窓ガラスの手前に屏風のような壁があって、さらにその手前にデスクに一人の男性が座っていたからだ。
 男性は、手元のホログラムスタンドを見ているのか、顔を伏せている。
 ぼくたちは、そのデスクに向かって歩み寄った。ここまで先導してきた学が、デスクの男性に声をかけた。
「お連れしました」
 すると、その男性が顔を上げた。

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 それを見て、ぼくは意外な感じがした。それは、その男性――山神達雄が、想像していたのとは違っていたからだ。
 ぼくは、もっ