世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その24(1,634字)
マンガ家というのは、本能的に「絵を写実的に描きたい」「描き込みを多くしたい」という欲望があるらしい。そのため、マンガの歴史は常に、絵がより写実的に、描き込みの多い方向へと変化してきた。
しかし、絵を写実的にしすぎたり、描き込みを多くしすぎたりすると、その記号性が失われ、読むスピードが遅くなってしまうという弊害があった。そうなると、物語が頭に入ってこなくなり、マンガとしての面白さが失われてしまう。
それゆえマンガ家たちには、物語を読むスピードを落とさずに、絵を写実的にしたり描き込みを多くしたりしなければならないという矛盾した要件が課せられていた。
その要件に、逆転の発想で解決を図ったのが大友克洋であった。
彼の絵は、そもそもキャラクターも背景もともに写実的で描き込みが多く、その分の読みにくさは否めないところがあった。ところが、そこでキャラクターを簡素化するという方法ではなく、あえて背景の描き
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