マンガというのは、必ずしも写実的な表現が面白いというわけではない。そこには「物語を伝える」という重要な役割があるために、ある程度記号的な方が表現の幅が広がるのだ。
ちばてつやという作家は、自身の絵柄の軌跡でそのことを証明した。一方、ちばてつやとは別にもう一人写実的な表現の限界を証明した作家がいた。それは、『あしたのジョー』とともに劇画表現の可能性を大きく切り開いた、同じ『少年マガジン』誌に掲載され、同じ梶原一騎が原作を担当した『巨人の星』の作画、川崎のぼるである。
川崎のぼるも、ちばてつや同様原作者である梶原一騎の影響を受けて、その劇画的表現を洗練させていった。どんどん写実的に、よりリアルな表現へとなっていったのである。
川崎のぼるは、元々劇画創始者の一人であるさいとう・たかをのアシスタントをしていただけあって、そもそも劇画的な表現を得意とする作家であった。それが、『巨人の星』を連載し、し
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