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「え?」
「『ヲキ』とは、簡単にいえば『芸能を司る能力』、あるいは『その能力の持ち主』のことをいうんだ。一説には、アマノウズメの子孫――なんていわれたりもしている」
「へえ!」
「あまり知られていないけど、日本にはこのヲキの能力を受け継いだ『家』というのが、古くから――それこそ神代の昔からあってね。その家では、代々芸能の伝統が受け継がれているんだ」
「そうなんだ!」
「例えば、能や歌舞伎などの古典芸能や、あるいは現代の芸能人にも、このヲキの家出身の人は少なくないんだよ」
「ふうん、ちっとも知らなかった……」
「……で、ここからが本題なんだけど――」
「うん」
「大宮さん――というか、きみの家は、実は日本でも有数の、名門ヲキの家系なんだ」
「ええっ!」
驚いたエミ子に、ぼくはなおも続けた。
「正確に言えば、きみのお母さん――つまり大宮タヱ子さんの家が、ヲキの家系っていうわけ」
「榊くん
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