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アニメ情弱なHitoShinkaが『GODZILLA 決戦機動増殖都市』を記憶レビュー

2018/05/25 07:09 投稿

コメント:6

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(※ネタバレ。メカゴジラは一切戦いません。メカゴジラと同じ材料で作った武器が出て来るだけです。)

 公害や環境破壊……それらの人類の活動の結果として現われた怪獣ゴジラ。
 2万年の時を経たリターンマッチで、ついに倒したかと思いきや、それは小型の別個体に過ぎなかった。2万年で成長を続け、全高300mに達したゴジラはたちまちのうちに主人公らを蹴散らし……え、一行目そんな設定だったかって?

 いや筆者も必死に前作や前史小説『怪獣黙示録』の記憶を手繰ったんですが、どう考えても今回のアニメ版ゴジラの出自は謎に包まれてたんですよ。
 しかし今作になって急に「ゴジラは公害など人類の活動が生み出した」が誰もが認める定説として、いつのまにか――特にそれに繋がる発見が劇中あったとかでもなく本当にいつのまにか――登場人物たちに共有されているようなんです。まあ、些細な事です。

 さて、気を取り直して。
 前作ラストであからさまにモスラ絡みの原住民少女に助けられたハルオですが、やはり原住民に保護されたり戦ったりしていた仲間と合流することができました。ちなみに、おおむねビルサルドとヒロインは原住民がキライであり、ハルオとハカセは原住民に好意的です。
 というか原住民には嫌われる正当そうな理由はなく、むしろめっちゃ親切です。怪我治療してくれるし、武器もすぐ返してくれるし、現地生物に襲われたら助けてくれるし、後述のナノメタルの産地を知りたいといえば二つ返事で教えてくれます。1作目で近くを人間が爆撃したのもあっさり許してくれます。原住民キライ組は純然たる差別意識で動いてるようにしか見えません。

 ハカセというのはいわゆる解説キャラです、つまりハルオに向かってフレンドリーにゴジラや未来の地球について自説を語ることで、視聴者に設定を説明する役を演じます。
 たとえば、地球の動植物はみなゴジラと似た性質を持っているのですが、これは彼によればゴジラが最強だからです。
 彼の説では、地球の生物は全種類がゴジラに擬態し(え?)、それを通り越して同質化し(ん?)たのだそうです。最初に倒した小ゴジラもその一匹で、つまり原住民の言う通り大ゴジラの亜種にあたる(へ?)のです。そして地球の生物は全てゴジラの軍門に降って、地球の生態系はゴジラに奉仕する構造になっているのだそうです。
 映画未見の方には何を言ってるか分からないでしょうが、ご安心ください、見ても全くわかりません。最初の節だけは一応ベイツ型擬態を指すのかなーと思えますが、原住民は亜種なんて言葉を一言も口にしていませんし、関係ない生物がゴジラに似た形に進化したのならそれは亜種でもなんでもありません。「奉仕」に至っては作中の何を指して言ってるのか見当もつきません。
 つまりこのハカセという解説キャラは解説キャラではなく、単なるフレーバーテキストを流すだけの人です。


 一方、母船ではゴジラが成長したのを確認し、諦めてまた宇宙放浪に出よう、いやゴジラが母船に熱戦撃ってきたら、と騒いでいます。
 「地球衛星軌道上から離脱し、月軌道まで退避すべきだ」
 「救助艇を送れなくなるぞ!」
 細かい話ですが、地球衛星軌道上から離脱して月軌道へ、という部分がよく分かりません。地球衛星軌道という特定の軌道があるわけじゃなくて。どんな軌道を通ってるかはその衛星次第で、月がそもそも地球の唯一の自然の衛星である以上、月軌道は立派に衛星軌道に含まれるわけなんですけどね。(静止衛星軌道、というなら赤道上空35,786㎞ですが、特に彼らの母船が赤道にいなきゃいけなそうな話もありません。)
 というか月の軌道まで逃げなくても、おそらく月軌道より低いであろう今の軌道上をちょいと移動して、ゴジラから見て地平線に沈んでれば良いんじゃないの? その方がよっぽど楽だし、救助艇も送れると思うんですけどね。

 そんなことに気付いた様子もなく上層部は「48時間以内に生存者が発見できなければ太陽系外に脱出、再び20,001年宇宙の旅へ」を決めてしまいます。前作でリーランドさんが言っていた「月に住めばよくね?」はなぜか全く議題に上がりませんでした。あとこれも前作で、地球にワープする間際「地球に住めなかったらできるだけ資源を回収する」とか言ってたのも忘れてください
 そしてタイムリミットぎりぎりになって、ようやく地球の主人公ハルオ・サカキ大尉から連絡が入るのですが、原住民がいて呼吸できる場所が見つかったから地球に住もうかという発想も出てこないようです。
 ていうかこの映画、登場人物全体に「2万年後の滅んだ地球に人間がいたこと」「結構な人数が居住できる場所があったこと」への感慨が薄いんだよなぁ・・・…・
 前作の「ゴジラと背水の陣で闘うorあてもなく宇宙に逃げる」という2択は、作中状況からするとどう見ても3択4択に増えてます。でも登場人物の頭の中では2択しかないらしく、その前提で話が進んでいきます。

 
 ともあれ、ビルサルド(メカゴジラを作っていた種族、見た目クリンゴンぽい)は原住民の使う弓矢の矢じりに「ナノメタル」が使われていることを発見します。
ヒロイン「自律思考金属体、確かメカゴジラの材料でしたよね」
博士「メカゴジラは起動寸前にゴジラの襲撃を受け、放棄されたはず」
 ちょっと待った。
 
 ~1作目視聴中~

 うん、やはり設定が変わっている。
 前作ではビルサルドはメカゴジラの「開発に失敗」し「起動しなかった」と明確に語られ、そのシーンもはっきり映像で出ています。
 しかし今作においてはその設定は放棄され、ビルサルド達はメカゴジラの発していた信号を受信して機体と、その周辺にナノメタルが勝手に作っていた「メカゴジラシティ」なるものを発見します。ここにはナノメタルも幾らでもある上に、ゴジラに見つからないバリアーまで張ってくれてます。この中でビルサルド達は思うぞんぶんナノメタルを使いまくって、新しい対ゴジラ兵器の製作に取り掛かることになるのです。
 
 ゴジラの倒し方は、要領としては前作と一緒。
 交戦用のマシーンとしては前作に出ていたパワードスーツ的なものを空飛ぶロボに改造し、トドメ用の武器にはなんとかハープーンという、前作で小ゴジラを倒したのをデカくしたようなものを予定していました。

 ちなみにヒロインは、機械と論理性重視の種族ビルサルドを信用し、あとその罠にかかる都合上、「宇宙船で育ったから機械の中にいると落ち着くわー」「地球の話聞いたけどおとぎ話みたいで実感なかったの」みたいな発言をします。でもハープーンを見て「捕鯨の銛みたいですね」などとほざいてその設定を台無しにしたりします。
 そんなものの形知ってる19歳女子って多分、2018年にも少ないよ?

 ところでビルサルド達はマッドな事を始めます。自分たちの身体をメカゴジラシティのコンピュータと融合させるのです。一応司令官のハルオにも無断で。 なんでも感情や肉体を捨て、機械と融合して完全な論理の世界で生きるとか。
 この時もヒロインはビルサルドを擁護し、「(原住民みたいな)何を考えているかわからない連中よりマシです!言葉が通じるんだもの!」と割とビルサルド側にも失礼な発言をしています(しかもこのヒロイン、原住民が現代語を習得したシーンにいたんですが)。
 
 しかし、そのメカゴジラシティ(と融合したビルサルド達)は、バリアを解除してゴジラとの決戦を前倒しします。この時点で、基地の要塞化も、トドメ武器のハープーンも完成してないし、ゴジラと交戦する飛行ロボのOSも完成できてないのですが。完全な論理の世界で生きるビルサルドとコンピュータは、喧嘩を準備の途中で始めるのが好きなようです。
 普通なら論理性をもってする側がこんなことを始めれば、実は隠された理由があって……ということになるのですが、この作品にそんなものはありません。普通に人間側が大慌てで交戦するハメになっています。飛行ロボを一台マニュアル操縦する破目になったり、ゴジラが目の前に来てもハープーンが用意できてなくて必死に時間稼ぎしたりと散々です。
 完全なる論理乙。
 この前倒しに論理的理由があるとすれば、バトルシーンに緊迫感を持たせる――すなわち不利になるためだけです。つまり論理的ではありません。
 
 ともあれ完全なる論理の世界に足を引っ張られながらも、なんとかハープーンを打ち込むことに成功。しかしゴジラは死なず、周囲に熱を放出して攻撃し始めました。500℃、600℃と気温が上昇していきます。
「隔壁が融解しています! 周辺温度は1000℃を突破!」
 速えーよ!
 1000℃で溶けるな、銅かよ!!
 実は弥生時代の火力でも溶けると判明したナノメタル。対ゴジラ兵器です。相手の武器は熱線です。
 これでは射程距離にも近づけないと焦る主人公。
 真上から撃つわけにはいかないのかと思いながら観ていると、やはりビルサルドは上空からの攻撃を指示してきました。
 ただし上空から撃つのではなく、ダイブして自爆攻撃しろと。いや撃てよ。

 そのために、唯一熱に弱い箇所をナノメタルで補強すると宣言します。
 そうすれば8000℃であっても10秒ほど活動できるのだそうです。さっき1000℃そこらで融解してたのに、今度は太陽表面温度を2000℃上回っても耐えられる設定になりました。融点ガバガバすぎ。

 自爆攻撃と聞いて躊躇うヒロイン。
 ここでビルサルドが最後の本性を現します。ヒロインと主人公を、ナノメタルと強制融合させて熱強度を上げようというのです。
 強制操作できるならパイロット逃がして、リモコンでロボに特攻させてくれないですかね。器用な罠仕掛けてないで。ダイブしてぶつかって死ぬならパイロットが熱に強くなくても良さそうですし。
 主人公は抗議の叫びを上げます。
「なすべきことは、人としてゴジラに打ち勝つことだ!」
 だがビルサルドのリーダーは、それは矛盾だと指摘します。
 人ではどうにもならないからこそ、「怪獣」なのだと。怪獣を倒すには、人でなくなるしかないと。

 待て待て待てビルサルド。
『怪獣黙示録』では、怪獣が出現し始めてから、全編にわたって色んな怪獣を倒してたじゃないか。カマキラスにもにドゴラにもジラにも勝ったじゃないの。しかしゴジラだけは当時の人類にも他の怪獣にもどうにもならなかった、っていう話だったよな?
 それがなんでいきなり「ゴジラは」ならまだしも「怪獣は」人間では勝てないから怪獣なんだ、になる? ていうかゴジラすら一体目倒したよな? この小説、本作脚本の虚淵玄も監修してるんだが……。
 
 あと、主人公が裏切らず、ビルサルドの思い通りに行ったとしてもだ。その融合した基地の中で、ゴジラは大爆発するんだよね? このクッソ熱に弱い基地の中で。

 結局、主人公はビルサルドの言葉を退け、メカゴジラシティのコントロールルームを破壊します。ちょうど元気を取り戻したゴジラが熱線でメカゴジラシティを焼き尽くして終わり。
 あとヒロインは助かりませんでした(投げやり)。


 最後に……この映画の途中でメトフィエスが、エクシフの母星も10万年前に「ゴジラ以上の破滅の力」によって滅ぼされた、と語るシーンがあるのですが、いよいよその名前を言う場面では音声が出ないという演出でした。
 その場面がスタッフロール後にもう一度流されます。
 今度は、その脅威の名前がはっきりと口にされます。
「ギドラだ」
 うん知ってた。

 ともあれ、この話をそこそこ見れるものにしている映像と音楽の力って本当に凄い、と思わされる一作でした。

コメント

執行明 (著者)
No.4 (2018/05/31 19:46)
 映画版の第一作では、ガルグがメトフィエスと話しているシーン(地球人は20年くらいの漂流で~とか言ってる辺り)で、「我々はメカゴジラの開発に失敗し」と言ってるので、今回そっちの方を取り上げてます。

 メカゴジラにしても登場させる方法はあったでしょうね。あのバルチャーというのをパワードスーツからの改造ではなく、メカゴジラをもう2体再建したことにして、スタイルは翼竜風にするとか。あるいは2万年前にちゃんと動いたけど敗れたということに前作からしておいて、戦闘シーンを回想として持ってくることもできたでしょう。
nell
No.5 (2018/08/05 06:21)
感想拝見しました
私も似たような部分が気になりイマイチ気分が盛り上がりませんでした。ユウコが死んだシーンもギドラのとこも真顔状態でした
ただメカゴジラの起動云々に関しては前作と矛盾してないと思いますよ。前作の映像では「何故起動しない!」というセリフの後ゴジラの攻撃を受けたかのような大きい振動があったと記憶しています
起動せぬままゴジラの襲撃を受け、施設ごと破壊されたため修理もできず放棄されたということなのでしょう。よって開発は失敗、と
ただデータのバックアップはしておけよと思いましたが
結局ハープーンで殺せなかった理由も説明されてないんですが熱で融けたって解釈でいいんですかね?あのじんわり加熱で機能不全になるとか考えたくないんですが・・・
執行明 (著者)
No.6 (2018/08/26 13:03)
>nellさん
前作の映像についてはその通りなんですが、前作では起動しなかったところでゴジラが襲ってきたのに対し、今回では起動直前にゴジラの襲撃を受けた(つまり無ければ普通に起動したはずであったという感じ)と言及されているんですよね。かつ失敗したはずのものにビルサルド達が全幅の信頼を置いているため、起動失敗はなかったことになっていると思ったので、ああいう評価にになりました。

ハープーンが駄目だったのも、ゴジラの行動における誤算が熱放射しかなかったですから、「熱で溶けた」という線かあるいは、熱線とかに使うエネルギーを暴走させるものらしいですから、ゴジラがそのエネルギーを体内に逃がしたために効果が出なかったと考えられなくもないかな……。
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