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アニメ情弱なHitoShinkaが『GODZILLA 怪獣惑星』を記憶レビュー(1)

2018/02/11 16:40 投稿

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「20世紀最後の夏――その日人類は、地球という惑星の支配者が、自分達だけではなかったと知った――」
 
 この映画の設定を説明する最初の台詞です。
 猛火の中で目を光らせるカマキラスを背景に、この言葉。
 そう、この映画の設定では、ゴジラは1954年に東京に現れたのではなく、また他の怪獣たちも従来の映画のとおりの現れ方をしたのではありません。
「20世紀末に最初に登場したカマキラスを皮切りに、21世紀に次々と怪獣が現れ、最強の怪獣ゴジラが現れるに至って、人類は滅亡の危機に瀕した」
 これがこの映画の設定です。

 かっこいいですね。
 うん、カッコイイ。実にカッコいい台詞でした。

 ……間違ってなければな。
 というのは、この台詞が指しているのは「1999年5月」です。
 パンフレットにこう↓書いてあります。


(本作パンフレットより引用)
 
 夏か? 旧暦なのか? なんで旧暦なんだ?
 ていうか全人類の話なのに北半球目線で良いのか?
 そもそも20世紀最後の年は2000年だろうが!

 この台詞はこう言うべきだったのでしょう。
「20世紀最後から2番目の夏――その日北半球の人類は、地球という惑星の支配者が、自分達だけではなかったと知った。あと20世紀最後から2番目の冬――その日南半球の人類は、地球と(ry」

 言いづらいわ。
 より詳しい話はこの映画の前日譚小説『怪獣黙示録』が角川文庫から出ていますが、こちらでもはっきり1999年5月のカマキラスが最初の怪獣だと語られています。映画ネタも散りばめてあってこの小説は嫌いではないですが、筆者が面白いと思った部分は「原作映画ネタを散りばめてあるから」のような気もします。そこを取り除いて、映画を知らない人が『怪獣黙示録』を読んだ場合にも面白いのかどうかは、ちょっと筆者にはシミュレートできません。
 残念な事に、カマキラスもドゴラもダガーラも銀幕では小説の中のように暴れてはくれませんでした。断片的な台詞と共に、妙に怪獣が見えづらい一枚絵が流されるのみです。できれば『FINAL WARS』のように、ゴジラ以外の怪獣もアクションで魅せて欲しかったんだけどなぁ、せめて冒頭だけでも……。

 ところで。
 凄い細かい話になって恐縮なんですが、上の画像内の(呼称)ってこういう使い方します?
 ドゴラ(呼称)とかダガーラ(呼称)とかさ。
 こんな風に(〇称)(〇名)と後ろに付ける時って、それがどういう類の呼び名なのかを明示するために使うものじゃないでしょうか。(仮称)や(通称)や(自称)や、あるいは(和名)とか(学名)のように。
(呼称)とだけ付けないでしょう。何かの呼称なのは明らかなんですから。
 すいませんどうでもいいことでした。

 本題に戻りましょう。
 
 この地球の大ピンチに、宇宙人がやって来ます。
「エクシフ」という宗教がかった優男の集団と、「ビルサルド」というクリンゴンみたいな奴らです。彼らは昔のゴジラ映画に登場したX星人とブラックホール第三惑星人という宇宙人をもじっており、当時はそれぞれキングギドラとメカゴジラを操っていた黒幕でした。現に今作でもビルサルドはメカゴジラを建造して、ゴジラを倒そうとしてくれます。一方、エクシフとキングギドラの関係は、今作では触れられていません。

 どちらも母星を失い、はるばる宇宙を放浪して地球に辿り着いたとのことです。それまで関係があったわけではなく、一年差でばらばらに地球に辿り着き、しかも地球の大ピンチにかちあったとのことです。凄い偶然だなオイ。(まあこいつらの設定については、特にエクシフは胡散臭いので続編以降で嘘でしたーとかあるかもしれません)
 ゴジラをやっつけてみんなで地球に住めばええやん!ということで、人類・エクシフ・ビルサルドは協力してゴジラを倒そうとします。しかし彼らの力をもってしても――メカゴジラが起動しなかったりして――ゴジラには敵いませんでした。
 結局、人類は宇宙人たちと共に地球を離れ、11光年先のタウ星系に向かうことになりました。

 タウ星系というのはSFファンにはおなじみの星です。
 というのは比較的地球に近い割に、太陽と条件が近く惑星も持っていることが分かっているなど、「もしかしたら生命がいるかもしれない」と早くから目されていた星系の一つだからです。オズマ計画の対象にもなっていました。そのため割と昔から色んなSFに登場しており、星野之宣『2001夜物語』やスタートレック、果ては『美少女戦士セーラームーン』などにも出て来ます。この映画のように人類の移住先候補になったことも一度や二度ではありません。
 グリーゼ581gやケプラー22bなど新しく居住可能惑星説が出てきた星もあるため、宇宙人ファンには相対的にその価値を減じていますが、忘れられない星のひとつです。

 人類はそこを目指したのです。
 その旅は実に22年を要しました。物資は欠乏し、絶望から自殺する者も多く出ました。その棺を宇宙に流す悲しいシーンもあります。
 しかし……やっとの思いで辿り着いた新天地のはずのタウは……。

 いや、浸ってるけどさ。
「10光年先のタウまで20年(つまり0.5c)かけてやっとの思いで辿り着く」
 って、それは比較的現実に近い(というか、相対性理論の制約がある)宇宙航行技術しかない作品で成立する話やん?
 この世界の人類は、はるばる宇宙を旅してきたエクシフやビルサルドと、相乗りしてタウに来てるんだよね? エクシフに至っては映画の後半、「宇宙を旅して数多くの文明の滅びを見て来た」とまで言ってるぞ。「数多くの文明の滅び」だよ? 「数多くの星」でも「数多くの生物がいる星」でも「数多くの文明がある星」でもなくて「数多くの文明の滅び」。つまり、生物がいて、文明があって、なおかつまさにそれが滅ぶところって状態の星だけで「数多く」見て来たんだよ? それって数万光年の旅じゃ済まないよね?
 宇宙人たちにすれば、そのラストたった10光年で急にえらい困窮状態になってるわけなんですが、一体どういうことなんですか。

 もっとも別のシーンでは宇宙人達、「地球人20年くらいの漂流でヒーヒー言ってるなw」「まあ宇宙慣れてないからねー」(要約)などと、まるで地球人の船内ストレスだけが問題みたいな、物資問題忘れ去ったような会話してるけども。

 まあ、なんでか分かりませんがとにかく大変だったようで、しかもいざ辿り着いてみるとタウの惑星はそれほど居住に適していなかった、というところからこの映画は始まるわけです。
 前後しましたが、さっきまでの前史解説は少し後で挟まれます。ここからが冒頭のシーンです。

 暗い宇宙船の中で、しょっぱなから興奮して叫んでいる兄ちゃん、ハルオ・サカキ大尉。彼が主人公です。
 どうやら彼らの上層部は一部の者を無茶でもタウに移民させるようで、その候補者というのが老齢の人達だったようです。こんなのはただの口減らしだ!と怒る我らが主人公。中止しないと老人たちのシャトルを爆破する!脅しじゃないぞ!と息巻いています。
 確かに脅しではありません。
 話を総合すると主人公は「上層部が死なせたがっている老人達を人質にして、当の上層部を脅迫している」わけです。脅しじゃないというか、脅しとして成立してないぞ!

 結局ハルオ大尉は、「どんな星でも地面で死にたい」という老人たちの制止を受け入れて爆弾テロを取りやめ、老移民団は出発します。
 が、その宇宙船(さっきハルオが爆弾仕掛けたシャトル)は、なぜか途中で爆発します。ハルオのせいではないらしいです。
 後半、この「爆発事故」は上層部の自演ではないかという話が持ち上がります。口減らしを確実にするため、移民たちが音をあげて帰ってこないように殺したのだと(「帰ってこないように」って、お前ら母船はそこにずっと浮かんでるつもりだったのか?)。

 
 ――どうもこの話を考えた人は、宇宙での資源のリサイクル問題について無知なようです。
 宇宙旅行やスペースコロニーなんてものの可能性に胸をわくわくさせた経験がある人なら、補給の無い宇宙の長期滞在でいかにリサイクルが大切であるか、聞いたことくらいあるでしょう。現実の短期間の宇宙飛行でさえ、水や空気のリサイクルは前提です。現在でさえ、排泄物のリサイクルも研究されています。地球では排泄物を肥料にして新しい食べ物を育てる、なんて大昔からやっていることですが、宇宙船内では同じことを遥かに効率よくやらないと破綻するというだけです。
 さてここで問題です。
 スペースコロニーや恒星間宇宙船の中で、誰か死んだら?あるいは殺したいなら?

 この映画の答えは「船外に捨てる」です。
 体重60㎏なら60㎏分の貴重な水や有機物をです。ぽーんと宇宙空間に放り捨ててしまうのです! しかも棺桶とか、シャトルとか、移民名目なら持たせていたであろう資材等とか、挙句の果てにそれら全てを爆破するための爆薬までおまけに付けて!!
 そら物資欠乏するわ!!

 この「死者のリサイクル」問題を一話費やして扱った名作が、あさりよしとお『ASTEROID MINERS』です。クリックしなさい。ほらクリックしなさい(アフィブロガー特有の執拗さ)。いや面白いからマジで。
 

 謎が解けたかもしれません。
 控え目にみても数万光年を放浪してきたはずのエクシフやビルサルドとの相乗り宇宙旅行が、わずか10光年で欠乏に喘ぐ羽目になったわけが。チキューケナシザルどもが宇宙に資源を捨てまくっていたからだったんですね。
 ゴジラじゃなくデブリファルドに喰われろ。

 ともあれ、タウへの移住は不可能と分かりました。
 ではどうするか。ここである提案がなされます。地球に帰ろうと。しかし当然、地球にはゴジラがいるわけです。
 ですが、主人公はゴジラを倒す方法をずっと研究していたのです。



 さあ、血沸き肉躍るこのアニメ版ゴジラ『怪獣惑星』。レビュー(2)に続きます。コレハモウ目ガ離セマセンヨ。





※宇宙ごみ怪獣デブリファルド:プラネタリウム用限定作品『ウルトラマンティガ 光の子供たちへ』に登場するスペースデブリの怪獣。

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