私、八巻アンナ!

この春から、晴れて大学生になりました!


憧れの辺留薔薇子(べるばらこ)先輩を追いかけるため猛勉強して、
偏差値95の鈴西油(べるさいゆ)大学に無事入学できたのはいいけど…



「はあ〜…」

部屋を見回して、私は深くため息をついた。

引っ越して一週間。
一向に片付かない段ボールで埋め尽くされた室内。
調子に乗ってIK◯Aで買ったおしゃれな家具を一人で組み立てる気力もなく、
空の段ボール箱を机の代わりにしてカップラーメンをすすり、
寝袋にくるまって眠る日々。


「せめてベッドくらいは組み立てサービスを頼むべきか…」

ラグも敷いていない冷たい床にごろんと寝転び、天井を仰いだ。

せっかくの心踊る新生活だというのに、部屋が汚いせいで何もやる気が出ない。
まだ薔薇子先輩も見つけられていないし…。
あー、このまま床に埋まりたい。木目になりたい。
木に生まれ変わって光合成しながら伸びやかに千年の時を生きていきたい。



その時だった。

ピンポーン!

入居して初めて、玄関のベルが鳴らされた。