小説「トキメキア・セカンド」Hisoka柊

「トキメキア・セカンド」第五章 ディーヴァ(6)

2015/06/30 18:28 投稿

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「…あなたは…間違っています…」
「何が…間違っているのかな?」
「…神の理りを越えてしまいました…」

「ずっと前からお前達の事は気がついていた」

「…でしょうね…でも、上手に隠れて生きてきました。今日までは…」
「お前達の居場所が分かった時には、小躍りする気持ちだったよ」
「…こうやって出会う事は…神の仕組んだ必然だったのでしょう…」
「もしかしたら俺と同じ『高み』にいる人間が、他にもいる?これは興奮したよ」
「…あなたと同じ…じゃない…」
「もちろんだ。俺は強大な力を持っている。皆、俺にひれ伏す」
「…残念ながら、あなたは神ではありません。人間です…」
「はぁ?ただの人間が、こんな奇跡を起こせるとでも?」
「…神はひとつです。神に繋がる入り口は数多くありました…全ては神に繋がっていました…それをあなたは潰して来ました。神はお怒りになっています…」
「お前も…大した事無いな…」

「…重ねて言います…あなたは間違っています…」

「人を救い、命を守ってやった!奇跡を起こしてだ!世界中の人が俺に感謝をしている。この現実を見ろ」
「…あなたの力は…そんな事の為に与えられた訳じゃ無かった…」
「だったら、何の為だ!」
「…それを考える叡智を…あなたは与えられて生まれたのではないですか?…」
「…くだらん事を。人類の救済!これが俺の生まれた意味だ。これが俺のたどり着いた答えだ」
「…愚かな…」
「移動する気を感じ取って、梅田達に内緒でこっそり会いに来てみたら…どうやら俺の買いかぶりだったようだな」
「…私は神の巫女です…」
「ならば俺に仕えよ」
「…あなたは…人の子です…」
「違うな。光の子だ!お前達は危険だな。消えてもらおうか」

光の子は門から降りて私に向かって歩いてきます。
その時、闇が光の子の前に立ちました。

「そこまでじゃ。光の子よ」
「なんだ?お前は」
「…お婆様…」
「伝承を手渡し『無』になった私の『気』までは…気が付かなかったようじゃの」


お婆様の手が、光の子の胸に当てられました。

「何のマネだ?」

「最後のお勤めじゃよ」
「どけ!」

光の子がお婆様に手をかけようとした瞬間、お婆様は砕け…はじけて飛び散りました…
お婆様は血となり…光の子に降り注ぎました…

「な…何を…!」
・・・光の子よ。すまんがお前に呪いをかけさせてもらったよ・・・
「なに!」
・・・お前の力の半分は、私があの世に持っていく・・・
「…お婆様…ごめんなさい…こうなるのを知っていて…私は…」
・・・言うなディーヴァ。それが伝承者の『さだめ』じゃ・・・
「婆ちゃ!」

シュバが背後に来ていた。

・・・シュバ。ディーヴァを頼んだよ・・・

「ばっちゃああああああああぁぁぁ…!」

「俺を汚しやがったな…汚れた血で…」
「…シュバ…ダメです…さがって…」
「うちは…あんたを許さない…」
「確かに、多少は力を取られたようだな…だが…大勢は変わらん」

光の子はまばゆい光りを発した。お婆様の血が蒸気となって天に帰る…

「くだらん。実にくだらん」
「このやろう」
「お前が赤いノイズの方か。なんだ…ボロボロじゃないか」
「お前はうちが…ぶっ殺す…」
「ほう。勇ましいな」

シュバは片足だけの跳躍で光の子に躍りかかった。
絶妙なバランスを取り、見事に光の子の顔に右の拳を叩き込みます。
光の子は地に転がりました。

「こ…こいつ…殴りやがったな…」
「こんなもんじゃ足りない!」
「お前は神に手をかけたのだぞ!」
「何が神だ!笑わせるな!鼻血出しやがって!」
「…いけません!シュバ!…」

光の子は立ち上がり、シュバに向かう。
この後の展開は…神のシナリオには出てこない…私はどうすれば…

「このやろおおおぉ!」
「砕け散れ!愚か者めが!」

シュバの繰り出せる攻撃は制限がありました。片足で立っているので右の拳か…捨て身の蹴り。
光の子はシュバに体当たりをしてきました。
あっけなく転がるシュバ。
私はシュバに駆け寄りました。

「どけ!」

光の子に突き飛ばされ、転ぶ私…非力な自分が恨めしい…

「捕まえたぞ!砕けろ!」
「うぅわあああああぁぁぁぁ」

肩を掴まれ、のけぞるシュバ…
おぞましい音が響く…

光の子…私はあなたを…許しません!
青い光りが目の前を揺らぎました。

「…月の精霊よ…神の御名において命ず…我が力!解き放て!」

自然と言葉が口をついて出てきました…
青い光りが身を包みます…
私は心の目を開く事ができました…

覚醒…

この事だったのですね…お婆様…

「な!何だ!その光は…どうしたんだお前!」
「…どきなさい…」
「何を…悪いが、こいつはここで潰す!」
「ぐぅああああぁぁぁぁ…」

光の子はシュバの骨盤を砕いた。
私は光の子を突き飛ばし、シュバを抱きしめる。
苦しさにもがくシュバを抱きしめる。
青い光りが私達を包む。

「まさか…俺と同じ力を…馬鹿な…」

地に転がり、唖然と見守る光の子の目の前で…
シュバの傷を癒やし、その四肢は復活して…

「危険だ…お前も神になろうとしている…民が割れる…それは危険な事だ…」
「…私は神ではありません!」
「お前も…砕き消し去らなければ…」
「…やってごらんなさい!…」
「こいつ!」

光の子は私の肩に手をかけました。

「砕けろ!」
「…」
「く…砕けろ!」
「…無駄です…」
「何故だ!なぜ砕けん!」
「…私の力は…癒やしと…守り…」
「なんだと…くっ!」
「そして、うちが復活ね」
「…シュバ…よかった…」
「泣くなよディーヴァ。今あいつを…ぶっとばしてくる!」

光の子は飛び退いた。

「…もともと俺は手荒な事は苦手でね。今日はこのまま帰るとしよう」
「逃げるのかよ!」
「…シュバ…いけません…」
「もっと力が必要なようだ。あの婆さん…あいつのせいだな…力が落ちている」
「お日様の光りを…見せてやりたかったんだぞ!」
「…何を言ってるんだ…お前は」
「何十年も闇に押しこめやがって…絶対に許さない…」
「訳のわからん事を!」
「…神の前に立った時…あなたは後悔するでしょう…」

光の子は後ずさりをし、距離を取っていきました。
私は飛び出そうとするシュバを必死で止めます。
私の力で傷を癒やす事は出来るでしょう。
でも今の光の子との闘いは、骨を砕かれて痛みだけを伴う不毛なものでした。
今の光の子を倒す力は…私達に無い。それは私が一番知っていました。

「いずれ俺はこの地球すべての人間を信者にする!汚れのない信者だけの世界に変えてやる!その時、お前らを消し去る力を得るだろう」

確かに…あり得ない事では…無い…

「あぁ!そうだ、忘れていたよ。あの黒いノイズのやつ。俺が掘り出して玩具にしてやる」
「シュート!」
「ほう。やつはシュートと言う名前か。なかなか面白い体質らしいな。報告は受けている。研究させてもらうよ」
「シュートに触るな!」
「あいつの思念を感じたか?あれは悪魔だよ…くっくっくっ…」


…いけない…この男の頭脳なら…やってしまうかもしれない…
光の子の従者…恐怖で鳥肌が立ってきた。

光の子は闇に溶けて消えた。



「トキメキア・セカンド」第五章 ディーヴァ  終わり
次回「トキメキア・セカンド」第六章 梅田 乞うご期待!













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