「久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン」
日本で一番危ないWEBマガジンが創刊!
『実 話ナックルズ』『ダークサイドJAPAN』元編集長の久田将義が、インターネットを通して新たな「アウトローメディア」を始めました。その名も「久田将義 責任編集 ニコ生ナックルズマガジン」。編集長の久田氏をはじめ、様々なアウトロー著者陣営がどの既存メディアでも露出できない記事をお届けします。(毎週金曜日に はその週のまとめ記事を配信)
青木理 寄稿記事「冤罪死刑はおそらく、ある。」
いつのことだったか、本ブロマガの編集長である久田将義君が、こんなことを言ったことがあった。
「人間の一番悲惨な死に方の一つって、やっぱ、冤罪で死刑にされちゃうってことじゃないっすかね」
私もそう思う。また、久田君はこうも言った。
「そんなケースって、日本ではあるんすかね」
私は答えた。おそらく、ある。事実、死刑判決が確定した後に裁判のやり直し=再審が行われ、冤罪が発覚した事件は1980年代に計4件も相次いでいる。いまも獄中から懸命に無実を訴えている死刑囚は幾人もいるし、冤罪の疑いが相当高いのに刑が執行されてしまったケースもある。1992年に女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑判決を受け、2008年に処刑された久間三千年死刑囚などは、その一人だと私は考えている(この事件については、拙著『絞首刑』講談社文庫を参照)。
もとより、冤罪で死刑にされるなどというのは、近代刑事司法においては決してあってはならない所業にほかならない。「百人の罪人を放免するとも一人の無辜の民を刑するなかれ」という大原則に背くばかりか、後に冤罪だったと分かっても、もはや取り返しがつかない。
しかし、死刑だけが悲惨なわけではない。まったく身に覚えのない罪を着せられ、何年も、何十年も獄中で過ごし、貴重な人生の時を奪われてしまった人々の苦悩も、想像を絶する。残念ながら、そんなケースはいまも頻発している。
たとえば足利事件、布川事件、東電女性社員殺害事件、氷見事件。以上の事件は、最近のわずか6年ほどの間に判明した主な冤罪事件だが、いずれも無実の人が数年から数十年間も獄中に叩き込まれた。しかも、足利事件と布川事件、氷見事件では、被疑者とされた人々は、まったくの冤罪だったにもかかわらず、警察や検察の取り調べでは「自白」に追い込まれてしまっていた。
昨年に発覚した遠隔操作メールでも、無実の人が計4人も逮捕されたことは記憶に新しい。このうちの2人もまた、やってもいないことを「自白」させられてしまっている。
誰しもが疑問に感じるだろう。やってもいないことを、どうして「自白」してしまうのか。背後には、この国の刑事司法の深い病理が横たわっている。そのことについてはいずれ本ブロマガであらためて詳述したいと思うが、このように歪んだ刑事司法の現状を放置しておくわけにいかないのは明白だろう。
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