博田伸樹の地方競馬・ダート競馬予想コラム「Dの疾風」

コラム 間もなくダービーシリーズ2021-各地の3歳路線の現状を探るPART2(大井ほか6月開催6場編)

2021/06/05 21:30 投稿

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5月に行われた金沢と佐賀のダービーは、1冠目を制した馬がそのままダービー馬の称号を手にした。このあと続くダービーでもこの流れが続くのか、または待ったをかける馬が現れるのか、興味は尽きないところだ。
ここでは6月9日に実施される東京ダービー以降、6月に開催されるダービーシリーズ6競走について、動向をお伝えします。

おことわり・本コラムは、6月5日18時までに得た情報を基にしています。また繰り返しになりますが、開催時に予想記事は掲載いたしません。ご了承ください。

東京ダービー(6月9日・大井2000m)

昨年の全日本2歳優駿を逃げ切ったアランバローズが、距離を克服できるかが焦点の1つだった南関東の3歳路線。今期初戦の京浜盃はスタートで出遅れて9着に終わったが、4月29日に行われた1冠目の羽田盃では、好スタートから最後まで粘り2着と、距離にメドを立てた。更に1ハロンの距離延長は有利とはいえないが、それ故にマークが緩むようなら、逃げ切るスピードは十分ある。レースのカギを握ることは、間違いないだろう。

その羽田盃を制したのはトランセンデンスだった。道営時代は惜しい競馬が多かったが、南関東移籍初戦のニューイヤーCを制して勝つ味を覚え、それが羽田盃で最後捉える走りにつながった。また末一手のイメージが強かったが、この時は3番手につける積極的な走りを見せたことも注目。展開と位置取りが噛み合えば、2冠達成という可能性も十分考えられるところだ。

京浜盃を制して一躍注目を集めたチサットは、羽田盃は直線伸びあぐねて4着止まり。ただし対トランセンデンスという視点でみれば、道中の位置取りが入れ替わったことが結果につながったという内容で、力負けではないだろう。南関東移籍後、京浜盃まで無傷の3連勝を飾った勢いが失われていなければ、羽田盃の雪辱を果たしても驚くことはないはずだ。

別路線組では、4月21日のクラウンCジョエルが直線一気の末脚を披露して差し切り勝ち。その切れ味はマイル向きの印象はあるが、この距離でも披露できるなら侮れない。そしてこの時2着だったギガキングは、5月4日の東京湾Cで2着に5馬身差をつける圧勝を収めたが、本来は混戦に強いタイプ。乱戦になるようなら、抜け出してくる力は持っていると思う。

あと4月30日に行われたトライアルを制し、デビュー3連勝で出走権を手にしたトーセンクロードに、未知の魅力がある。雲取賞を制し羽田盃3着だったランリョウオー故障により戦線を離脱したものの、今年も有力候補目白押しの大混戦で本番を迎えることになりそうだ。

兵庫ダービー(6月10日・園田1870m)

2歳時に路線を牽引したツムタイザン今年に入って戦線を離脱。4月15日に行われた1冠目の菊水賞は確たる主役不在で迎えたが、勝ったのは2歳時に園田ジュニアC2着があり、また名古屋スプリングC2着と遠征競馬でも実績があるシエナキングだった。息の長い末脚を武器に、距離が延びてから安定した戦いぶりを披露しており、更に距離が延びる本番でも期待はかかる。ただし菊水賞は仕掛けどころが嵌った部分もあったし、また5月4日の統一GⅡ兵庫チャンピオンシップを回避して5月14日の一般戦を使う(1着)というローテーションは異質。これが吉となるかどうか、わからない部分はある。

その菊水賞で1番人気だったサラコナンは5着。転入後負け知らずの勢いと兵庫ユースCで遠征勢を破った点が評価されたものだが、この日は太目の馬体とまくり合戦の中で戦い方が中途半端になったのが敗因。馬体を絞った前走兵庫チャンピオンシップでは、中央勢の争いに加われなかったとはいえ、地元再先着をがっちりキープ。強い相手にもまれた経験を武器に、巻き返しを期するはずだ。

菊水賞で2着だったエイシンイナズマは、まくり合戦を真っ先に動いて3角先頭。結果的に早仕掛けだった分だけ粘り切れなかったが、内容は遜色なかった。こちらも転入後3着を外していない安定感が武器で、逆にいえば勝ち味に遅いところは否めない。それでも今年のメンバーなら、大舞台で勝利を掴み取る可能性は十分あるだろう。

あと5月13日に行われた牝馬限定ののじぎく賞クレモナが制したが、馬場状態の違いはあるにせよ、菊水賞より速いタイムで走ったのは注目される。またこの時2着だったパールプレミアは、名古屋で若草賞を勝った実績の持ち主で、これら牝馬勢も今年のメンバーならチャンスがあるかもしれない。

東北優駿(6月13日・水沢2000m)

5月2日に行われた1冠目のダイヤモンドCは、2歳王者リュウノシンゲンが2番手追走から早目先頭に立ち、後続を寄せ付けずに快勝した。これまでダートで敗れたのは南部駒賞3着だけだが、この時勝ったギガキングをはじめ3頭が東京ダービーの優先出走権を獲得する、ハイレベルの1戦。地元馬同士であれば断然の存在で、自身に不安があるとすれば未知の距離だけ。ここを制し、さらなる飛躍を期待したいところだ。

この時2着だったゴールデンヒーラーは、2歳時に交流重賞の知床賞とプリンセスCを制した牝馬。牝馬路線を捨ててこちらに向かったが、突き放されずに最後まで喰らいついた走りは、評価に値するものだった。この馬もリュウノシンゲン以外にはダートで負けておらず、交流重賞を勝っている経験値が未知の距離で活きれば、逆転があるかもしれない。なお主戦の山本聡哉騎手は5月25日の競走で落馬負傷しており、乗り替わりの可能性がある。

この他ではあやめ賞でゴールデンヒーラーの2着に入り、5月16日に行われた留守杯日高賞で遠征勢に食らいついたベニスビーチや、2歳戦で重賞2着が2回あるグランフォロミー辺りか。ただし今年は、本番まで地元でマイルを超える距離が1度も行われなかった。そのため距離経験がある転入組が、その利を活かして台頭する可能性があることは、留意すべきかもしれない。

東海ダービー(6月15日・名古屋1900m)

笠松競馬の開催自粛は、東海地区の3歳路線にも大きな影響を与えた。1月のゴールドジュニアと4月の新緑賞という2つの3歳重賞が消え、さらに名古屋所属馬だけの争いになったために、近年以上に層の薄さが目立つ印象がある。

そんな中で迎えた5月4日に行われた1冠目の駿蹄賞は、年明け後重賞3連勝中だったブンブンマルと、転入後4戦無敗だったトミケンシャイリの対戦に注目が集まったが、勝ったのは1番枠から逃げたトミケンシャイリ。勝負所で2番手追走のブンブンマルを突き放し、その貯金で最後まで踏ん張ったが、勝ちタイムは1800mに戻った2013年以降では、歴代2位の好時計と中身もあった。スピードタイプ故にプラス100mは課題になりそうだが、それを克服すれば2冠達成のチャンスは十分あると思う。

その駿蹄賞で2着だったブンブンマルだが、敗因は枠順の内外と勝負所における手応えの差。そしてもう1ついえば1強ムードが出来つつあった中で、勝たなければというプレッシャーがあった点かもしれない。この敗戦によってそれから解放され、自身の力を発揮することに専念できるなら、当時の1馬身差は気にならない。その意味でも勝負所で突き放されながら最後の直線でもう1度詰め寄った走りは、本番につながるものだった。

この2頭に迫る可能性があるなら、4月21日の東海クイーンCを含む牝馬重賞2勝を挙げているニジイロだが、前走園田に遠征したのじぎく賞で9着惨敗が示す通り、好凡走の差が激しいところがある。時計面でも同距離の駿蹄賞と比べて約3秒も差があるなら、出てきたとしても厳しい戦いになるか。そうなると余程のことがない限り、2強ムードで本番を迎えるだろう。

北海優駿(6月17日・門別2000m 地方全国交流)

2歳時のトップクラスがなかなか残ってくれないのが近年のホッカイドウ競馬だったが、この世代はエーデルワイス賞を制したソロユニットと、第1回JBC2歳優駿の覇者ラッキードリームが揃って残った。他にも力のある馬が多く残り、それだけ賞金面などの環境が充実してきたことを示している。

5月13日に行われた1冠目の北斗盃は、この2頭の初対戦という意味でも注目を集めたが、先行勢を見る位置で進めたラッキードリームが、3角からスパートすると4角先頭。最後の直線で突き放すことはできなかったが、そのまま押し切り1冠目を制した。メンバーで唯一年明け初戦だったことや、内回りコースがどうかという不安点があったものの、結果としては杞憂といえる走り。あらゆる意味で条件が好転する大舞台は、更なる高みを目指すための通過点になるかもしれない。

北斗盃で2着だったリーチも、2歳時に南関東に遠征して鎌倉記念を勝った実績馬。先に抜け出したラッキードリームに最後まで喰らいつき、レース巧者ぶりを如何なく発揮した内容は好感が持てた。ただし距離経験はマイルまでで、底力が求められる2000mへの対応力は未知数。それでも勝負付けが済んでいない点は、侮れないところである。

逆に北斗盃で力を出せなかったと思われたのが、4着だったオタクインパクト。器用さを求められる内回りより、豪快なレースができる外回りの方が動きは良いので、巻き返しがあればこの馬だろう。なお北斗盃3着のソロユニットは北海優駿に登録がなく、今後は短距離路線を歩む予定。別路線組は中央から転入した馬が何頭か登録しているが、基本は北斗盃上位組の争いとみていいだろう。

高知優駿(6月20日・高知1900m 地方全国交流)

5月2日に行われた1冠目の黒潮皐月賞は、3角から動いたハルノインパクトが4角までに先行勢を捲り切り、1冠目を手にした。黒潮Jrチャンピオンシップを制した生え抜きナンバー1も、年末から勝てない競馬が続いていたが、暖かくなってから復調。5月22日に行われた1800mの準重賞も制し、これで現在4連勝。自他ともに認める地元のエースとして、遠征勢を迎え撃つ立場で大舞台を迎える。

黒潮皐月賞で2着だったブラックマンバは、金の鞍賞でハルノインパクトを破るなど、2歳時から互角の競馬をしている馬。しかし年明け後は古馬相手の1勝だけで、同世代相手では勝ちきれない競馬が続いている。その内容をみるとハルノインパクトをマークする競馬が多いが、勝負所で置かれることがその要因か。この流れを変えるために、勝つために戦い方を変えるかどうか気になるところだ。

黒潮皐月賞3着のナムライダテンと4着のモユノイイオンナは、ともに5月22日の準重賞で崩れており、距離延長に疑問符が付く。一方でその準重賞で2着のエゾフウジンは単騎逃げと減量騎手起用が奏功した印象で、更に上を期待するのは厳しいかも。1月に1600mの準重賞を勝ったペアナチュラルもその後状態を落としており、遠征勢に対峙できる馬は、黒潮皐月賞1-2着の生え抜き2頭に限られそうだ


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