博田伸樹の地方競馬・ダート競馬予想コラム「Dの疾風」

「ジャパンダートダービー」戦評-主役は最後にやってくる・・・ルヴァンスレーヴの豪脚は、次に何を捉えるのか

2018/07/13 22:00 投稿

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ルヴァンスレーヴにとって、この舞台が簡単な戦いにならないことはわかっていただろう。2歳時にダート統一グレードを制した中央所属馬がジャパンダートダービーを勝っていない事実だけでなく、2000mに対する不安に未知なる実力馬の存在。そしてこのレースでは鬼門といわれた1番枠(優勝馬なし、3着以内も2頭のみ)を引き、負けておかしくない条件がこれ以上ないほどに揃っていた舞台だった。しかし後方でじっくり構えたルヴァンスレーヴは、最後の直線で大外に持ち出すと、逃げ込みを図るテーオーエナジー並ぶ間もなく差し切った。これまで多くの名馬がこのレースの勝利をきっかけにスターダムへの階段を登っていったが、その背中をルヴァンスレーヴは追いかけることが出来るだろうか。

<舞台に応じて柔軟に戦えることを示したルヴァンスレーヴ>

レースはテーオーエナジーが逃げ、リコーワルサーが2番手につけて始まったが、先行勢の前半1000mのラップは62.6秒。東京ダービーのそれが62.7秒とほぼ同じで、最終的な勝ちタイムも東京ダービーより0.9秒しか詰まらなかった。例年は前半のペースが1~2秒速くなる分、勝ちタイムも速くなるという傾向にあるが、今年は両レースが極めて似たレース展開になったといえるだろう。

その流れをルヴァンスレーヴは、いつものようにスタートで1馬身ほど出遅れたが、後ろから3番手で慌てずにレースに入っていった。そして早目に大外に持ち出すと、4コーナー手前からスパートを開始。最後の直線で全馬を差し切った末脚は1頭だけ別次元で、2着につけた着差は1馬身半だったが、その着差以上に力の差を見せつけた1戦となった。

この1戦で垣間見せたのは、舞台に応じて戦い方を変えられる柔軟性だろう。ユニコーンSの時は早い段階から馬なりで上昇し、早目に先頭に立ったが、今回は勝負所まで最初の位置をほぼ守っていた。距離を意識した部分もあるだろうが、どちらの戦い方でも他を圧倒したのがとにかく凄い。現時点ではウイークポイントとなりそうな所は見当たらず、今後も世代を牽引する走りを期待させることになるはずである。

そんな中、敢えて気になる点を挙げれば、勝ちタイムが昨年のヒガシウィルウィンと同じ2分5秒8だったこと。黄金世代と評されていたことを考えれば、もっと速い時計も期待されたが、これは序盤が速くならなかったため。速い流れになっていれば、それに併せて時計も詰められたと、私は考えている。

秋になれば、否応なく古馬一線級相手との戦いに身を投じることになる。その古馬戦線には今、絶対能力でねじ伏せる王者はいない。だとすればその豪脚で、いきなり古馬勢を捻じ伏せてしまう可能性も、十分あると私は思っている。その舞台がJBCクラシックであってほしいという願望は持っているが、まずは秋初戦がどこになるかを楽しみに待ちたいと思う。

<新ライバルを宣言したオメガパフュームと、落とし穴があったドンフォルティス>

この他の中央勢をここでまとめると、2着には古馬1000万下を勝って参戦したオメガパフュームが入った。4番手グループで流れに乗っていたが、最後の直線で外から来たドンフォルティスに一度は交わされ、そのまま沈むのではと思わせた。ところがゴール前で息を吹き返すと、2着争いをまとめて捉える末脚を披露。直線に向いたところでもたついていなければ、もっと際どい競馬が出来たと思われ、新たなライバルとなることを宣言したといえる走りは見せたのではないだろうか。

3着のグレートタイムもオメガパフュームとほぼ同様の位置取り。しかしこちらは内々を捌きながらの競馬で、きれいに捌けなかった分だけ2着争いで後れを取った印象も。しかしこれまでも相手なりの競馬しかできておらず、勝ち切るためのパンチ力は現状では持っていないか。そのための武器を手にした時に、どう馬が変わるかは気になるが、そこまでにどれだけ時間がかかるのだろうか。

逃げたテーオーエナジーは、最後の直線でリコーワルサーを振り切ることはできたが、そこで止まってしまい、最後は5着。初めて逃げる競馬をしたことで戸惑いもあったようだが、戦い方として間違っていたとは思わない。これからを考えれば先行力で勝負できないと厳しい馬と評価しており、今回の戦い方に磨きをかけることで、未来を切り拓いてほしいものだ。

意外だったのは6着に敗れたドンフォルティス。中団から徐々に進出し、ここから伸びると思われたが、ルヴァンスレーヴに交わされるとパタリと止まってしまった。振り返れば自身より後ろから来た馬に差された経験がなく、そこで走る気を失ってしまった可能性はある。ルヴァンスレーヴの前で戦い、その切れ味に対抗しようとしたところに落とし穴があったといえ、今後の戦い方が難しくなる1戦になったかもしれない。

<クリスタルシルバーの健闘にみる、南関東勢のレベルは>

冒頭で今回のレース展開が東京ダービーと似ていたと指摘させてもらったが、更に詳しい話をすれば、あるワンポイントを除いてラップ全体がほとんど変わらなかった。その恩恵を受けたのが、地方最先着の4着に入ったクリスタルシルバーだった。3番手の追走から一旦は離されながら、最後の直線でもうひと伸び。2着オメガパフュームからクビ+クビ差で、惜しくも馬券圏内に入れなかったが、この流れを経験していた強みを活かした点はあったといえよう。

一方で東京ダービーとの違いは、4コーナー手前に当たる残り3ハロン目のラップにあった。ここが東京ダービーはレース中で最も遅い13.5秒だったのに対し、今回は12.5秒。ここで1秒速いラップが来たことが、このレースの最も厳しかったところ。力がなければここで置き去りにされて終わってしまうが、懸命に喰らいついて最後にワンチャンス巡って来たのは底力があるからこそ。フロックで手にした結果とは、思ってはいけないだろう。

また着目したいのは、クリスタルシルバーは東京ダービーから0.6秒しか時計を詰めていないこと。例年なら1~2秒詰めないと勝負圏に加われないので、改めて今年の東京ダービーのレースレベルが高かったと感じずにはいられない。最後は8着に終わったリコーワルサーも、2番手から見せ場十分の走りを見せており、今後も激しい競馬を繰り返すことで、統一グレード戦線を賑わせる存在が多数出て来ることを願いたいものである。

それだけに東京ダービー馬ハセノパイロを筆頭に、ダービーシリーズ優勝馬3頭が、3コーナーまでに圏外に去ったことは残念だった。ダービーで燃え尽きた訳ではないだろうが、東京ダービーで負けた馬が可能性を示しただけに、寂しさを禁じ得なかった。

(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


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