博田伸樹の地方競馬・ダート競馬予想コラム「Dの疾風」

「帝王賞」戦評-またもギリギリの勝負を制したゴールドドリーム! 統一GⅠ4勝目は、評価を変える1戦といえたか

2018/07/03 22:00 投稿

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日本の競馬場では1周の距離を計測する際に、内ラチから1mのところを計測すると定められている。そこから更に1m外を回った場合、コーナー4つの競馬なら6m強余計に走る計算になる。終始内々を回って距離ロスを防いだゴールドドリームと、王者の誇りを持って外を回ったケイティブレイブ。2頭の明暗を分けたクビ差は、それだけが理由だったのだろうか。

<想像以上のハイペースで垣間見えた、消極的なケイティブレイブ>

レースはケイティブレイブでもオールブラッシュでもなく、テイエムジンソクの逃げで始まった。この馬も逃げられるスピードは持っている馬だが、他の2頭が逃げてこその馬だけに、第一印象は少々意外だった。だが後で発表されたラップタイムをみると、前半3ハロンが35.1秒、5ハロンでは59.9秒という超ハイペース。絡んでいくのが容易でない流れだったのは、確かといえるだろう。

それでもケイティブレイブ3番手で折り合ったのが正解かとなれば、話は違ってくる。というのもこの馬が強さを印象づける時は、強引な逃げで勝負した時。昨年の帝王賞でまさかの追い込みを決めてからはそれが消え、今年の逃げ切り勝ちもどちらかといえば溜め逃げ寄り。崩れないという考えならそれで良かったかもしれないが、勝つための戦い方ではなかったと、私は断言したい。

その理由は最後の直線で先にゴールドドリームに抜け出され、1度も先頭に立つ瞬間がなかったから。そこに消極的な戦いだったことが象徴的に込められており、せめて4コーナーを単騎で抜け出す積極的な仕掛けをしていれば、結果は違っていたのではないか。レース後に関係者からは内容に満足する声が出ていたが、だとすれば評価を消極的な戦いに終始した、昨秋の頃に戻すことも考えるべきだろう。

せっかくなので逃げたテイエムジンソクの評価もここでしておきたいが、今回勝ち負けするためなら、同じペースで今回のケイティブレイブの位置で戦うのがベターだった気もする。しかし初ナイターや11キロの馬体増があったことを考えれば、統一GⅠで逃げられるスピードを披露したことは前向きに捉えていい。最後の直線で止まり、6着という結果に終わったが、秋に向けて可能性はつながった内容だったと考えている。

<とことん内ラチにこだわった、クリストフ・ルメール騎手の勝負勘>

一方でゴールドドリームは、前走かしわ記念でスタートの課題をクリアし、また地方の馬場でも初めて勝利。しかし今回は長いとされた2000mに対し、どう対応するかが問われた1戦だった。

課題のスタートは1馬身ほど出遅れたが、この程度なら許容範囲で、内枠を利してスンナリ中団の位置に。ここからペースが落ちていなかった向正面で、内を突いて前を追いかけたのが、大きなポイントだった。実はこの時、先行勢は内ラチを大きく空けて走っていて、内を突けば距離得だけでなく、前との差も一気に詰められる場面。これを見事に利用して、3コーナーでテイエムジンソクの直後に取り付いたクリストフ・ルメール騎手の勝負勘には、脱帽するしかないだろう。

最後の直線でもテイエムジンソクの内に入れ、外を回ったケイティブレイブの一歩先に抜け出すことに成功。相手は粘る脚はあっても差す脚はないので、ここで勝負ありだったのかもしれない。一瞬でも外を選択した場面があれば、抜け出せなかった可能性も十分あったと思われ、またもギリギリの勝負に持ち込んで勝利を手にした1戦といえるのではないだろうか。

前走かしわ記念の時にも評したように、今回も絶対的な能力を見せつける競馬ではなかった。だがマイラーといわれていた馬が、形はどうあれ2000mの統一GⅠを勝った事実は重く、どんな条件でも警戒すべき存在になったことは間違いない。ダート競馬界がこの馬を中心に回ることになる、節目の1戦になるかもしれない。

だがそのためには、秋に黄金世代と呼ばれる3歳世代を抑えなければいけない。その秋シーズンはチャンピオンズCを最大目標に、始動戦をどこにするかを考えるとのこと。いずれにせよ3歳世代との初対決がどこになるかが、秋のダート戦線最大の注目となりそうである。

<光も見えた地方勢の戦いと、見せ場なく消えた中央勢の苦悩>

3着サウンドトゥルーは後方から直線勝負に賭けたが、前の2頭に1馬身半差まで詰め寄るのが精一杯だった。昨年制したJBCクラシック以降、ほぼ同じタイムで駆けているが、上がりは今回が1番かかっている。速い流れを前に切れ味が削がれた印象はあるが、今回に関しては先着した2頭が上だったと評したい。

地方勢最先着となる4着に入ったリッカルドは、4番手グループから3コーナーで追い上げを開始。4コーナーでケイティブレイブの直後まで迫ったが、ここから離されてしまった。大井記念から時計を1秒詰めたので、自身の力は出し切ったといえるが、この距離の統一GⅠとなればこれが限界か。ただし2000mよりも適性が高いとみるマイル前後の距離で、もう1度見たいものである。

ヒガシウィルウィンはゴールドドリームの更に後ろからの競馬。そのまま最後の直線に賭けたが、5着止まり。それでも大井記念で離されたリッカルドにはクビ差まで迫ったし、今回程度の位置から末脚勝負に徹した方が、可能性は広がるのではないか。まだ4歳馬なので、更なるレベルアップによって、ここで勝負できる馬になる光は見えたのではないか。

そのヒガシウィルウィンとほぼ同じ位置でレースを進めたカツゲキキトキトは、その位置を守る形で結局7着。これでもジャパンダートダービー当時のゴールドドリームとは時計差はほぼ同じで、いい意味で当時から力関係が変わっていないのは好印象。自身が絶好調だった昨年の名古屋大賞典当時であれば、もっといい競馬が出来たようには思うけれど。

ドバイ帰りのアウォーディーは、4番手グループから失速し、最後は8着まで沈んでしまった。ダート無敗でJBCクラシックを制した時の輝きは完全に失われたといっていいが、それは統一GⅠにこだわりすぎたローテーションもあるだろう。メンバーが軽いところで自信を取り戻してほしい気持ちは残っているが、もはや手遅れかもしれない。

最後に期待したアポロケンタッキーに触れると、後方で追走に窮して11着と大敗してしまった。昨年のJBCクラシックを思い起こさせるような走りとなった要因は、12キロ減の馬体もあったのかもしれないが、根本的に大井コースが良くないのかも。一昨年の東京大賞典制覇の評価を、改めるところから改める必要はありそうだ。

(詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


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