日本年金機構で情報漏えい事件が起こりました。これは不審メールの添付ファイルから感染するコンピュータウィルスによるサイバー犯罪です。まずは、こういう事態になり国民の皆様にご心配をおかけしたことに対して、与党の議員としてお詫び申し上げるとともに、再発防止に全力をあげ、二次被害が出ないように万全を尽くすことを約束します。
詳細は調査中ですが、今回の事件はシステム的な問題もさることながら、運用面、つまり人災の部分が小さくないのも事実です。野党の幹事長が、「本来なら金庫に入れておくべき個人情報を、玄関先においていたに等しい」と指摘しましたが、私もまったく同感です。しかし、このような家屋の設計を担当したのは2011年当時の民主党政権です。すでに標的型メールの危険性が顕在化していた時に、なぜ対策を講じることができなかったのかは疑問が残ります。
政権交代の引き金にもなった「消えた年金」というキャッチフレーズに味をしめた一部の心無い野党議員は「漏れた年金」などと悪戯に不安を煽るような主張をしていますが、漏れたのは「年金」ではなく「個人情報」であり「年金情報漏えい事件」ではなく「年金情報窃盗事件」であり、あくまでも悪いのは窃盗犯なのです。責任転嫁するつもりはありませんが、過去の経緯から考えても政局にすべき問題ではありません。
ITとか情報システムというとアレルギー反応を示す人も少なくないと思いますが、今回の事件を車の運転にたとえると理解しやすいかもしれません。車の事故を完全にゼロにするのは不可能です。しかし、事故のリスクと車の利便性を天秤にかけて、私たちは車を利用することを選択しています。もちろん、事故が起きないように車の整備(車検や点検)をしたり、交通のルールを整えたり(道路交通法)、運転手の技術チェック(運転免許更新)が欠かせないといことは言うまでもありません。
情報システムも同様で、コンピュータウィルスによる感染やサイバーテロを100%防ぐことは極めて困難です。しかし、デジタル化やグローバル化に対応できなければ、日本の明るい未来がないことも事実です。我々が取り組まなければならないことは、可能な限りサイバーセキュリティ体制を強化し、ウィルスに感染しないようにセキュリティ教育を施し、仮に被害にあったとしてもその影響を最小限にとどめるように、システム面も運用面も整備することです。
一部報道ではマイナンバー制度もネットワークにつながるから危険なので、中止すべきだという主張も見受けられます。これは、事故が起こったから直ちに車全体を禁止にすべきだと言っているのに等しいものであり、マイナンバー制度の本質を理解していない暴論だと言わざるを得ません。マイナンバー制度は民主党政権が提案して、自民党がバトンを引き継いだ社会の新しいプラットフォームを構築するための政策です。そして、公平公正な社会の実現、デジタル社会の進展と時代の要請に応えるために欠かせないものです。次の世代のためにも、日本が成長するためにも、これまで与野党が協力して推進してきたプロジェクトを頓挫させることは許されません。年金もマイナンバーも政争の具にすることなく、立法府として責任を果たす時です。
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