今回の党役員人事で広報本部長に就任することになりました。振り返ってみますと、私は自民党が野党に転落してしまった5年前、当時の谷垣禎一総裁、小池百合子広報本部長体制で、党としては後のない崖っぷちの厳しい状況の中、広報戦略局長として新しい取り組みにチャレンジさせていただきました。僅か5年前には主流とは言えなかったネット広報や情報分析、また、地域の皆さんと少人数で膝詰めで語り合う「ふるさと対話」のネット中継、更には、自民党本部1階の喫茶店の一画をネット配信のスタジオに改装して行った「カフェスタ」でのネット番組配信など、今となってはそれ程珍しくもない広報戦略も、当時としては斬新で思い切った決断だったのではなかったかと思っています。
その後、茂木敏充本部長、甘利明本部長のもとでも広報戦略局長やネットメディア局長、広報本部長代理として、その都度、攻めの姿勢で広報の仕事に携われたことは、私にとって勉強にもなり、幸運な経験でした。そして今回、前任の平沢勝栄本部長からバトンを受けて自民党の広報責任者としての重責を担うことになりました。
最新の「自由民主」でも紹介されている通り、党5役(副総裁、幹事長、総務会長、政調会長、選挙対策委員長)に続いて、広報本部長と組織運動本部長は、総裁直属の役員ポストであり、自民党のテレビや新聞の広報、ネットメディア対策、また各選挙対策や政策パンフレットの作成など仕事は山積しています。一昨夕、安倍総裁から携帯電話に直接連絡をいただき、自民党の置かれている苦しい状況を踏まえて、新しい広報戦略を託されました。与党の立場だとついつい守勢に回り、大胆な広報戦略を躊躇しがちになりかねません。しかし、それでは有権者の皆さまに真意が十分に伝わらず、政策の重要性が置き去りになってしまうことも懸念されます。今回のような急速な支持率低下を踏まえて、国民に真実を伝えるために、もっとできることがあったのではないかと大いに反省しています。これからは私なりに冷静に状況を分析して、与党が為すべき丁寧でわかりやすい広報戦略を推進したいと思います。
今後は役員会や総務会への出席はもちろんのこと、総裁との直接のやり取りも増えるので、更に忙しくはなりますが、今までの経験をフル活用して安倍総裁を支え、広報の責任者として全力を尽くします。自民党が再び国民の皆さまから信頼を取り戻し、ご期待いただくためには、先ずは野党に転落した時のような謙虚な姿勢を貫くことが必要です。その上で、日本の未来を拓く前向きな政策を着実に実行して、経済政策を中心に結果を出すしかありません。ここで自民党が踏ん張らなければ、明るい未来は訪れないばかりか、私たちの愛する日本は衰退の一途をたどりかねません。改めて、最大限の緊張感を持って広報本部長の任に当たることを、ここにお約束申し上げ、就任のご挨拶に代えさせていただきます。