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moxboxのブロマガ

始まりの遊戯王

2019/07/02 22:14 投稿

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マジック&ウィザーズだ!
マジック&ウィザーズだ!
マジック&ウィザーズだってよ!
少年だった我々に衝撃が走った。
攻撃力に防御力、ライフポイントに魔法カードと全てが衝撃の一言だった。
青眼の白龍が幻のレアカードだった。
じいちゃんの宝物だった。
欲しい!何としてでも欲しい!
そうして始まる物語は序章にすぎず、永い物語の最初のエピソードだった。



ダイエーに入荷したらしい。
○○のおもちゃ屋にあった。
情報を聞き付けた僕は学校が終わると即帰宅し自転車を走らせダイエーへ向かう。
無い!じゃあおもちゃ屋に行くしかない!
ここにも無い!
一体全体どこにあるんだ!?
まだインターネットもパソコン通信等と呼ばれてたり、某警察漫画でパソコンの話題が取り上げられて注釈欄で専門用語の解説が長々と語られていた時代に生きていた僕のネットワークなんて狭い世界で構成されており、友人も少ないので運命的な巡り合わせでもない限り、遊戯王のカードを手に入れるのは難しかった。
漫画の世界を飛び出し現実と化したカードゲームを手に入れる。
たったそれだけのことが僕にとって夢の中の話みたいな感覚だったのだ。



別のクラスの上原君という少年がいた。
僕にとってのヒーローのような存在だった。
それまでは目立った所がなく、一般人代表のような彼がヒーローになった。
捨てられていたHな本を熱心に回収してた場面を見たことがあるので、もしかしたら彼は前々からHEROだったかもしれない。
そんな彼が遊戯王のカードを手に入れたというのを聞いた時は衝撃だった。
あの上原君がカードを手に入れただって!?
しかも大量に持っているという話で、デッキだって組み上げてるという噂話が舞い込んできたときは悔しさと嫉妬と羨ましさで狂いそうだった。
スネ夫に自慢されてた時ののび太だって同じ気持ちだっただろう。
僕がのび太君だったらドラえもんに泣き付く場面だが、残念なことに僕にはドラえもんは居ない。
ドラえもんが居るのび太君と違ってドラえもんが居ない僕の存在は陳腐でちっぽけで小さな存在だ。
遠巻きに居る上原君が遊戯王のカードを掲げた時、そのカードがちらりと僕の視界に入る。
青眼の白龍だ!
青眼の白龍のカードがあそこにある。
あの時の僕にとっての青眼の白龍は、それを掲げた上原君に対して僕は双六じーちゃんに向かってトレードを要求する海馬の気持ちが痛いほどに理解できた。
そりゃ盗みもするよな。
カラーコピーで偽のカードを用意することもできない僕は、その光景をただただ見続けることしかできなかったのだ。



ある日ついにカードを手に入れた。
僕は遊戯王のカードを手に入れた。
あの遊戯王にあったマジック&ウィザーズのカードを手に入れた。
たった20枚だけど、ついに僕の手にもカードが収まった瞬間だった。
本当はもう少し欲しかったんだけど、おもちゃ屋の達磨堂の親父にはそれだけしか残ってないと言われ、全財産を遊戯王に捧げようと思ってた僕はちょっと残念な気分になった。
それでも遊戯王のカードを手に入れた僕は興奮が収まらず、入手したカードを見つめて自分の世界に入り込んでいた。
光ってもいない20枚のガード。
雑魚カードと呼ばれるような、一流のプレイヤー相手では紙切れと呼ばれても不思議ではないチンケなカード達。
僕にはそれが宝物で眺めてるだけで幸せだった。
昔集めてたガンダムやドラゴンボールのカードのように光ってはいないけど、艶々しててそこに印刷されたカードは美しいものばかりだ。
夜も更けて親にもう寝なさいと言われるまで、目の前には存在しない対戦相手を想定してカード遊びに興じる僕の姿は現代のプレイヤー達との違いなどないだろう。


今こうやって昔を懐かしみながら記事を書きながら人気が欲しい承認要求が欲しい等と欲にまみれながら文章などろくに書いたことがないカスみたいな考えをしてる奴だって、デッキを組み上げればセットしてエンドしかしない仮想敵をソリティアしてボコボコにしているのだ。
そこにどれだけの違いがあるというのか?
多分昔はもっと純粋だった。
今では把握できないくらいの、当時の想像を遥かに超えるだけのカードがある。
頭の中のデータベースにはカードの情報がいっぱいだ。
wikiを見ればもっとある。
ストレージの中身は乱雑に保管されたカードで一杯だ。
使われずに、見もされず、側面だけをずっと僕達に見せながら過ごすだけカード達がどれだけいるのだろうか?
それだけカードがあるのに足りない。
足りないカードがある。
凄く凄く贅沢な悩みだ。
少年はたった20枚のカードで満足していたのに・・・



僕は遊戯王のカードを学校に持っていくことにした。
20枚のカードを輪ゴムで縛り、学ランの内ポケットに忍ばせて、胸に秘めたカードを使う時が来ることを願い登校する。
休み時間になり、さっそく友人に見せる。

「あ!遊戯王のカードじゃん!」

カードを沢山持っている上原君はクラスが違うので、ここではすごく良かった珍しい存在になった。
少し鼻が高くなってしまったような快感に酔いつつも、僕はカードを広げる。
遊戯王を知る人達が集まり、ざわめきがクラスを駆け巡る。
見せて見せてと言われてから、勝負してみようよと言われるまで時間はかからなかった気がする。
そうだ。
このカードは観賞用なんかじゃない。
これで勝負ができるんだ。
やろう!
マジック&ウィザーズをやろう!



ルールなんて分からない。
遊戯王ではライフは2000で攻撃力の差だけダメージを受ける。
守備表示ならダメージは受けない。
シンプルだ。
魔法カードなんて持ってないから、純粋にモンスター達だけで勝負する。
20枚のカードを10枚ずつ配り、勝負開始のゴングがなる。
僕が召喚するのは暗黒のドラゴン!攻撃力は1600!
友達の樋口くんが召喚するのは2頭を持つキングレックス!攻撃力1600!
相討ちだ!
その後もモンスターを出し合い、モンスターが居なくなるまで勝負をする。
互いにモンスターが居なくなり、ライフの多い方が勝利だ。

一体何が楽しいんだ?

楽しかったんだ。
スリーブも無い裸のカードをシャッフルして配り、カードを引き、モンスターを召喚しあってバトルする。
それだけで楽しかった。
それだけのゲームで遊戯王と呼べるか分からないけど、確かに僕達には遊戯王だった。
マジック&ウィザーズだった。
サッカー少年で、そんなことには縁の無さそうな鎌倉君だって俺にもやらせてくれよと参加を希望してきた。
ルールも簡単で子供騙しみたいなものだったけど、鎌倉君も楽しんでた。
遊戯王は楽しい。
ごっこ遊びみたいなもんだったけど、一枚一名の光ってもいないノーマルカードが僕達を興奮させてくれたのは間違いない事実だった。



ある日のことおもちゃ屋さんにて上原君と出会った。
カードでブイブイ言わせており、彼の取り巻きのような奴等も何人かいた気がする。
僕が遊戯だとすると彼は完全にカプセルモンスターチェスを回しにきた木馬君みたいな感じだ。
僕がカードを買っていると、お前も遊戯王すんのかみたいな感じで近付いてくるわけだ。
取り巻きの連中は上原君がカードを買うんだから、お前のような雑魚が邪魔するんじゃないよと今にも言い出しそうな雰囲気である。
馴染みの店員であり、僕が好きだった店員さんの野本さんに迷惑をかけるわけにもいかず、素直にスペースを譲る僕。
店員がイレバージのような爺さんだったら戦争も辞さない覚悟だが、憧れの野本さんに迷惑をかけるわけにはいかない。

「ごめんごめん。邪魔だったよね。」

謙虚にいくのだ。
相手は大量に遊戯王カード持ってる上原君だ。
知識もカード量も圧倒的に上だし、当然経験値だって上のはず。
CPU相手に永久コンボの練習をどれだけやっても、対人戦を繰り返している実践派の連中相手では勝負にならないのだ。
ここは今後の平穏のためにも静かにやりすごさねば・・・

「お前も遊戯王すんの?勝負しないか?」

唐突にそう言ってくる上原君。
目が合えばポケモンバトルだと言わんばかりの挑戦状である。
突飛な発言に戸惑いを隠せない僕に彼は言う。

「デッキくらい持ってるだろ?隣のマクドナルドで遊戯王しようぜ」



当時はカードゲームそのものがあまり浸透しておらず、カードショップはおろか、こうやってカードゲームを取り扱う店その物が少なくデュエルスペースなんてものは存在しなかった。
当時に存在してたカードゲームなんてポケモンカードやMTG等のコアなカードゲームがあった程度である。
ポケモンカードはコンビニでも販売されてたが、MTGなんてものはコアなゲームショップや何故か個人営業の本屋さんくらいであった。
だからこそ、カードゲームを楽しめる場というのは必然的に限られてくる。
それこそマクドナルドやファミレスでドリンク一杯で粘るというのが定石だった。
現代ではマナーがなってないとか死ねとか滅べとかチョコになっちゃえとクレームがきて炎上しかねない行為だが、当時としてはそういうきっちりとしたルールがなくグレーな状態だったので、この場をお借りして当時の無礼を謝罪したい所である。



この店の隣は確かにマクドナルドなのだが、反対側はガストであった。
義務教育中の学生にはファミレスは敷居が高いのか、やたらと上原君はマクドナルド推しである。
正直な話をするとマクドナルドに金銭を使うのであれば、カードに使いたいというのが本音ではあるが、ちゃんとした遊戯王がプレイできるかもと思ったのも確かだった。
20枚のカードを互いに分けて10枚のカードの束をデッキと呼んで勝負していたのだ。
互いに40枚ずつカードを用意して、デッキとして勝負するのは初めての行為。
子供の遊びから大人の遊びに進歩したかのような、言わば初体験のような興奮が僕を襲った。

「いいよ、やろう。」

気付けば僕はそう言っていた。
何故だろう?
上原君とは親しくもないけど、そんなに口も聞いたことないけど、知らない取り巻き達に囲まれてるけど、レアカードも持ってないけど、雑魚カードと呼ばれるカードばかりだけど、本当ならカードにお金を使いたいけど・・・
それはやっぱり僕が遊戯王が好きで、マジック&ウィザーズに憧れていて、それで僕が・・・決闘者だからだろう。
挑まれたからには受けるべきなんだ。
決闘者なんだから。



人生初のデュエルは結果的には惨敗である。
理由は明確でルールがよく分からないから、言ったもん勝ちであるというのが最大の問題点だっただろう。

「そんなことはできない。」

「え?これできるけど?」

「こういう使い方もできるんだよ」

今では何だそりゃと言いたくなるようなルールの連打である。
多数決という人類始まって以来の最大の発明であり、最低な発明のおかげで、こちらが何を言っても上原君がそうと言えばそうなのだ。
取り巻きの連中が挙って上原君有利の裁定をし、こちらに有利な裁定はでることはない。
カードパワー的にも負けており、こちらが暗黒騎士ガイアだと言おうが、青眼の白龍の前にはバーストストリームである。
力こそ正義であり、数字が力だった。
悔しかった。惨めだった。打ち負かされた感じがしなかった。
何か別のものに負けた気分だった。
こんなの・・・俺が思ってた遊戯王じゃない・・・



勝負は結果的には惨敗と随分とあやふやなことを書いたが、負けたわけではない。
この時の勝負は圧倒的に不利だったけど、決着が正確にはつかなかった。
マクドナルドの2階で勝負していたが、途中で女子高生達が乱入してきて

「何それ~?トランプ?ゴメンけどこれからここでパーティーやるからここから出てってくんない?」

とまあ、こんな感じで上原君の取り巻きの3倍くらいの人数を連れた女子高生に数の暴力で追い出されてしまったのだ。
あれだけ僕にブイブイ言わしてた取り巻き連中も思春期真っ只中のウブな少年達に女子高生は刺激が強すぎたのか黙り混む始末である。
おい!お前らもっと頑張れよ。
こんな半端な形で俺の初めての遊戯王を奪わないでくれ!

「あ、分かりました。すみませんでした。」

なんで上原君が率先して言ってるんだよ!
すみませんでしたとか何で謝る!?
ふざけんなよ!
わざわざハンバーガーのセットまで頼んでこの席座ったんだぞ!

「んー、いいよーこっちもゴメンねー!」

何でお互い悪いみたいになってる!?
ちょっとマジでふざけんな!
お前譲って欲しかったら俺のハンバーガー代くらいは出してくれよ!
この飯代がどれだけの量のカードに変えられたと思ってんだ!

「おい、さっさと片付けて行こうぜ」

仕切ってんじゃねぇ!上原!!
お前から仕掛けといて何だこの体たらくわ!!
だからマクドナルドじゃなくてガストにしたほうが良かったんだ!
自由席でもないから席は固定で揉めないし、ドリンクバーで何時間でも粘れたはずだ!
こんなに仕切りが下手くそで何で取り巻きの連中が何人も居るんだ!?
カードか!?
カード沢山持ってるからか?
流行りのカードゲームを大量に持ってるから、こんなに人が集まるのか?
信じられない。
マジ狂ってるよ遊戯王!!!



こうやって僕の初めての遊戯王は、マジック&ウィザーズは終わった。
多数決という暴力を駆使した上原君も多数決によって、あっさりとやられてしまった。
どんな決闘者よりも女子高生は強かった。
その場はそこで解散することになり、そのまま上原君と遊戯王することは2度となかった。
僕はそれからマジック&ウィザーズをすることはなかった。
カードは集めていたが、相手がいなかったのだ。
どこのおもちゃ屋でもカードが売り切れで、当時は欲しかった子も沢山居たけど、手に入らないと興奮も薄れてしまい、最後は皆が興味なくなった状態になった。
徐々に皆はプレイしなくなり、サッカー少年の鎌倉君だってサッカーに戻ってしまった。
樋口君だってネオジオポケットに夢中だった。
僕も机の引き出しに遊戯王のカードを入れたままに、なってしまった。
あの楽しかったマジック&ウィザーズは子供達の流行から瞬く間に終わってしまったのだった。



しばらくたったある日のことだった。
当時愛読書だったVジャンプで衝撃の発表がされた。

コナミより遊戯王オフィシャルカードゲーム!デュエルモンスターズ発売決定!!

今までのバンダイから発売されていた遊戯王のカードは偽物だったの!?
あーでもまともに売る気があるならカードダスなんかで売らんよな。
ルールも何か凄い曖昧で、左下にルールその①とか書かれてて、全部読んでると確実に漫画のルールじゃねぇもんな。
キャラクターカードとかあって本田とか「おみそ」とかいうふざけた技名が書いてあったもん。
互いにカード出しあってバトルさせて勝った方がカードをもっていって最終的にレベルの星を多くとった方が勝ちとか意味分かんないもん。
じゃあこれから発売する遊戯王のカードでちゃんと遊戯王のゲームができるんだね。
やったねコナミ!
感謝感謝!!



子供心を何だと思ってやがるんだ!
汚い大人達だ!
何が公式だ!
今まで僕が夢中になってプレイしてたのは夢の中の出来事だったのか!?
どうなってるんだ?
一体何が起こってるんだ?
もう僕には分からない。
バンダイの遊戯王にかなりのお金を注ぎ込んでいた僕には遊戯王OCGデュエルモンスターズのスターターボックスの3480円というお値段は結構高額で厳しいものがあった。
ここから僕がカードゲームに復帰するまではしばらくの時間を要したのは言うまでもない。



それよりも僕よりも多額の金額を注いでいた上原君は、この時はどんな気持ちだったのだろうか?
当時カードが手に入らなかった最大の原因は上原君がガチャガチャのカードを買い占め続けたのが原因だった。
彼が買い占めを行った結果、誰も手に入れられない状況が続き、皆の熱も冷めて結果的に誰も居なくなってしまった。
周りに居た奴等も上原君からカードを借りてプレイしていたんだろう。
自分のカードを貸し与え、自分のカード同士で戦ってる。
彼はそんな不毛な勝負に嫌気がさしてたんじゃないだうか?
だからこそ、僕という存在を見つけた時は彼は嬉しかったんじゃないだろうか?

「お前も遊戯王すんの?勝負しないか?」

あれは彼がやっと見つけた対戦相手に向けた嬉しさを最大限に込めたメッセージだったんじゃないか?
ようやく遊戯王をやっている人を見つけて出てきた台詞だったんだ。
孤高の王者とでも言えばいいのだろうか?
上原君。
君との勝負できて良かったよ。



「俺の遊戯王のカード全部買わない?5000円でいいよ!」

後日そう言い放った上原君に僕は口からバーストストリームを放ちたい気持ちになったのだが、共感してくれる人達はどれだけいるだろうか?
チョコになっちゃえ上原!!

本来はカードコロシアムとやらの記事募集のやつに応募する予定でしたが、色々と制約が多くてここに埋葬します。
多くの人に見られる事を祈ってます。

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