日々の書記事

小説:魔法に関する記述(属性)

2014/09/26 06:00 投稿

  • タグ:
  • ファンタジー
  • 魔法
  • 小説
  • 設定


 ストーリーもまだ出来ていないけどいつか書きたいと思っているファンタジー。その設定を思考整理のために書いておくことにする。

 まだ本文は全く書いていない。公開するかもわからないが…。
 大枠自体は漠然と出来ているものの、書くほど詳細には出来てない状態。






----------------


 食事の途中だった。静寂を破りアナンが唐突に聞いた、.

 「ねぇ、イルカ。魔法のことなんだけど、属性って言うのはあるのかい?」

 イルカは豆のスープを口に運びながら、面倒くさそうにアナンをにらむ。
 
 「なんだ、藪から棒に。」

 開け放った窓の外の空は朱色に染まり始めていた。料理鍋のかかった暖炉の中で赤くなった薪がパチンと鳴る。火は消えてほんのりと光が揺らめいていた。

 「いや、何というか。ほら食事には何か会話があった方が良いかなぁなんて思って。」

 「私はそうは思わないがね。」

 見た目の若さとは不釣り合いな尊大でぶっきらぼうな言葉遣いでイルカは話す。しかし妙に不釣り合いさが似合って見えるのだから不思議だ。

 どう見てもアナンよりも年下に見えるのだが、実際にはかなりの高齢らしい。

 本来ならば敬語を使うべきなのだろうけど、出来ないでいるのはやはり見た目のせいだ。それでも特にイルカがそれについては何も言わないので結局そのままだ。

 「第一、お前、言ったところで何もわからないだろう。犬並みの頭なら、それなりにしていれば良いのだ。」

 「犬って、流石にそこまでは馬鹿じゃないよ。」

 アナンは既に食べ終わったスープの器に木の匙を置いた。男にとっては量があまりにも少なかったのでまだ満たされていない。それを何とか紛らわせたいという気持ちもあって、何とか話題を探したのだ。

 「なんだ、まだ足りないのか。」

 そう言ってイルカは暖炉にかかった鍋を掴むとアナンの前に置いた。

 「食べたければ食べてもよいぞ。」

 「え、ほんと。ありがとう。」

 鍋には作り置きのスープがまだ半分くらい残っている。肉が入っていないが、これだけ食べらればきっと満足できるはずだ。

 「犬というのは食いだめの習性があってな、必要以上の食べ物を出しても喜んで食べるそうだ。」

 むせた。.

 「そ、そんなことより、さっきの話きいてたのかい。イルカが魔法使いなのはわかったけど、僕は魔法については何も知らないんだ。」

 イルカがあからさまに溜息をついた。

 「ほら、良く言われるじゃないか。世界は火と水、風と地で出来てる、なんて。」

 「どうせ話したところで理解など出来ないくせに、何故聞きたがるかの。」

 そうしてもう一つ溜息をつく。

 「お前の言っているのは四大元素という奴だ。だた、それは魔法と言うよりは錬金術だな。無論、魔法も現実だから全く関係がない訳では無いが…。」

 右手に匙を持ったまま少し考えるようにあごに手を当てる。機嫌が悪いときはアナンがアレコレ聞いても二言三言で済まし、しつこく聞けば何をされるかわからない。しかし、今は大丈夫そうだ。少しづつ饒舌になり始めている。

 「そもそもだが、魔法を属性というか元素という枠で語る事自体がナンセンスだな。魔法というのは自然の現象を切り取って具象化するものだ。」

 アナンはイルカがこんな風に色々と語りかけてくれるというのが好きだった。何を言っているかはわからない、むしろわからない自信がある。ただイルカの声を聞いているのが好きなのだ。

 「火水風土というのは一昔前の錬金術師が本で表したものだったか。意外と新しい説だ。よく知っているなと言いたいところだが、世間では熱冷湿乾の四性質説の方が有名だからな。熱冷と湿乾の組み合わせで火水風(空気)地ができると言う説だ。先人が残したのはそれなりに信用できるのだろう。図形としても書いても美しくあるな。ま、それだけ知っていればどうという事は無いさの。」

 説明するのが面倒くさくなってきたのだろうか。

 「ま、どうだかね。私は別に考えているが…。」

 「へぇ、どんな風に。」

 少し考えるように目を落としてから、

 「時に火とはなんだ。」

 「え、何だって言われてもなぁ。」

 ちらりと暖炉の火を見てみる。

 「うん、丁度良い。頭から突っ込んで体験してみたらわかるかも知れんぞ。掴んでみ手も良いかもな、若しくは触ってみろ。」

 「何を言うんだよ。無理に決まっているじゃないか。」

 「なんだ、犬ならやると思ったがね。」

 「いや、犬でもやらないよさすがに。」

 「なら道具を使ってもいい。火を掴んでみろ。器に入れるでも良いぞ。」

 言われてみてアナンは困ってしまった。イルカが言ったのは火その物を掴めと言うことだろう。暖炉で朱い光を放っている墨を持ったところでそれは炭を持っているのであり、火を持っているわけではない。

 「ま、つまりだ。火とは掴むことは出来ないし、そのまま保持することだって出来ないのだ。瓶に無理に入れることも出来ん。火というのは存在では無いのだ。掴むことは出来ないし、燃料がなければ火は消えて灰となる。火とは変化の過程で現象なのだ。存在では無い。」

 確かにそうか。存在ではないといわれると、少し違和感があるけれど。

 「一部の錬金術師はいまだ火は存在だと考えているらしいがね。さ、じゃぁ、水はどうだ。火とは対極にあるはずの水だ。」

 「これも、掴めないね。という事は火と同じなのかな。」

 深い失望を込めて、または軽蔑の色を含めた視線を向けて、イルカは溜息をついた。

 「バカが。お前の喰ってるそのスープは元々水だろうが。このバカが。」

 「あ、そうか。」

 「触れることも出来るし、当然瓶に入れることも出来る。液体だから掴むことは出来ないがね。つまり水は存在だ。
 存在と変化の過程である現象は全く別の次元の話しだ。別次元を同じ軸でかたる事は出来んよ。つまりこの二つは対極ではない。むしろこの二つは体感的に熱い何かと冷たい”何か”として捉えたシンボルと解釈をした方が良いだろうと思う。四性質説の熱冷と同義として捉えても良いのだ。」

 「はぁ、なるほど。」

 「では、もう一方の対極である風と土とはなんだ。」

 「ああ、これも別だね。風も掴むことは出来ないけど、地は掴める。」

 「ふむ、確かに風をとらえること出来ないが…。しかし風とはなんだ。風は空気が動いているだけだ。では空気とは何か。空気の存在はバカなお前でも知っているだろう。頭の中まで筋肉で出来てるお前は体感でわかるだろう。お前の時代遅れの馬鹿でかい剣を横にして振ればその存在を感じられるのではないか。」

 「それくらいは知っているよ。それに馬鹿でかい剣って、ただの騎兵用の剣だよ。たしかにまぁ少し古いけど。」

 アナンの家に伝わっている剣だった。アナンの血筋は優れた体躯の男が多かったため、その身体に合わせて作られた剣らしく、一般的な騎兵用の剣よりも長かった。それでも馬鹿でかいと言うほどでもない。

 「風とは空気のシンボルで有り、空気は存在するのだ。空気が動くと風になるが、その動きだけに注目しているわけではない。風は空気が動くという現象だが、次第元素における風は空気とみるべきだ。そしてそれは掴むことは出来なくとも器にとらえることは出来る。」

 「…うん。」

 「ではその一方で土とはなんだ。」

 アナンは足下を見てみたが、石が敷かれていたのでそこには土はなかった。

 「ま、これはわかりやすいか。土は目に見える上に掴めるからな。しかし、土の本質とはなんだ。」

 「草木を育むことかなぁ。」

 「なるほど、確かにそれは面白い見方ではあるな。この際生命などの概念は一切無視して考えよう。錬金術的な視点はあくまでも科学なのだ。ただ単純に概念の中で分離が出来なかっただけだ。
 では草や木などの生命の概念を取っ払って土というモノを見てみたらどうだ。触れる氏掴むことも出来る。他の属性は掴むことは出来なかったが、これだけは違うのだ。
 これは人間が見ることが出来て、掴むことが出来る全ての固形物と言っていいのかも知れないな。物理のみを見れば土とはつまり砂であり石だ。さらに精錬した金属も入るだろうの。
 そこまで考えてやれば風と土が何を示すかは何となく想像できるだろう。つまりこれは気体と固体だ。風と土という概念は物質の状態を示すのだ。」

 イルカは持っていた木のスプーンで中に十字を描いた。

 「属性は四つに表されているが、実際は二本の軸として考えるのが妥当なのだ。横向きに状態を、縦向きに温度をとる。これで物理上の世界を構築できるのだ。これらを領域ごとにシンボルをあげたなら、それが”属性”という事になるのだろうな。
 さて、このときの軸の交差点だが、ここに入るのは何か想像できるだろう。気体と固体と来れば残りは液体だ。ものには三つの態様があるのだ。気体と液体と固体だ。そして同時に温度の軸においても高すぎず低すぎない常温の状態を示す点となる。
 つまり交差点は液体が入るわけだ。ここで液体の象徴を考えてみろ。」

 とうとうと語るイルカに聞かれてアナンは慌てた。正直に言うともう内容は耳から耳へと脳を巡ることなく突き抜けていた。少しはスキーのかかった彼女の声を聞いていただけだった。

 「ええと、ブランデーかな。」

 口からでのはその言葉だった。アナンが好きな酒だった。酒なら何でも行けるが強い方がうまい。

 イルカは表情を変えないままゆっくりと木のスプーンを大きく振りかぶった。腕がしなり手からスプーンが消えたように見え、次の瞬間眉間に鋭い痛みが走った。

 くるくると宙を舞い木のスプーンが吸い寄せられるようにイルカの手の中に戻った。アナンは額をさする。金属製ではなく木製だったので皮膚が軽く痛むくらいで、かゆいと評しても良いぐらいだ。

 「我々の最も近くに存在する液体のシンボルだ、バカ。」

 「え、ええと、ワインかな。」

 確かにブランデーはあまり一般的ではなかった。ワインを更に蒸留して熟成しなければならないのだから。その前段階のワインの方がよく飲まれている。

 「水だ。この、バカが。」

 ああ、そうか。
 あからさまに溜息はつくものの、説明は続けてくれるようだ。

 「我々の生活圏においては水が最も多い。だから液体のシンボルとして水が入るのだ。だが、そこから外に出た場合はその限りではないのだろう。縦軸、つまり温度の方は低温の方向はどうやら限界があるようだが、高温のほうは底が知れん。だが、それでも中心にあるのは液体なのだ。恐らく水とは異なる何かしらの液体が存在しているのだ。ま、我々の液体の概念を超越しているのだろうとは思うがね。」

 という事はこの星も液体で出来ているという事なのか。

 「とは言っても、この十字も正直言えば怪しいとは思うがね。低温において限界があるとすれば十字のカタチは教団が喜びそうだからな、私はあまり支持したくはないしの。
 低温は固体と、高温は気体と相性が良いから、横軸を傾けて鈍角の方へ別の一つの軸をと考えたこともあるがどうもうまくいかん。マナを見る限りでは物の状態の軸は、気体や固体以上の状態に進めるようにも感じるのでな。中心に据える液体によってこの軸は傾きが変わったりするのやもしれんな。」

 宇宙も液体で出来ているのだろうか。開け放った窓の外は既に暗くなり始めて、紫色の染まりはじめていた。

 「そうそう、それから今私が言った十字に落とし込むために生命などの概念を抜いたわけだが。生命に関してはもう一つ重要な特性があってな。
 生命というのは属性で言えば全ての属性を含んでいるのだ。肉体は燃焼し温度を上げているが一方で上がりすぎないように下げている。水を主成分として骨という固体を持ち、気体を取り入れることで生きているのだ。
 その上で生き物を見ると1個の存在のなかに雷光のマナを微量に見いだすことが出来るのだ。恐らくこれが生命の根本というか、魂を宿らせるのだろう。
 雷光のマナは物理上も全く存在していないというわけでもなく、何かしらの無理が起きたときにその間隙を埋めるために発生している。雷光も物理を構成する重要な要素なのだろうな。
 つまり生命は物理上の全ての要素を持った上で雷光の意思を纏った存在と言えるのやも知れんな。」

 そこまで言ってイルカはアナンが窓の外を見ているのに気がついた。

 「どうした。」

 「色からすると、ただのワインではないかなぁ。」

 「は?」

 「これはきっと、一度ブランデーにしてから、また色の濃いブドウをつけ込んだという感じかな。」

 「おい、アナン。何の話しだ。」

 「宇宙の話しだよ。宇宙は別の概念の液体なのだろう。あの色を見る限りきっとあれはブランデーにヤマブドウをつけ込んだリキュールに違いないと思うんだ。」

 呆然とするイルカの前でアナンは犬のように興奮していた。

 「きっと一生飲んでも終わらないのだろうなぁ。いつか人間はあの場所にたどり着けるかなぁ。」

 「…ああ行けると良いな。行って、そしてお前は死ね。」

 「まさか、酒で人が死ぬわけないじゃないか。」

 「お前は酒樽でおぼれ死ぬがいい。」

 「ははは、何怒ってるのさ。ワイン一樽ぐらいぜんぜん余裕だって。」

 イルカは深くため息をついた。



コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事