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小説:にわかが語る(夏のファミレス編:前半)

2013/08/11 12:31 投稿

コメント:2

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 真夏の暑い昼のこと、私は近所のファミリーレストランにいた。

 その日は雲一つ無い青空で、陽光は無情にも降り注ぎ容赦なくこの地を地獄へと変えた。黒いアスファルトはまるで焼け焦げた炭、もしくは固まりたての溶岩だった。人は自らこの地を灼熱の地獄へと変えたのだ。

 いや、そういうのは正直割とどうでもよかった。問題はクソ暑いのに俺の部屋に冷房がないことだった。

 都会に出て数年、夏の暑さは田舎の比ではないことを身をもって知っていたが、今年は例年のそれ以上だった。この程度なら大丈夫だろうと高をくくり、エアコンをつけず、夏本番になって後悔しつつも毎年何とか乗り越えてきた。しかし、今年の暑さはちょっと危ないかもしれない。

 でも、エアコンを設置すると、何となく負けた気分になりそうだった。だから恐らく今年もこのままなんだろうな。俺は何となく予想している。

 それにここは田舎とは違う。都会なんだ。何も無い田舎とは違う。夏の自分の部屋が暑いならば逃げれば良いだけの話で、幸い近所には二十四時間営業のファミリーレストランがあった。

 都会万歳。地獄に自ら変えたとしても、その場に相対的な天国を作り出す人間万歳。まぁ金は必要だけど。

 そんな訳で、俺は今ファミレスにいる。それ以外にもここに来た理由はあるが、それまで時間はまだまだある。単純に涼むためにここにいる。

 適当なサラダとサイドメニュー、ドリンクバーを頼み、持ってきた文庫本で時間をつぶす。昼過ぎで最も暑い時間帯だったが店内はそれ程混んでいなかった。あまり暑すぎると外出するのも嫌になるのかもしれない。

 ともかく俺は冷房の効いた店内で快適な時間を過ごしていた。俺がサイドメニューのポテトをつまんでいるとき、新たに客が入ってきてはす向かいの席に座った。四人組の少年達で、あどけない顔立ちを見ると中学生だろうか、大きめの鞄を持っていた。夏期講習のあとらしく英語がどうの数学がどうのと言っていた。どこそこの試験が云々とも言っていて、それはこの近くにある高校の名前だった。

 俺もこんな時期があったんだよなぁと少し感慨深くなったけれど、それ以上は特に何も思わなかったので文庫本に視線を戻した。

 しばらくして、ポテトを食べ終わった頃、大きな声が気になった。文庫本の内容が緩慢になり始めて俺の集中力が途切れたというのもあったが、大きな声も集中力をそぐには充分だった。どちらが俺の邪魔をしたのかは判別できない。

 大きな声は先ほどの中学生達だった。どこか興奮した感じで、講習の内容を語っていたときとはまるでボルテージが違う。何を話しているんだと聞き耳を立ててみると、しきりにおっぱいおっぱい語り合っているのだった。講習の内容からどこをどうしたらそんな内容になるのか。

 まぁ、中学生には勉強よりも女体だよな。

 俺は過去の自分もまたそうだったことを思い出した。触れたことすら無いくせに鼻息荒く語る彼らは、俺くらいの年齢になると温かい目で見たくなるものである。

 本から視線を彼らに移し、さっと観察してみた。四人組を簡単に特徴で分けると、チビ、デブ、メガネ、そしてイケメンだ。無論四人を区別するだけなので、そんなアニメのような見た目的な役割が有るという訳では無い。便宜上そうしただけである。

 おっぱいについて熱く語っているのは主にチビだった。俺は本に視線を戻すふりをして、彼らの会話を盗み聞いた。どうやらチビはとにかく巨乳が好きなようだった。巨乳で人気のグラビアアイドルの名前を挙げていた。

 「おっぱいはでかくなきゃ駄目だろ。むしろ他はどうでも良い。だって、おっぱいでかくないと女って解らないジャン。」

 だそうだ。君は女の体を語る前に、もう少し人を見る目を鍛えた方が良い。

 デブの方も巨乳が良いらしいが、あまり太ってないのがいいとも言っていた。まぁ自分の体でデブは充分だろうしな。

 「やっぱり、おっぱい大きくないとね。体が細いのにおっぱいおっきいと興奮する。っていうか、太ってたらおっぱいなのか脂肪なのか解らないでしょ。」

 そうだね。君にも脂肪のおっぱいありそうだしね。と言うかチビは目の前のデブを見て女とは思わないのか、おっぱいあるのに。それ以上に腹が出てるけど。

 この二人が特におっぱいおっぱい連呼していた。
 これを聞いていたイケメンが、うなずきながらも話の途切れた間隙に控えめに反論した。

 「小さくても、揺れているのを見たら興奮するよね。」

 なるほど、これには俺も納得だった。おっぱいを連呼した巨乳好き二名もこれにはうなずいた。

 「あ、それは確かに。無いと思っていた子が走ってるときに揺れてたりするとドキッとするよね。」

 デブがしきりに頷いている。

 「っていうかさ、それアヤのことじゃねぇの?」

 チビがイケメンを半笑いで意地悪そうな目をして見た。

 「ば、ちがう。あいつはそんなんじゃないって。」

 イケメンは余裕ぶったふりをして否定をしたが、明らかに動揺していた。

 メガネは何となくそれらを一歩引いて見ている感じで、あまり積極的に会話に参加してないようだった。四人組方向をもう一度見るとテーブルの陰でスマートフォンを操作していた。男子中学生と来たらおしなべて女体に興味があるものだと思っていたけれど、あまり女体に興味が無いのだろうか。 

 しかし、彼らの話は興味はあるが経験が無い中学生らしく、話の内容が視覚情報以外へとは飛ばない。とにかく揺れるのが良いとか、おっぱいが出てるのが唯一の女の特徴だとか、見た目しか話に出てこないのは明らかに経験が無いからである。

 メガネが浮かべた愛想笑いには、何となく少し大人な感じの優越が見える様だった。ある意味で大人になるというのは、一つの事柄に対していろんな見方が出来ることでもあるのだ。

 俺の勘だが、メガネは多分もう経験しているのではないだろうか。

 ともかく、楽しく話しているのならそれで良い。中学生が性関連に興味があるのは当然だし、話をして興奮するのも当然。声が大きくなってしまうのも、まぁ仕方の無いことなのだ。

 彼らを見て、俺にも「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」と思わせ、郷愁に浸らせるだけでも彼らには価値がある。

 だが、話はこれで終わらなかったのである。

 俺が生暖かい目で彼らを放置することに決め、読みかけた文庫本に集中しようとしたときだった。どこから来たのか、少し体の大きい少年が四人組に乱入したのである。

 夏休みでも制服を着ているところを見ると高校生だろうか。雰囲気もあどけなさが消え始めひげも生え始めているようだ。

 ずかずかと一直線に進み、四人組を見下ろした。

 さすがに不快に思う人間もあるだろうから、注意をしに来たのかと俺は思ったが、どうやら違うようだった。


 「お前ら、女は太股のさわり心地だろうが。」


後半へ続く →

コメント

大西平洋(ヘイヨー)
No.1 (2013/08/11 13:38)
 なんだ、これwおもしろいな~
 え?これ、ほんとに小説だよね?現実に、おっぱい談話に乱入する人なんて、そうはいないものね。
オフウ (著者)
No.2 (2013/08/11 13:49)
>>1
コメントありです

勿論小説ですよ。私の創作で実話ではありません。
まぁ、酔っ払いとか余裕で乱入してきますけどねw
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