サッカーはかば出張版

ハリルホジッチ氏解任論と現状 その6

2018/03/14 23:31 投稿

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⑥W杯に向けて(総括)



E-1選手権(東アジアカップ)が国際Aマッチではないとはいえ、韓国に1-4という大敗に落胆した方や4失点という就任時以来最高の大量失点に激怒されている方、もしくはW杯出場が確定した後の試合の結果や内容に不満のある方が多数おられることでしょう。


かくいう私自身の感想はというと――

結果が求められる世界であることを踏まえた上で、最善の結果がもし得られなかった場合、副次的に手に入れられるものが必ず何かあるはずです。しかし、W杯出場決定後の親善試合も含めた数試合で得られたものが何か一つでもあったのだろうかと疑問に思わずにはいられません。


E-1選手権終了後、よくインターネット上で散見されたのはJリーガー選抜のレベルが代表レベルではなかったことを見極められたのが良かった、というものでした。ですが、そもそも代表レベルにあるならばよほどの新人でない限り代表に選抜されていてもおかしくないわけであり、そういう意味でE-1選手権の意義は篩ではなく、発破をかける意味合いだった可能性が高いです。そもそも55人枠(この中から代表を選抜)を広げるといった主旨の発言が協会から出ていましましたが、本当にハリルホジッチ氏もそう考えていたのかは疑問が残る部分であります。


そもそもE-1選手権を通して絶対に勝ちに行くという姿勢があったのかどうか。

ハリルホジッチ氏自身の会見ではこのようなことを言っていました。

「このトーナメントは興味深いものになる。最後に残るであろう選手を見極めたい。最終予選を突破し、国内組を試すには良い機会。ふたつの目的があるが、まずは勝つこと、そしてAと言われるチームに残れる選手を見極めたい」

この言葉を鵜呑みにするなら勝つことと選手の見極めをすること、この二つが当為命題となります。ですが、試合後そこには余り触れずあの物議をかもした『格上』発言。もし、本当に試合前から『格上』だと思っていたならば、親善試合のブラジル戦のように何か策を労して何が何でも勝ちに行くという姿勢を見せていたはずです。ですがそのような姿勢はどこにもみられなかった。それはしなくても勝てると踏んでいたのか。はたまたはじめから負けると思っていたのか。思い起こせば、常々あの監督はこう言っていたはずです。

「負けることが嫌いだ」と。

では、本当に対策をしなくても勝てると思っていたのでしょうか。『格上』と目される相手に。


あの『格上』発言に各メディアがこぞって食いついていましたが、私はその発言に含まれるこの矛盾に引っ掛かり、考えた末とりあえず二つの推論をひねり出しました。

一つは、単なる負けた時の言い訳。

サッカーではよくある話ですが、負けたチームの監督が「相手の方が上だった」発言をすることは珍しくなく(実際、一般の認識もそうであることが多いのですが)今回もその例にならった形。

もう一つは、日本のサッカーにとって韓国という国がどういうものかを全て分かった上で、あえて『格上』発言をしてみせたこと。それによって、ある主張を示したかったのではないか。


推測の域をでないことを前提にして話を進めますが、私の意見は後者によっています。

『格上』発言に対しての反応は人それぞれでありましたが、このようなことを感じていた方も多いことでしょう。

「格上だと思っているなら、何かそれに対して対策を講じたのか。全く講じなかったのではないのか。本当に勝つ気があったのか?」と。

ここで当為命題である二つの事柄に立ち返ってみましょう。

勝つこと。そして、Aと言われるチームに残れる選手を見極めること。


特別な対策も修正もせず、いつもどおりの戦術で(ブラジル戦以外の時のように)戦って負けました。そして『私は戦う前から格上だと思っていた』発言。

このことから、二つの当為命題の比重を考えた時、『勝つこと』よりも『Aと言われるチームに残れる選手を見極めること』の方に比重があることが窺えます。


ハリルホジッチ氏のアルジェリア監督時代の過去の戦術解説などを見ても、発言には補足や訂正をするなど十分な注意を払っていました。そんな監督が『私は戦う前から(相手が)格上だと思っていた』とあえて自分に不利な発言をするでしょうか。

日本のサッカーファンやチーム、選手に向けてなら警鐘の意味合いになるでしょう。ですが、別の何かに対してだとしたら。

例えば、それがマスメディアもしくは協会に対して向けられていたら。


Aと言われるチームに残れる選手を見極めること』に比重が置かれているにもかかわらず、韓国チームよりも『格下』だと目されたチームからそれの選別を行うのかという疑念。既にハリルホジッチ氏の中では枠はもうほぼ決まっている状況ではないのか。

それが55人なのか23人なのかは定かではないにしても、元の55人から広げる気は毛頭なかったのではないのか。他の誰かではなく自分で選別するという意志表示だったのではないのか。


奇しくも、年始の番組で監督はこう言っていました。

「調子が悪ければ選ばない」と。

逆にいえば私が調子がいいと思うならば、誰を選んでも文句を言うなという――

と、ひとしきり考えたところで、結局予防線でしかないんじゃないかという気もしてきたり。また推測が推測を呼ぶようなこんなものでは、真実に迫ることは到底不可能だとも思い至り――

そろそろここらが潮時、ということで冒頭に戻りましょう。


『解任論を唱えるならば納得できる代替案を提示』しなければ、本番やその先には繋がっていくはずもない。ということで、私の考えだけでいうならば、解任するならば次の項目を満たす必要性があると思います。

・日本人や日本のこれまでのサッカーを熟知した人間(監督)であること。

・この三年間築いてきた戦術を安易に捨ててしまうリスクは大きすぎる為、今の戦術にさらに追加して違いを生み出すことのできる人材であること。

・協会のこれまで類のない支援を明確に打ち出し協力できる体制を即時に設けること。

と、書いてはみたもののどれも容易には達成できなさそうな項目です。

現状、解任して次の候補者を探して交渉するという時間もさることながら、本番まで約半年しかないそんな短期間で結果を求められることが強いられる状態で、果たして引き受ける人材がいるかどうか。またこの時点で解任にするということは、世論から協会に対する圧力も急激に高まることが予想され、新体制へ移行したとしてもスムーズに事が運ぶとは到底思えません。


もはや感情論だけではどうにもならない。時間的猶予と選択肢が圧倒的に欠如している現段階で、解任することは得策ではないことは自明の理ではないでしょうか。ただ忘れてはならないこととして、昨年の年末から続くこの解任論の流れは決して一部のマスメディアや解説者だけが先導しているものではなく、日本代表を応援するサポーターである我々が抱く疑念も確かに表しているものだということを、各関係者には受け止めて頂けたらと思っています


最後に、私の希望的観測を書いてこの題目を締めたいと思います。

これまでハリルホジッチ氏のサッカーは極めて分かりやすいという側面を除いては、多様性、主に戦術の幅という面では、試合ごとに細かな違いがあるにはありましたが、大々的な戦術(例えば、極端な堅守速攻を目指したフォーメーションや、選手起用のようなもの)を用いたケースはありません。しいて挙げるなら、ブラジル戦での親善試合でみせた守備的ブロックの形成ぐらいのものでしょう。

ここまで4-2-3-14-3-3のオーガナイズだけで乗り切ってきたことが、逆に私にある疑念を抱かせるのです。それは戦術の幅を作らないのではなく、あえてこれまで幅を見せてこなかっただけではないか、と。

ブラジルW杯でアルジェリア代表で見せた5-4-1のような土壇場での奇策を、プランとして用意しているのではないか。

もしかしたら、どこかにヒントのようなものが隠されているのではないのか。

今回の題目を書くにあたり、私は様々な情報を目にしてきましたが、その中にこのようなものがあります。


それは2016.11.4 ハリルホジッチ氏会見にて(井手口初召集時)

(久保裕也についての質疑に対して)

「ようやくクラブで先発を取った段階。背後にもいけて、スピードのある面白い選手だと思う。ただ、2トップにして真ん中でプレーするようなオーガナイズがいいと思う。それ以外は少し難しいのではないかと思う」

「彼が入ることによってアイデアが増える」

「ひとつのオーガナイズがうまくいかなかったとき、もしかしたら4トップになるかもしれない。2人をサイドに置き、真ん中にも2人のFWを置く形だ」


また2017.10.9 会見(ハイチ戦前日)

「いろんなオーガナイズにトライしたいですね。私の頭の中には、3つの異なるオーガナイズがあります」

「もしかしたら状況、いろんなことを考えて2トップで行くこともある。いろんな状況に合わせて使っていくということ」

と、あるようにある固有の選手によって取られる戦術が仮にありうるとしたら。


もし、これまで俎上にあがることのなかった選手を選出するようなことがあるとしたら。

(例えばアルジェリアのときのようなリヤド・マフレズを本番少し前に選出して1試合だけ使うなど)もしくは、本当に土壇場で2トップなんてこともありえない話ではないのではないか。

そんな希望的観測にも似た疑念を、私は抱かずにはいられないのです。



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