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Watoさんの新曲「街灯」を前作「DREAM OBSERVER」と聴き比べてみる

2013/01/29 00:04 投稿

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なんか物々しいタイトルだけど過度な期待はしないでね!

 

一昨日UPされた最新作「街灯」と、先月UPされた「DREAM OBSERVER」。「街灯」が冬コミ頒布のCDに向けて書かれた曲なので、この2つはほぼ同時期に制作されていたと考えられそうですね。にもかかわらず、両方を聴き比べるとかなり毛色の違う曲になっていることがわかります。ではどう違うのか?思い付く限り書き出してみました。

■街灯・・・ミドルテンポ、ピアノソロ、ソロ作。日本語タイトル、情景を描いた抽象的な詞、作詞者≠作曲者。止め絵PV。
■DREAM OBSERVER・・・アップテンポ、ピアノセッション、コラボ作(しもさんと)。英語タイトル、確かなストーリーを持つ詞、作詞者=作曲者。3Dもあるよく動くPV。

「街灯」はゆったりしてるけど、スローテンポとまでは行かない印象でした。ピアノソロで、かつ重々しい和音を激しく鳴らす等の勢いあるパフォーマンスがなかったため、BPM(そこそこ高いと思われます)に対する曲の興奮度は他のジャンルより低めなのかな、と推察出来そうです。対する「DREAM OBSERVER」は、疾走するバンドセッションが自他共に認めるアップテンポの証と言えそうです。やはりロックやポップスを聴くことが多いと、ビートの有無やその刻み方に曲の印象を大きく左右されるのでしょうね。

それよりもっと重要な違いは、後者「DREAM OBSERVER」がWatoさんにとって初めて音でコラボした作品だということでしょう。氏の曲にピアノとボーカル以外の音が入ったのは、僕が知るかぎりこれが初めてです。ニコニコメドレーで有名な「しも」さんがアレンジを担当しており、饒舌なピアノに軽やかなバンドサウンドが添えられています。これまでのWato作品はとにかく「ピアノと歌に集中して聴く」姿勢で、「街灯」はまさにその典型なのですが、「DREAM」はピアノ以外の音が混じって(あえてこう表現します)、氏の作品としてはとても異例であったと言えるでしょう。

次はタイトルと歌詞です。別に日本語でも英語でも大した違いはないだろう、と言われるかもしれません。僕も普段なら特に気にしなかったでしょうけど、こうして対比してみるともしかしたら意味があったのではと思えてきたので、歌詞の抽象度と対比しながら一筆。まず「街灯」。この誰でも見てすぐわかる言葉で、視聴者は曲を聴く前に思い思いの「街灯」を頭の中に描きます。視聴者に具体的なイメージを持たせ、その上で作品世界を提示する。歌詞は特定の情景を映しているわけではないので、視聴者は最初に抱いたそれぞれのイメージを手がかりに、千差万別の作品世界を楽しみます。

対して「DREAM OBSERVER」。夢の観測者と直訳できそうですが、訳しても訳さなくてもそれが一体何者なのか、具体的なイメージは湧いてきそうにありません。ナンジャラホイと再生ボタンを押すと、そこには「夢とその終わり」というテーマに則った物語音楽が展開されてゆくのです。ちなみに、この作品のテーマの捉え方は人によって異なるだろうけど、とりあえず僕はこう感じましたということでひとつよろしくお願いしますw

比べてみると、タイトルが具体的な方の歌詞は抽象度が高く、もう一方はその逆であると言うことが出来そうです。両方ともニコニコ動画に日本語の曲として公開されている以上、想定している視聴者は日本語話者でしょう。とすると、日本語はもっとも身近な言語として、英語は一歩距離を置いた誰かの言語として性格づけることは、決して突飛な発想ではないでしょう。「街灯」という特定の物を指す日本語タイトルで取っ付き易くすることで抽象的な詞への導入とし、「DREAM OBSERVER」というファンタジックな英語タイトルで具体的な物語を紡ぐ詞のおぼろげな全容を示す。こう考えれば、これらのタイトルはそれぞれの作品の異なる性格に合わせた最適解なのではないか、と見なすことが出来るようになるのです。

次は作詞者=作曲者か、そうでないかについてですが、Watoさんは自ら作詞することがあまりないため、「DREAM OBSERVER」のような例は少ないのです。ここは、物語音楽でよくある「作曲者=ストーリーテラー」という構図が思い浮かぶところですね。もちろんそうでないパターンも多いのですが、ここでは最初にWatoさんが「語りたいストーリー」を提示し、それにメロディやアレンジ、映像を肉付けする形で作られたとするならば、作詞者=作曲者、そして=作品世界の創造者という式が見事に成立し、Watoさんの世界として存分に楽しめるようになるのです。

映像表現も両方の動画の大きな違いです。「街灯」は、ikumaさんによる水彩スケッチのような、「色味」を軸にした絵画風のイラストを止め絵形式でじっくり鑑賞するタイプの動画です。対して「DREAM OBSERVER」は、rlldiさんによる平面CGとイラストがタテ・ヨコ・ナナメにぐるんぐるんと動く、勢いと流れを重視した見応え抜群の動画になっています。後者の映像はストーリーの展開に応じて機敏に動くため、情報量が非常に多くなっており注意して見ていないとストーリーの鍵となるものを見逃してしまうのも特徴です。対して前者で使用されているイラストはほんの2,3枚で、絵と詞を眺めながら曲をじっくり味わうようになっているため、映像の情報量は極力少なくされています。どっちが良いか、となるとそれはもう好みの問題でしかなくなるんですけどね。

・・・さて。ただなんとなく比べてみたくなって実際にやってみたら、意外といろんな事が書けたようです。主観でまとめるなら、「街灯」はこれまでのWato作品の路線に沿った王道の作品、「DREAM OBSERVER」は逆に氏としての新境地に挑んだ意欲作、といったところでしょうか。うわー結論だけ見るとすごく普通だ!長文の意味はあったのだろうか!あったと信じたい!!もちろん、これは僕自身の感じたことであり、ひょっとしたら作者さんご本人から「的外れだよーい!」と指摘されちゃうかもしれません。ですが、最初に「DREAM OBSERVER」を聴いた時の、なんだろういつもと違うなこの曲、という感情を少し整理するために書いた記事だったので、たとえそうなったとしても悔いはありません。でも結局このモヤモヤの根本は晴れないままで、これ以上何かを書いてもそれに結論を下すのは無理だろうし、そもそも力づくでやる力量も意味もないと判断してしまったので、今日はこの辺りで筆を置くこととします。

長文に付き合って頂いた皆さま、もしいらっしゃったのなら本当にありがとうございました。今後こういった、ちょっと違う感じの曲紹介記事も書けていければなーと思います。

追記:ホンジツノブログ
 → http://blog.livedoor.jp/hazardlamp0085/archives/52015220.html

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