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鈴木光司「エッジ」上下巻を読みました

2013/10/16 02:29 投稿

コメント:1

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  • 鈴木光司
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鈴木光司の「エッジ」という本が翻訳され、
海外の文学賞を受賞したというニュースを知り、
久しぶりにこの人の本を手にとってみた。

高校の頃にデビュー作の「楽園」を読んで、
本という活字の世界は、
これほどまでにスケールの大きな世界が描けるのかと
カルチャーショックを受けたほど。

それまでの自分は推理小説や純文学を主に読んでいたので、
スケールの大きなものはハリウッド映画が得意とするもの、
小説というのものは叙情を楽しむものという感覚だったのに対して、
想像力を掻き立て、映像化は不可能であろう冒険と
3部構成の伏線回収に心ときめかせ、
相当に心踊らせたわけです。

その後は順当に「リング」にもハマり、
巧みな表現力に翻弄され、
読み手の自分すら意味の分からない恐怖に取り憑かれ
7日以内に読まないと大変なことが起こりそうな気がして
それこそ寝食忘れて読みふけった。

「リング」「らせん」の続編にあたる「ループ」の発売を待っている間に
読書自体から興味が離れてしまい、
今回久しぶりに鈴木光司の作品を読むに至りました。

(以下、「エッジ」のネタバレ含みます。)




この本はとてもこの人らしい内容で、
地球や宇宙の歴史、人類の進化、そして過去の文明の謎など、
様々な世界を読み解いてくれる。
現代の失踪事件を追ううちに、
ピラミッドやマチュピチュの空中庭園など、
高度な文明なくして作られ得なかった文明の謎が絡んでくるというもので、
ワクワクの止まらない展開に没頭。

しかし、若干難しすぎるところがあり、
物理や数学の用語を一応は解説してくれてはいるが
それが説明になりすぎて間延びしてしまっている部分や
説明されても分からない概念が多くなってきてしまい、
自分は失踪事件の謎が知りたいだけなのに、
もはや物語を読んでいるのか、
ブルーバックスの本なのか、はたまた月刊ムーを読んでいるのか
なにがなにやら分からなくなってしまう。

そして後半になり、
物語のメインとして始まった失踪事件は
もはやどうでもよいくらい規模の小さな事件になってしまい、
結果として明確な結論が出ずに終わっている気がする。

なんかもう、伏線回収しきれずという感じだし、
最後の展開は、そっちの話を膨らますの?
という読み手の興味とは逆の部分、
著者の好きな科学的な話に無理やり舵を切られたような気がして
なんか納得できない、腑に落ちない終わり方でした。

そんなわけで、この著者の興味として蓄えた、
全ての知識を出し尽くした集大成的な本ではあるけれど、
物語として面白いものではなかったです。

あと、角川ホラー文庫から出てるけど、
ホラー要素は皆無です。
かなりのSFかと思います。

結論はやっぱり「楽園」最高!
ということかと思います。

コメント

teru
No.1 (2017/11/08 06:40)
ループや鋼鉄の叫びも読んだ方がいいかと
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