博霊饅頭即売所

東方SS 愛車捜索

2015/11/15 22:40 投稿

コメント:2

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※この作品は東方Projectの二次創作です。キャラ崩壊、独自解釈などが含まれる可能性がございます




「……え? パンダ?」

 幻想郷の一画に広がる大きな竹林。無数の竹が訪れたものの方向感覚を狂わすことから、迷いの竹林と呼ばれるその竹林の静かな夜に、素っ頓狂な声が響いた。

「そう。私のパンダカー知らない?」

 その声の原因になった質問を投げかけているのは、宇佐見菫子。幻想郷の外に住んでいる高校生なのだが、”寝ている間だけ意識が幻想郷にやってくる”という特異体質を持っている。
 質問を投げられて件の声を出した少女……藤原妹紅は、「ん~」と記憶を掘り起こすように唸った後、菫子に聞いた。

「それってあれだよね。お前が乗ってたでっかい置物?」
「そうだよ。普段は超能力で人の視界に入らないように隠してるんだけど、今日手入れしようと思って取りに行ったら無かったの」
「手入れ? そういえばやけにボロボロだったな」
「元々、使われなくなって捨てられてたのを拾ってきたからね。で、心当たりない?」

 再度問われた妹紅は少し考えて、「心あたりがあるとすれば……」と前置きした。

「香霖堂は? 外の世界のものならあそこの店主が見つけて持って行ったのかも」
「真っ先に見に行ったわよ。あそこの店主とは前知り合ったし。でも残念ながら無かったわ。別の種類のならあったけど」
「他の?」
「私のと同じやつで、デザインが他の動物のやつ」
「種類があるのか、あれ」

 妹紅は再び思考するが、何も思いつかないようだ。続いて、「隠してあったって、どこにおいてあったんだ?」と菫子に尋ねた。

「里と竹林の間。見えないようにはできるから、ぶつからないようにちょっと道の脇に外れたところ。超能力を解けば道からでも見える位置よ」
「とすると誰が通るかなー。私と慧音と……永遠亭の患者と兎ぐらいか・・・あ」

 何か思い出したようで、短く声を上げる。菫子が「何か知ってるの!?」と嬉しそうな声を上げると、妹紅は少し申し訳無さそうに「いや、確証ではないんだけど……」と言った。

「この竹林には、永遠亭の妖怪兎と仲の良い兎がたくさんいるんだが、そいつらがなんか運んでたな。遠目だったからよく見えなかったけど、たしか黒と白のそれなりに大きなもの」
「永遠亭ね! よし分かった! ……で、それってどこ?」
「あー。まだあそこには行ってないのか。案内するよ」




 菫子と妹紅の二人は永遠亭にやってきた。菫子は正面口から声をかけようとしたのだが、妹紅が迷わずさっさと中に入っていくので、少し迷った後でその後を追いかける。妹紅は建物の中には入らず、外を回って中庭へ。菫子もついて行く。

「おーい、誰かいるかー?」

 中庭に出ると妹紅が縁側から屋敷の中に声をかけた。少しすると、屋敷の廊下に顔を出す少女がいた。

「あ、妹紅さん。すみません、姫様は今ちょっと手が離せなくて……」
「いや、今日はあいつじゃなくても良いんだ」
「ええ!? ついに見境なく人を焼きたいと思い始めたんですか!?」
「なんでそうなる」

 出てきたのは鈴仙・優曇華院・イナバ。諸事情で永遠亭に住んでいる月の兎。
 鈴仙が恐怖に震えるさまを呆れた目で見る妹紅とは別に、菫子は鈴仙を見て目を輝かせていた。

(獣耳だ……ウサミミだ……)
「ちょっとこいつの探しものをな。今日竹林の兎達がなんかでかいの運んでたろ? もしかしたらこいつのかもしれん」
「あ~……私は止めたんですけどね」
「心当たりあるのか」

 鈴仙によると、今日人里での行商を終えた鈴仙が、帰ろうと竹林への道を歩いていたときに景色に違和感を感じ、波長を操って探ってみたら大きなパンダの置物があったらしい。どう考えても意識的に隠してある感じなので鈴仙は特に何もせず帰ったのだが、波長をずらさないと分からないような隠し方を出来る人物がいるというのが気になり、皆に話したらしい。話に興味を持った永遠亭に住む妖怪兎、因幡てゐが、鈴仙が止めるのも聞かず兎達を使って回収してきたと。

「よかった……見つかった……」

 安心したように言う菫子を見て妹紅が、「よっぽど大切なんだな。あれ」と言うと、

「ふふん。実は外から持ってきた物を香霖堂で買い取ってもらってお金にしてるんだけど、外に持って行っても使えないからあれに隠してあるのよ」
「え゛」

 それを聞いた鈴仙が電撃を受けたように固まった。

「ん? どうしたんですか?」
「え……ええっと。なんでもないわ。そう、見つかって良かったわね」

 鈴仙は口ではそう言っているが、なにやら汗をかいている。季節はすでに秋にさしかかり、夜になれば汗をかかない程度には気温が下がるようになったことからして、なにかおかしい。

「で、その大きな置物は?」
「教えるけど、多分すぐに持って帰るのは無理よ」
「どういうこと?」
「見れば分かるわ。こっち」

 二人は鈴仙に案内されて縁側から上がり、廊下を歩いていく。鈴仙からの説明によると、てゐが兎達と一緒に持って帰ってきた置物、それをこの永遠亭の姫様が心底気に入り、現在使っているそうだ。何に使っているのだろうと菫子が考えていると、その姫様の部屋に着いた。鈴仙に促されて中に入ると……

「……これは」

 パンダカーの背中にうつ伏せでだらしなく乗っかり、よだれを垂らして気持ちよさそうに眠っている少女の姿があった。
 後ろから、鈴仙がぼそっと、

「あなたに、これを今すぐたたき起こせますか」
「すいません、無理です」




 というわけで、姫様が起きるまで時間をつぶすことになった菫子と妹紅は、集まってきた永遠亭の人たちと話をしながら縁側でお茶を飲んでいた。竹の間から見える月がとても美しい。

「そういえばもうすぐ中秋の名月ね。また神社で宴会とかやるのかしら」
「あそこの巫女達ならやるでしょ。またお邪魔してお酒もらおっと」

 永遠亭の薬師、八意永琳と、パンダカーを持ち去った犯人の因幡てゐ。さっきまではいなかった二人も交えて賑やかに少し早い月見をする。一方、菫子は少し表情が沈んでいるなぜなら先ほど、返ってきたてゐに。

「あなたがあの置物の持ち主? ごちそうさまでした~!」
「え? ごち……何の話?」
「あの置物やたらデカイからさ。気になって弄ってたら封筒あったの見つけたの。臨時収入だって思って里でお団子食べてきた」
『ごちそうさまでしたー!』

 てゐが引き連れていた小さな妖怪兎達に純粋な感謝をされて怒るに怒れず、鈴仙に首を絞められるてゐを横目に、菫子はぐっと涙をこらえた。
 お金は永琳が建て替えてくれた。






おまけ
後日の会話
菫「そういえばあそこの姫様の名前聞いてないような」
妹「そうだっけ? 輝夜だよ。蓬来山輝夜」
菫「かぐ…かぐや姫? いや、流石にないか」
妹「外じゃ童話になってるらしいなあいつの話」
菫「ってことは本物ぉ!?」


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ツイッターでお題募集したSSです。 今回のお題は「パンダカー、月見」
月見要素が薄い? 大丈夫だ、問題ない
MMD杯じゃテーマの要素がおまけにしか入ってないのが入賞したりするし、多少はね?


超能力なら不可視にするぐらい出来るだろうし、不可視だけならチャンネルを合わせる=波長を合わせるすれば見えるだろうと言うふわっとした発想。多分誰かがもうやってる。


感想、ご指摘など、お待ちしてます! 短くても良いのでお気軽にどうぞ




コメント

HRK
No.1 (2015/11/15 23:01)
もこすみ!もこすみキタ!!もっと流行れ!!!!(*´ω`*)・・・すみません取り乱しました。面白かったけどもっともこすみの(百合的な意味で)ドキドキするような展開があると尚良かった(そういうお題ではない)。
博麗饅頭 (著者)
No.2 (2015/11/15 23:09)
もこすみいいですよね( ´∀`)
今回募集したお題一段落ついたら、今度は自分の書きたいもの書くつもりなんで、気が向いたらその時書くかも・・・?(あくまで可能性)
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