博霊饅頭即売所

東方SS 梅雨明けの湖

2015/07/23 21:35 投稿

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※このSSは東方Projectの二次創作作品です。設定改変キャラ崩壊独自解釈などの可能性ありです!



 先日までのジメジメした空気も過ぎ去り、カラッと乾いた空気に眩しい日差しが差し込む梅雨明けの空。雨上がりの湖に佇む、氷で出来た家から一人の妖精が出てきた。

「うー……ん! 梅雨明けだー!」

 彼女はチルノ。氷の妖精。夏でも冬でも元気いっぱいに動きまわる彼女でも、梅雨はそうはいかない。出歩くと服がびしょびしょになるし、氷を出しても雨に濡れて溶けていく。彼女が最も嫌う季節である。それが終わったとなれば、テンションが上がって嬉しくなるのも道理だ。

「だいちゃーん! あっそぼー!」

 仲の良い妖精のことを呼びながら、初夏の陽射しの中を飛んで行く。




 日が傾き、空が赤く染まり始めた頃。一日中遊びまわっていたチルノが家へと帰ってくる。良いことがあったようで、朝出て行く時よりも浮かれ気味である。

「えへへ……今日も楽しかったなぁ。明日は何して遊ぼうかな」

 鼻歌を鳴らしつつ下に降りたチルノは、近くの森からヒグラシの鳴き声が聞こえるのに気づいた。

「ん? 蝉か~。そういえばお昼もミンミンジリジリ鳴いてたなぁ。本格的に夏だね」

 夏になれば雨は減る。台風が来た時はたくさん降るけれど、梅雨のように降りっぱなしというわけではない。

「~♪ ♪~♪~♪」

 セミの鳴き声にリズムを合わせて踊るようなステップを踏んでいたチルノだが、不意に……

「ゲコッ!」

という鳴き声が聞こえてピタッと動きを止めた。
 チルノが振り返ると、そこにはカエルが2匹。タイミングを合わせるように、「ゲコッ!」 「ゲコッ!」と順番に鳴く。
 カエル……水気を好み、雨が降っているときに活発に動く。つまり、梅雨の代表のような存在。

「……」
「ゲコッ」「ケロケロケロケロ」

 近くの茂みからも鳴き声が聞こえた。雨が降らなくなったために水気を求めるようになったカエルが、霧に覆われることが多く水気が多い霧の湖に、一斉に集まってきたようだ。

「ミーンミーン……」「ゲコッゲコ!」「ジリジリジリジリ」「ゲコッ!」
「うるさぁぁい!」

 チルノは大声を出してカエルをペシッと蹴飛ばす。ゴロゴロと転がっていく蛙だが、すぐに体勢を整え、同じようにまた鳴き始める。

「せっかく……せっかく梅雨が明けたのに……」

 震えるような声を出すチルノだが、カエルたちは構わず鳴き続ける。ちなみにセミたちはチルノの大声に驚いて飛んでいってしまったらしく、鳴き声は一切聞こえない。夏真っ盛りのようなセミの合唱から一転、梅雨時のようなカエルたちの大合唱。

「……カエルなんて……カエルなんて……こうしてやるぅぅ!」

 そこからはあっという間だった。周りの気温が数秒で氷点下まで下がり、湖の端の方だけがパキパキと凍りつく。あたりの草には霜が降り、冷えた水から出た水蒸気で霧がかかる。
 ふー……ふー……と息を吐くチルノの周りには、氷漬けになったカエルたちが数匹。さっきまで聞こえていた大合唱はどこからも聞こえない。

「ふ~。スッキリした!」

 やり遂げたと言わんばかりの嬉しそうな表情のチルノ。すると、彼女に声をかける影がひとつ。

「ちょっとそこの氷精さん?」
「ん? アタイに何か……用……」

 そこには、明らかに怒りの表情を露わにしている、妖怪の山の上に住んでいる神様の姿が。カエルにまつわる神のようで、チルノがカエルにちょっかいを出しているのを知ると毎回お仕置きに来る人だ。

「梅雨が明けたからカエルたちが湖に集まってるだろうと来てみたら、目の前で凍りづけにされてた。なんでだろうねぇ? カエルたちが君に何かした?」
「あ……えっと……その……」
「むやみにカエルを攻撃しないでって、いつも言ってるよね?」
「うん……。ごめんなさい!」

 ペコッと頭を下げて即座に逃走を図るチルノ。いつもなら相手が神様だろうと勝負を挑むのだが、ことカエルに関して目をつけられた時は話が違う。捕まったら何をされるかわかったものではない(経験談)

「謝って済む領域はとっくに過ぎてるんだよ!」

 神様はそう言って一直線にチルノに突撃する。チルノがかなり早くスタートしたにも関わらず、3秒足らずでチルノを捕まえる。そして……


 湖に一人の妖精の泣き声が響き渡った。湖のほとりに立つ屋敷の前でそれを聞いた門番は、「またですか。懲りないですねぇあの子も」と言って、あくびを漏らした。




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ツイッターでもらったお題SS お題は「蝉がそろそろ鳴いてるなと思いつつ蛙も鳴きだしていらってした夜のお話」 
夜と言うか夕方ですが、夏の夕方って他の季節だと夜の時間帯ですよねという適当な言い訳。


お題もらってからかなり遅れてしまいました。すみません。




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