博霊饅頭即売所

東方SS 和菓子屋の一日

2015/06/26 21:23 投稿

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※この作品は東方Projectの二次創作です。独自設定、キャラ崩壊などの危険性を孕んでおります。苦手な方は後退推奨




人里の一角に居を構える一軒のお店。2年前の創業以来、大人気になるでも
なく閑古鳥が鳴くこともなく、安定した営業を続けている甘味処。
 この店の和菓子は店主が独自ルート(コネ)によって手に入れた外の世界の
レシピ本を参考にしたものが多く、様々な種類の饅頭や羊羹、煎餅などが手に
入ると合って、里の中ではそれなりの人気を誇っている。里で人気になれば、
そこに出入りしている人以外の者達の耳にも噂が広がる入るわけで……。



 朝7時。開店前にある程度の在庫を作るため、開店数時間前にはすでに店主
が仕込みを始めている。厨房に並ぶのは、饅頭や羊羹といった和菓子にはあま
り使われない食材ばかり。普通の和菓子も作るのだが、店の立地が里の中心部
から外れているため、それ目当ての客はあまり来ない。数は少なめである。
 店主が鼻歌まじりに商品の仕込みをしていると、不意に店の方から声がし
た。

「店主? いるかしら?」
「またあの人か」

 声は明らかに店内から聞こえる。まだ開店前なので鍵は開けてないし、起き
た時に誰も店内にいないのは確認済み。普通はありえないことだが、最近は割
りとよくある。

「はいはいいらっしゃい。まだ開店前なんですけどね~」

 声をかけながら店の方へ行くと、そこには予想通り、最近良く開店前に入り
込んでくる金髪の女性がいた。手の扇子を口元に持ってきて話す仕草はどこか
のお嬢様のように見えるが、気品あふれるというより、妖艶な雰囲気のほうが
強く漂っており、明らかに普通の人間ではない。
 とはいえ、ちゃんとお金を払って和菓子を買ってくれるのだからちゃんとし
たお客様だ。開店前に来るのはどうかと思うが。

「いつもどおり、全種類3個づつ」
「はいはい。次は開店時間に来てくださいよ」
「考えておくわ」

 言っても無駄だと分かっているが、言っておかなければ、次は寝ている間に
来られかねない。なんとなくそんな気がする。
 いつも豪快に買っていく彼女だが、別に荷物持ちの連れがいるわけではな
い。どのような種かは分からないが、いつも商品を詰め終えて彼女に渡し、代
金を受け取って精算している間に、気づくと渡した商品は袋ごとどこかに消え
ている。恐らくどうにかして移動なり保管なりしているのだろうが、やはり人
間ではないのだろう。
 特になにかされることはなさそうなので、いつもどおり会計を終えて、「ま
たお越しください」と軽く頭を下げると、顔を上げた時にはすでに彼女の姿は
ない。これもいつもどおりだ。
 あれだけの和菓子、まさか一人で食べてるわけじゃないよなと思いつつ、店
主は再び商品の仕込みへと戻る。



 朝10時。店の扉の鍵を開けて、暖簾を店先に出すことでお店の開店を周り
へと知らせる。店の周りで開店を待っていた人たちが順に来店し、用意してお
いた商品がどんどん捌かれていく。
 店内には買った和菓子をその場で食べるためのテーブルや椅子も用意されて
いる。飲み物のセルフサービスもあり、里の若い人たちに人気がある。

「あ、蛮奇ちゃんそっちの饅頭とって」
「わちき羊羹食べたい!」
「数はあるんじゃからそんな慌てるでない」
「チーズまんって美味しいのかな……?」

 ひときわ賑やかな人たちが店の隅のテーブルを陣取ってあふれんばかりの和
菓子を頬張っているのが見える。人……なのかな? ネズミみたいな耳の子と
か、大きな目が付いた傘を持った子とかいるけど。

「早くしてください椛! 人気の紅葉饅頭が売り切れちゃうじゃないです
か!」
「ま、待ってよ文さん。せめて耳ぐらい隠させてよ~」

 また一組、少女たちが店内に入ってくる。やはり最近、人らしからぬ客が増
えている気がする。何か悪さをするわけではなさそうなので追い出しはしない
が、やはり少し心配になる。



 昼。和菓子というものは間食に食べるものであり、必然的に食事時は客が少
なくなるのだが、だからといって気は抜けない。人混みが苦手な人達はこうい
う時間を狙ってやってきて、大量に買いだめしていくのだ。今もそんな客が一
組。

「これと、これと、これと、これ。全部20個ずつくださいな」
「まだそんなに食べるんですか!? さっき団子屋さんで100串は食べたのに」

 着物を着た女性と、付き人(?)らしき少女が一人。なにやら白いものがふ
よふよと浮かんでいるのが気になるが、幽霊ぐらい人里にだって出る。妖怪と
違い害はないので気にしない。
 しかし、団子屋で買食いしてその足で和菓子を大量購入とは。どれだけ甘党
なんだか。毎度あり♪


 もちろん午後からも客は来る。とはいえ昼を過ぎてすぐは一番暑い時間帯な
ので今の時期は客が少なめ。今店内にいるのは、里で貸本屋を営んでいる少女
と稗田家のご令嬢。この二人は仲良しらしく、よく二人で食べに来る常連だ。
今日も楽しそうに話しているのだがその内容は……。

「少し前に里で騒ぎになっていた口裂け女とか赤マント青マントというのは、
外の世界に伝わっている都市伝説でね、妖怪と違って実態のない作り話そのも
の。それを幻想郷の妖怪が利用して騒ぎを起こしていたわけで、本物がいるわ
けではないんです」
「でも、利用できるってことは元になる”力”があるはずじゃない? それが
どこから流れてきたのかってのが個人的に気になるのであって……」
「仮説や推測ならいくつか立てれますよ? 都市伝説も妖怪と同じように、外
の世界から忘れられかけてるとか。力のもとを流した黒幕がいるとか……」

 年頃の女の子が集まってする話が妖怪、都市伝説ですか。本人たちは楽しそ
うだから気にするまい。
 すると、次のお客が来た。テーブルの少女たちと同じく、常連の一人だ。

「こんにちは~。桃羊羹頂戴」
「いつものだね。毎度あり」

 いつも同じものを買いに来る青髪の少女にいつもの品を渡し、嬉しそうに出
て行く姿を眺めながら、今日もいつもどおりだな、と感慨にふける。






 幻想郷の和菓子屋は、今日も人妖問わず憩いの場となっている。



  終


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 お題を募集した東方SSです。お題は「和菓子屋」ということで、
もし人里に人気の和菓子屋があったらというシチュで書かせてもらいました。

 どのキャラが何を好んで、誰と一緒に買いに来るか。
今回書いた以外にも色々アイデアはありますが、今回はこれで一区切り。読者
さんに想像の余地を残すのも、物語を書く上での面白さだと思ってます。
皆さんの頭のなかでは、誰が、誰と、何を買いに来るでしょうか?




久しぶりにまともなあとがきっぽいこと書けてちょっと嬉しい、博霊饅頭でし
た!


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