博霊饅頭即売所

東方SS 狼と楓9 完結?

2013/04/02 17:42 投稿

コメント:1

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和室にいるのは楓と椛、神奈子、諏訪子の4人。特に会話も無く、ぼんやりとした時間が流れている。
出されたお茶を飲みつつ、楓は何か話を切り出そうとするが、神様相手にどんな話をすれば良いか分からず、上手く切り出せないでいた。すると、カエルの帽子を持っている幼い感じの女性・・・洩矢諏訪湖が楓に話しかけてきた。

「楓君だっけ? 外来人だよね。外の話聞かせてくれるかな? こっちに来てから1年ぐらい経つから、外のことがちょっと気になるんだよね」
「え? ええ、良いですけど・・・どんなことをお話すれば?」
「あ。そんな固くならないで良いよ。リラックスリラックス♪」

諏訪子はそう言ったが、神様を前にしてリラックスなんてできる訳もなく、楓は相変わらず緊張したままだった。諏訪子は話し相手を椛に変えた。

「それにしても、椛まで来るなんて珍しいね。哨戒の仕事は休み?」
「今日も仕事ですよ。侵入者の監視です」
「侵入者か。外来人だし、間違ってはいないね。じゃあ、椛の用事はこれで終わり?」
「一応終わりですけど・・・もう少しここに居て良いですか?」
「良いよ良いよ。こんなとこで良かったら好きなだけゆっくりしてってよー」

そう言ってから、諏訪子は隣の神奈子に何かを耳打ちする。神奈子はその内容を聞いて、僅かに頬を緩ませた。

(何を話してるんだ・・・? 何か失礼なことでもしたかな・・・)

楓は心配で仕方が無いようで、目の前の神様たちを不安げに見る。すると、諏訪子が耳打ちをやめた所で、神奈子が話を切り出す。

「楓君。この後はどうするつもりだ? 博麗神社に行くのか?」

突然よく分からないことを聞かれたが、楓はそれが、『元の世界に帰るのか?』という趣旨の質問だと気づいた。

「帰るつもりはありませんよ。帰る理由も無いし、異世界なんて滅多に来れませんから。仮に帰るとしても、幻想郷をひと通り観光してからですかね」

先ほど椛が気軽に話していたのを見たため、最初よりも若干緊張が取れた話し方をする楓。

「そうか・・・。こっちにいる間の住まいは決まってるか? まさか野宿する訳じゃないだろう?」
「最初はそう思ってたんですけど、危ないですよね。椛たちみたいな優しい妖怪だけとは限りませんし・・・」

それを聞いて僅かに尻尾を揺らす椛。向かいに居た諏訪子と神奈子は気づいたが、隣の楓は気づかない。

「ということは、まだ決めてないのか。危ないな・・・」

神奈子がそう呟いたが、そこに、和室の外から声が割り込んできた。

「それなら、椛さんに人里まで運んでもらえば良いじゃないですか」

障子を開けて、早苗とにとりが戻ってきた。手に持ったお盆にお茶が6つ乗っており、それを
ちゃぶ台の上に並べて、自分たちもそこに座る。

「あのね、早苗。彼らは歩いて登ってきたんだよ。飛んでこれない理由があるんだろ」

諏訪子がそう言いながら、お茶と一緒に出てきた煎餅に手を伸ばす。

「じつは、楓が高所恐怖症らしくて」

椛がそう説明を始めて、楓とにとりは「ははは・・・」と苦笑いをこぼす。

「あーなるほど。そう言ってるのか。嘘はいけないなぁ」

諏訪子にあっさり見抜かれて、固まる楓。

「え・・・嘘? ・・・楓、どういうこと?」

椛がそう言って楓を見る。楓が答える前に神奈子がやれやれと言ったように説明を始める。

「いくら観光とはいえ、高所恐怖症のやつが自分から山に登る訳無いだろう。幻想郷には飛べる奴ばっかりいるから、高所恐怖症の奴の気持ちは分からんか」
「ご・・・ごめん」
「え、ええっと・・・」

楓が謝ると、椛はしばらく視線を彷徨わせてから1つだけ楓に問いかけた。

「な・・・なんでそんな嘘を・・・?」
「あ、それ私も気になる! ぜひ教えて下さい!」

早苗がちゃっかり便乗して、質問の答えを楓に要求する。どう言うべきか迷っている楓に、にとりが小声で耳打ちしてきた。

「(はっきり言っちゃえば? ついでに椛に告白しちゃおうよ)」
「(!? む、無理です!)」

ビクッと体を震わせ、余計に戸惑う楓。そんな楓の目の前に身を乗り出して、顔を覗きこむ早苗。

「楓さん。なんで嘘なんてついてたんですか?」

楓は後ろに下がろうとしたが、いつの間にか回り込んでいた諏訪子に止められる。諏訪子はニヤニヤと笑いながら一言。

「素直に言ったほうが良いよー。恋する少年」
(ば・・・バレてる!?)

さすが神様と感心しかけた楓だが、今の状況では逃げ道がどこにも無いということを示している。諏訪子に無理やり椛の方を向かされ、椛の向かいに座っている神奈子が改めて楓に聞く。

「で? なんで高所恐怖症なんて嘘をついてたのかな? 楓君?」
(に、にやけてる!? この人もグルか!?)

なんてノリの良い神様たちだと思いながらも、楓は遂に観念した。顔を真っ赤にしながら、小さな声で、それでいてはっきりと椛に言い放つ。


「も・・・椛と長く一緒に居たかったから・・・///」


その答えを聞いて、同じぐらい赤くなる椛。諏訪子と神奈子はわざとらしく、「ほぉ・・」と感嘆の息を吐いていた。にとりはやっと言ったかとばかりにため息を吐く。当事者以外で唯一気づいていなかった早苗は目を輝かせながら、更に深く聞いてくる。

「そ、それって椛さんが好きってことですか!? いつから!? どんな所が!? どういう事があって好きになったんですか!?」
「落ち着きな、早苗。そこから先は当事者が話す話だろう?」
「気になるんですもん! 恋バナですよ恋バナ! 食い付かなくて何が乙女ですか!」
「はいはい。邪魔しないように向こう行くよ」

質問を続けようとする早苗をにとりが引きずるようにして外に連れて行く。
二人が出て行った後、諏訪子が最初に話を切り出した。

「で、椛は楓くんのことどう思ってるの? 歩いてまで付いてきたんだから、嫌いなわけでは無いんでしょ? 楓くんは椛と一緒に居たいらしいけど?」

更に顔を赤くする椛。しばらく押し黙っていたが、やがて、ゆっくりと口を開いた。


「・・・私も・・・時間がある時は、楓と一緒に・・・居たいです・・・」


耳と尻尾を垂らして、俯きながらそう言った。
すると、諏訪子が椛の手を握って、上下に揺らしながら言った。

「いやー、良かった良かった。これで二人は恋人ってことで良いかな?」
「ふぇ!? こ、恋人!?」
「あれ? 嫌?」
「嫌じゃないけど・・・ていうか嬉しい///」
「楓君は?」
「神様公認なんて光栄ですね。願ったり叶ったりです」

それを聞いて諏訪子は元の場所に戻って座り、また話しだす。

「仕事したなー。縁結びなんて久しぶりー」
「私たちは何もしてないだろう? 最初から両思いだったみたいだし」

神奈子がそう言い返したが、楓が思わず聞き返す。

「え? 仕事? 誰かが縁結びを頼んだんですか?」
「ん? どっちかが文ちゃんに頼んだんじゃないの? 文ちゃんが二人に協力してくれって頼みに来たんだけど・・・」
(この山の人達鋭すぎるだろ・・・人が一人もいないのが問題だけど)

楓がそう思っていると、椛が二柱に聞く。

「え? じゃあ早苗も知ってたんですか?」
「いや。早苗は演技が下手だから伝えるなって文ちゃんが」
(早苗さん仲間はずれかよ!)

楓と椛が早苗を不憫に思っていると、神奈子が次の話題を振ってきた。

「さて、さっきは早苗が入ってきて中断したけど、こっちでの住まいはどうするつもりだ?」
「あ・・・忘れてました。どうしましょう? やっぱり人里にでも送ってもらって・・・」

そう言いかけた楓を諏訪子が制止する。そして諏訪子はわざとらしく咳払いをして、こう言った。

「実は山の麓に、誰も使ってない山小屋があるんだ。いや正確には、今の時期は誰も使ってない小屋がね」
「あれ? もしかして、人里の大工さんが使う小屋ですか?」

心当たりがあるようで、椛がそう聞いた。

「そう。大工さんが山の木を切りに来るときだけ使う、あの小屋だよ。たしか椛の家の近くだったと思うんだけど、どう?」
「マジですか!?」

思わず歓喜の声を上げる楓。そんなところに住めれば、好きなときに椛に会いにいける。

「大工さんにはちゃんと口添えしておくよ。掃除とか食材集めとかしなきゃいけないから今すぐって訳には行かないけど、まあ好きに使ってよ。今日はここに泊まっていきな」





後日談
数週間後。妖怪の山に外来人が住み着いたと「文文。新聞」が伝え、記事と一緒に写真が添えられていた。
木の陰に並んで座り、楽しそうに談笑している外来人と白狼天狗。
二人は時々人里に遊びに来て、楽しそうに並んで歩いているそうだ。


                   狼と楓 完

                 東方紅葉録 へ続く
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「狼と楓」完結です! 続きますけどねw この二人書くの楽しいもんw
次は舞台を妖怪の山から幻想郷全土へ。遊びに行くだけですけど。
楓と椛の散歩(デート)をお楽しみください。

あ、「狼と楓」について少しだけ語ります。
最初から最後まで全部即興でした。行き当たりばったり作品ですw
1話書き始めた時点では単発のつもりだった上に、タイトル決めてなかったし、椛とにとりの将棋関係の会話書いてる時はバトル物を書こうと思ってたのに。1話が終わったら恋愛方面に向かってたw なんでだw
そんな作品なんで、語ることもほとんど無いわけで・・・

という訳で、ご愛読ありがとうございました。続編にご期待・・・してくれるかなぁ?(自信無さげに)


東方紅葉録 第1話

コメント

ryouma
No.1 (2013/08/28 14:45)
とても面白かったですこれからも頑張ってください!!
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