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ルーミアの日記念SS 「闇に包まれた少女」

2013/03/07 10:58 投稿

コメント:2

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※注意 長いです。ほのぼの系です。ダメな人はすぐにBACK!


深い森の奥、木々が生い茂るその上空を、黒い球体がふわふわと飛んでいる。
いや、よく見れば、それが球体ではないとわかるだろう。真っ黒な霧のようなものが1か所に纏まっているのだ。密度が濃く、塊の向こう側どころか、中すら見通すことはできない。
密度だけでなく、色も濃い。暗いと言った方が適切かもしれない。その色がどこまでも続いているように思えるほどで、「黒」というより「闇」と言った方がしっくりくる。
昼の明るさの中で、その暗闇は一際目立つ。その部分だけ、空が切り取られたかのように錯覚してしまいそうだ。

その「闇の塊」は、木々の上をゆっくりと移動している。時々、上下に揺れて木の上部を闇の中に呑み込むが、何事もなく闇は通過していく。中に入るとすぐにどうにかなる訳では無いようだが、不気味なことに変わりはない。

ある時、それはこれまでと同じように上下に揺れ始めたが、揺れ幅が先程までより大きくなった。いままでより高度が低くなったタイミングで、進行方向にあった木を呑み込む。さっきまでなら何事もなく通過していたのだが・・・


「ひぐっ!」

突然、幼い声の悲鳴が森に響く。浮かんでいた「闇の塊」は動きを止め、ゆっくりと下に下がっていく。
やがて地面に到達し、ゆっくりと暗闇は密度を薄くして消えていく。消えた後には、頭を両手で押さえ、うずくまっている少女がいた。

「う~。痛~い・・・またぶつかっちゃった・・・」

どうやらこの少女は先程の球体の中にいたようだ。良くぶつかるような口ぶりだが、外が見えていないのだろうか?
その少女は金髪を肩まで伸ばしており、左側に赤色のリボンをつけている。瞳も赤色で、黒い服とは対照的である。

すると、少女が私に気づいたようだ。こっちを見て話しかけてくる。

「うー・・・う? お兄さん誰? 人間?」
「そりゃあもちろん。人の形をしてるからね。大丈夫かい? 木に頭をぶつけたようだけど・・・」

あの暗闇はなんなのか? この子は何者なのか? 他にも気になることはいくつかあるが、職業柄、この子が怪我をしていないかが一番気になる。

「私は大丈夫。いつものことだし、頑丈だからね」

さっきは目に涙を浮かべていた気がするが、大丈夫と言うなら大丈夫だろう。

「お兄さん、珍しい服着てるね。全身真っ白」
「そりゃあ、私は医者だからね。この服は白衣っていうんだ。
ところで、道に迷ってしまったんだけど、ここはどこかな?」

病院の仮眠室で寝ていたのに、気づいたら森のなかにいた。なんでこんな処にいるのか気になるけど、病院に戻ることが第一だろう。

「どこって、魔法の森だけど・・・お兄さんはどこに行きたいの?」

魔法の森・・・? 聞いたことないな。そんなファンタジックな名前の森があったのか。それとも子供たちの間で使っている名前か。

「とりあえず、この近くの街に案内してもらえるかな?」
「まち・・・? ああ、そっか。お兄さん外来人なんだ・・」

少女はなにか納得したようだが、何を言ってるのか良く分からない。
がいらい・・・私は外来診察もやってるが、おそらく関係ないだろう。

「外来人・・・幻想郷と無関係・・・食べちゃっていいかな・・・?」

・・・何かの比喩か? 恐ろしげな言葉が聞こえたが・・・
とりあえず、聞いてみよう。

「お腹が空いてるのか? 何が食べたいんだ?」
「お肉・・・」

口の端からよだれが出てる。よほど空腹なのか。あいにく肉は持ち合わせてないが・・・

「ほれ。食べるか」

病院内の自販機で買ったお菓子を差し出す。小腹を満たしてから仮眠をとろうとしていたんだが、疲れのほうが勝ってしまい、ポケットに突っ込んだまま寝てしまった。

「食べ物・・・?」
「空腹の奴に食べ物以外を渡すと思うか?」

とたんに、彼女の顔が明るくなる。少し距離を置いていたのだが、両手を広げて走り寄ってくる。その仕草が可愛らしくて、なんというか・・・和んだ。

「わはー!」

嬉しそうな声を出して、お菓子を受け取る少女。その場に座り込んで袋を開け、中身をもぐもぐと頬張る。その隣に座ってその様子を眺める。

「ところで、さっきの話だけど。近くの街とか、とにかく人のいるところまで案内してほしいんだ。お願いできるかな?」
「もぐもぐ・・・お兄さん帰りたいのかー?」
「そりゃまあ。仕事とかあるからできるだけ早く帰りたいね」
「そーなのかー。帰るのかー」

あれ? 語尾を伸ばすようになった? 素の口調になったなら、心を開いてくれたってことだけど・・・

「それなら、霊夢のところかなー。飛んでいった方が早いなぁ」

飛ぶ? さっきの黒い塊のことだろうか? 飛んでたし・・・
そんなことを考えていると、少女に手をつかまれた。何を? と思った次の瞬間には、何も見えなくなっていた。

「うわっ! なんだこれ!」
「ちゃんと掴っててよー。落ちちゃうから」

少女の声と同時に体を包む浮遊感。何も見えないが、おそらく空を飛んでいるのだろう。さっきの球体に包まれて。というか・・・

「何も見えないじゃん! ぶつかる! 危ないって!」
「そんなドジじゃないのだー」

少女からそう返事があるが、木にぶつかったところを見た身からすると、気が気ではない。いつぶつかるかと常に身構えてしまう。
そのまましばらく飛行(見えないから分からないが)を続けると、ある地点で少女が、「降りるよー」と言ってきた。そして、足が唐突に地面に着く。それと同時に明るくなる視界。
突然の光に目を細めながら周りを見渡すと、そこは広い神社だった。背後に鳥居が立っており、目の前には境内が広がり、本殿と思わしき建物もある。

「霊夢ー! 外来人連れてきたのだー!」

少女は本殿の中にづかづかと押し入り、中に声を掛ける。罰当たりなことこの上ない。

「ルーミア? 珍しいわねぇ。あなたが外来人を連れてくるなんて・・・」

そう言いながら、一人の少女が現れる。巫女・・・だろうか? 不思議な巫女装束だが。
寒くないのか? それ以前に、恥ずかしくないのかと気になる。個人の趣味にとやかく言うつもりはないが。
それと、あの少女はルーミアというらしい。そういえば名前を聞いてなかった。
不思議な巫女装束の少女・・・ルーミアは霊夢と呼んだ少女は私に近づいてきて、一言。

「で、どのあたりに帰せばいいの?」

・・・話が良く分からない。
私の顔から困惑の色を読み取ったのか、霊夢はルーミアを振り返って彼女に声を掛ける。

「あんた、何も説明してないの! 連れてくる前にちょっとぐらい説明しときなさい!」

驚いて縮こまるルーミアを一瞥して、霊夢は私のほうを向き、説明を始めた。
彼女のいうことをすべて信じるなら、ここは幻想郷と呼ばれる、いわば「異世界」であり、妖怪や幽霊、神様がたくさんいるらしい。彼女は外の世界から入り込んだ人間・・・外来人を元の世界に帰す役目を請け負っているらしい。

「そうか・・・色々と納得できたよ」
「あまり驚かないのね。それで、どこに帰せばいいの? 東京? 名古屋?」
「そうだな・・・それじゃあ東京で頼む」

元の世界に戻れば、あとはどうとでもなるだろう。

「ルーミア・・・だったか。ありがとな。最初に会ったのが君で助かったよ」
「最初にこいつに会うと、高確率で食われるんだけど・・・」
「え!?」
「わはー?」

結構危険な状況だったらしい。まあいいや。

「まあそれはともかく、これ、お礼だ。珍しがってたし、あげるよ」

そういってお礼を渡し、霊夢に元の世界へ続く道を開けてもらった。

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数日後・・・

「ん? ルーミア? 珍しいな。能力使ってないなんて・・・」

白黒魔法使い、霧雨魔理沙は魔法の森の上をルーミアが飛んでいるのを見つけた。

「あれ? 白い・・・? 何だあの服?」

ルーミアは白い上着のようなものを着て、クルクルと嬉しそうに回りながら飛んでいたらしい。



                    完
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どうも、博霊饅頭です。
毎月7日はルーミアの日! ということでSSを投稿。長いです。
3月なので早苗さんの日とかぶってますが、そんなことは気にしない。るみゃメインのSSです。幻想入り風味で書きましたが、あまりぱっとしない展開に・・・いいです。ほのぼの系って言っておけば誤魔化せます。誤魔化せ・・・ますよね?(震え声)


感想いただければ幸いです。アドバイスなんかもお願いします。
誹謗中傷は・・・やめてね(懇願)


コメント

cot
No.1 (2013/03/07 16:25)
ニヤニヤしながら楽しんで読めた、おつ~
博麗饅頭 (著者)
No.2 (2013/03/07 16:33)
ありがとうございます!
次はほのぼのじゃなく、戦闘系のSS書きたいなぁ(結局ほのぼの書いてそう)
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