博霊饅頭即売所

東方SS 嘘と真

2017/04/01 00:05 投稿

コメント:2

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※本作品は東方Projectの二次創作です。




エイプリルフール。毎年4月1日の一日のみ、嘘をついても良いという風習のこと。



「実は儂、人間ではなくて化け狸なのじゃよ?」

 降り積もった雪も綺麗に溶け、まもなく桜が開花するであろう時期のある日の鈴奈庵。人に化けた姿で客として訪れていた二ッ岩マミゾウが放った一言で、同じく店を訪れていた博麗霊夢は飲んでいたお茶を詰まらせそうになり大きく咳き込み、店番をしていた本居小鈴は驚愕の声を上げた。

「えええ!? ど、どういうことですか!」
「あんた……!! 一体どういうつもりよ……!!」
「おお、怖い怖い。そう睨むでない」

 厳しく睨みつける霊夢の視線を全く気にせず、ケラケラと笑いながらそんなことを言うマミゾウ。

「睨むに決まってるでしょ! あんた何考えて……」
「そう怒るでない。今日はエイプリルフールじゃぞ?」
「えい……? なによそれ」
「ほれ。これじゃ」

 マミゾウはそう言って、怒鳴りつけようとする霊夢に手に持っていた本を投げ渡した。

「うわっと……外来本?」
「ああ! そんなことが書いてある本、ありましたね」

 戸惑う霊夢とは対称的に、小鈴は納得がいったとばかりに両手をポンッとあわせる。

「外の世界の風習での。卯月の最初の日……つまり今日じゃが、今日一日だけは、嘘をついても許されるというのがあるのじゃ。午前中だけとか、嘘の内容は年内に叶わなくなるとか色々細かい話もあるがの」
「びっくりしましたよ。常連さんが化け狸……妖怪だなんていきなり言い出すんですから」
「ほっほっほ。ただの思い付きじゃが、楽しんでもらえたようで何よりじゃ」

 一方霊夢はというと、隅の方で「つまり……? あの狸の言ったことは嘘? でもあいつほんとに狸だし……でもここでそれを言及するわけには……」とひとり頭を抱えている。

「まあ、博麗の巫女がいる前で言うにはちと不謹慎な内容じゃったかの」
「ほんとですよ。攻撃されてたらどうするつもりだったんですか」
「大丈夫じゃよ。こやつはそこまで見境なくはないからの。さて、悪戯も済んだし、儂は退散するとしよう」

 そういってマミゾウは楽しそうに笑いながら鈴奈庵を出ていった。「ほんと、悪戯好きな人ですねー」と笑いながら言う小鈴に、霊夢は「ごめんね、ちょっと急用ができた」と言って同じように鈴奈庵を出て行った。

「むー。私も何か面白い嘘考えようと思ったのにな~」

 一人残された小鈴は寂しそうにそうつぶやいた。





「ちょっとあんた!」

 鈴奈庵を飛び出してマミゾウの後を追った霊夢は、彼女を呼び止めて袖を掴み、近くの小道に引っ張って連れていく。

「どうしたんじゃ霊夢。そんな難しい顔をして」
「あんたのせいでしょ! 何考えてんのよあんなこと言って! 小鈴が信じてたらどうするつもりよ!」
「大丈夫じゃよ。あの嬢ちゃんにとっては儂は”人間”じゃからな。加えて今日はエイプリルフール。嘘つき放題じゃ」
「あんたひとつも嘘ついてないじゃない」
「面白いのう。儂は事実しか言ってないのに、あの嬢ちゃんにとっては”儂は狸じゃ”という嘘をついたことになり、お主にとっては”儂が正体をばらした”という嘘になる嘘と真は裏表ってな」

 マミゾウはケラケラと笑い、霊夢は呆れたようにため息をつく。

「嘘をついてもいい日ということは、相手が嘘をついている日でもある。今日限りじゃが、何を言っても嘘と思ってくれるのじゃから。隠し事を打ち明けるにはピッタリじゃな。案外、そのための風習なのかもしれんのう」








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思いつきの小ネタなのでいつも以上に短いです。
さっくり読んで流しちゃってください



コメント

HRK
No.1 (2017/04/01 00:52)
短いですが鈴奈庵のような雰囲気がよく出ていて面白かったです!(嘘じゃないよ!w)
博麗饅頭 (著者)
No.2 (2017/04/01 10:42)
感想ありがとうございます!
短いなりにできるだけ雰囲気は寄せようと、口調や流れは気を付けたつもりなので、そう言ってくれると嬉しいです!
あとは話の長さだけでなく、投稿間隔をもうちょっと短くしたいところ(;´・ω・)
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