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【考察】ゲーム実況に対して思うこと2020【刑事告訴】

2020/12/09 17:24 投稿

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最近、NHKがこんなニュースを取り上げた。



そのゲーム実況、告訴されるかも | NHKニュース
インターネットアーカイブ版

ニュースの要約(引用元: NHKニュース)

このニュースの内容は、
イザナギゲームズの実写ムービーゲーム「デスカムトゥルー」
実況配信アーカイブをYouTubeに投稿した人に、
刑事告訴の警告が来たという内容。

デスカムトゥルーでは、起動からタイトル画面までの間に、
主人公カラキマコト役の主演、本郷奏多氏が以下のような警告を、
プレイヤーに語り掛ける。

デスカムトゥルーでは、
ネタバレ防止のため、プレイ動画・生放送公開の自粛をお願いしております
より、多くのお客様に本作を楽しんでいただくために、
ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

そんなデスカムトゥルーの実況配信をした実況者は、
この警告を見てリスナーの反応を見つつ、

「やばい、配信自粛だって。困った、配信やめる?
「困りましたね、自粛してくれと言われたらできない・・・」

と悩みつつも、「でも、まあやるか」と続行してしまったという。

イザナギゲームズの弁護士と実況者が向き合ったときには、
実況者は次のような返答をした。

犯罪にはならないだろうと思ってしまったことと、
 閲覧する方の数がそんなに多くなく、
 多くても10人いかないだろうという気持ちと、
 あとはすぐに削除すれば問題ないだろうと思ってしまって
 そのまま続行してしまいました。」

「犯罪まで、著作権侵害までなるとは思っていなかったです。」

イザナギゲームズ側は、この1度の実況配信による被害額は、数百万円にも及ぶ
推定したが、実況者の謝罪が真摯なものだったとして、刑事告訴は取り下げられたという。

また、イザナギゲームズは他の配信者・実況者のリストを組んでおり、
他の実況配信者にも同じく刑事告訴の警告が発せられることが予想される

ちなみにイザナギゲームズの社長、梅田慎介氏はTwitterにて、

実況放送可、実況放送不可、実況放送一部可の区分設定を
明確にする仕組みと、啓蒙活動が大事かと思います。

とコメントを残している。

このニュースへの反応

このニュースを受けて、Twitter等のSNSでは話題が沸騰した。
様々な人々の反応を見てみると、その反応の種類は多岐にわたっていたが、
中でもゲーム会社に対して批判的な反応が多かった。

ゲーム実況のおかげで売れてる」と思っている人や、
自粛と禁止は違う」として、刑事告訴を理不尽とする人、
ゲーム実況ぐらいで」目くじらを立てるなという人、
実況できない仕組み」になぜしないのかという人、

中には、
ゲーム実況がゲームの売り上げを阻害するようなゲームって
 それはゲームとは言えないのではないか?
と豪語する人までいた。

しかし本来ゲーム実況とは、ゲーム版権元の許諾や黙認によって成り立つものであり、
ゲーム実況者がゲーム版権元よりも堂々としていいコンテンツではないはずだ。

そもそも、著作権法上ゲームは「映画の著作物」として保護されており、
版権元に許可なくゲーム画面を録画/撮影する行為は「映画の複製行為」とみなされる。
それに加えて動画を配信して不特定多数に見せる行為は、「公衆送信権の侵害」となり、
MODやセーブ改変ツールなどを用いている場合は「同一性保持権侵害」になってしまう。

実際、有名ゲーム実況者のまっくす氏も過去、

許諾取れているものは、いくらやってもOK
許諾ないものに関しては違法。メーカーが黙認。
許諾なしの実況やってる人は少なからず訴えられてないだけの違法者だから
企業に利益が出てるのが事実だとしても
俺らのおかげで売れてるなんて言わないでおこうよ。慎ましくさ。

とツイートしたこともあった。

このように、ゲーム実況は映画の複製と公衆送信と同じ法律が適用されるほど
法的リスクが高く、無断でそれを強行するという行為は
決して褒められたものではない。

にもかかわらず、なぜそこまでゲームそっちのけで、
実況者の行為が正当化されるようになったのだろうか?

ここからは、俺の考えを書いていく。

ゲーム実況は現代人の「新しい娯楽」

俺は、ゲーム実況には肯定的でも否定的でもない。
単にゲーム実況とは、現代人にとっての「新しい娯楽」だと考えている。

ゲーム実況が一般化する前は、「ゲームを遊ぶこと」が大きな娯楽として存在していた。
しかしそこに新たな娯楽として「動画視聴」が現れ、さらに「ゲーム実況」が生まれた。

そして現在は、「動画視聴」と「ゲーム実況」という新たな娯楽によって、
「ゲームを遊ぶこと」による娯楽が淘汰されようとしていると、俺は考えている。

どういうことなのか? 歴史から紐解いていこう。

任天堂のゲームハード、ファミリーコンピューターが普及し始めたころには、
ガラケーをこれから普及していこうかという時期であり、
インターネットもそれほど発展していなかったからこそ、
ゲームを遊ぶという娯楽は、とても大きく、最先端だった。

それからパソコンによるダイアルアップ接続などによるインターネットが普及し始めても、
19世紀中、ゲームを利用した副次的なネットコンテンツは
ゲームの掲示板や個人のメモのような攻略サイトのようなものしかなく、
ゲームの攻略法が知りたい人が行う手段として攻略本は一番メジャーな存在だった。

20世紀に入ると、PeerCastの登場により、ゲームの生配信を行う人々が現れ、
アングラのネットカルチャーとして徐々に広がることになった。
記念すべき、「動画視聴」と「ゲーム実況」という新たな娯楽の誕生だ。

その後はYouTubeの登場により、PeerCastの配信が転載されるようになり、
ニコニコ動画が登場してからは、実況者の数は200人以上になったことで、
ゲーム実況は立派なネットコンテンツへと生まれ変わる。

それからは、インターネットの進化やスマートフォンの登場によって、
「動画視聴」の需要がどんどん高まっていく。
それまでは、動画を視聴するのにもそれなりの作業コストや不便さが多かったが、
技術革新により動画を視聴することがどんな娯楽よりも簡単になった。

そして、その時にはすでに、「ゲームを遊ぶこと」よりも、
「ゲーム実況を見ること」のほうが、圧倒的に楽になっていた。

2012年には、YouTubeはパートナープログラムによる収益化システムを開始。
それにより、収益目的でゲーム実況をする人々も増え始める。

そして現在。新作ゲームの発売日には、必ずと言っていいほど、
ゲーム実況配信が大量に立ち並ぶようになった。
新作ゲームを楽しみにしていた人々は、それらの実況配信に群がるようになり、
ゲームを買って遊ぶ人々よりも、ゲーム実況のほうが目立つようになった。

これが、俺が「動画視聴」と「ゲーム実況」という新たな娯楽によって、
「ゲームを遊ぶこと」による娯楽が淘汰されようとしていると考える所以だ。

「ゲーム実況でゲームが売れる」という幻想

俺は、ゲーム実況によって売れるゲームがあることは否定しない。

だが、すべてのゲームがゲーム実況によって売れる」という考えは幻想だと思う。
それどころか、ゲーム実況の流行によって、
「ゲーム表現が委縮の一途を辿っている」と俺は考えている。

どういうことか?

ゲームには、
動画配信向きのゲーム
動画配信向きではないゲーム
動画配信によって価値の多くを失ってしまうゲーム
があると考えられる。

ゲーム実況で売れるゲームとは、「動画配信向きのゲーム」に当てはまり、
「動画配信によって価値の多くを失ってしまうゲーム」ではないゲームだ。

動画配信向きのゲームとは、例えば次のようなものだ。
・対戦や協力などにより、コラボレーションが容易
サムネイルに困らないほど、画になるシーンが多い
・実況配信者がリアクションに困らず、様々なことが起きる

PUBG、Dead by Deylight、Fall Guys、Apex Legends などの多人数参加型ゲーム
ファイナルファンタジー、龍が如く、Detroitなどの映画的ゲーム
Goat Simulatorなどのバカゲーや、ビックリ系のホラーゲームなどが当てはまる。

動画配信向きではないゲームは、上記とは正反対のものだ。
延々と同じような画面が続き、状況があまり変化しないゲームは、
たとえどんなに面白くても動画映えせず、ゲームの魅力が伝わる動画を作る難易度も高い
そのため、実況動画を見ても購買意欲がそそられない動画が生まれやすい。
そのような動画によって、ゲームを買いたいと思える人はどれだけいるだろうか?

では、動画配信によって価値の多くを失ってしまうゲームとは?
それは以下のようなものだ。
・意外な展開や結末を前情報なしでプレイヤーに届けたいゲーム
・ゲームで出来ることが少なく一本道のゲーム
プレイヤーにしか知られたくない秘密の多いゲーム
エピソード課金があるゲーム

例えばサスペンス系ストーリーのムービーシーンが多いゲームは、
動画映えする反面、動画にする事がイコールでネタバレになってしまう。
そのため、ゲームのストーリーを楽しみたい人がそうした動画を見てしまうと、
その動画に満足してしまい、例えそれでも興味を持ちゲームを買ったとしても、
メインストーリー以外の部分しか、初見で楽しめる部分が残っていないことになる。

龍が如くシリーズのように、メインストーリー以外にも
ミニゲームやサブストーリーなど他に楽しみが豊富なゲームならまだしも、
ストーリーが一つだけしかなく、ゲームで出来ることもあまりないようなゲームは、
ネタバレ動画を見ることで、フルの価格での購入をする魅力を殆ど失ってしまう。

また、アプリの課金要素やDLCなどでエピソードを有料販売しているゲームも、
ネタバレ動画公開によって多くの価値を失うことになる。


ゲーム実況によって売り上げを伸ばしたという事例は確かに存在する。
しかし、そうした事例として記事になっているゲームのほとんどは、
マインクラフトやテラリア、eスポーツゲームなどのような、
動画によって価値を失わないゲームばかり取り上げられている。

そのため、ゲーム実況によって売上が上がったという記事をソースとして、
実況プレイを持ち上げるには、データが足りないだろう。

ゲームの「価値」

さて、ここで気になることがある。
「ゲームの価値」とは、いったい誰が決めているのだろうか?

俺は、制作者の考えるゲームの価値と、実況ファンが考えるゲームの価値には
大きな溝があると考えている。

近年、一部のゲームメーカーもゲーム実況の流行に合わせ、
ゲーム実況に関するガイドラインを制定したり、
録画や配信に関する機能を付与するといった動きも増えてきた。

それに甘んじてか、
「最近のゲームメーカーはゲーム実況に寛容になってきている」
という考えを持つ人も増えてきている。

だが、俺はそうは思わない。
どちらかといえば、ゲーム会社はゲーム実況に対して「守りの姿勢に入った」ことにより、
そのような動きになったと考える。

ゲームの制作には、膨大な労力・時間・お金が必要だ
そのため、ゲームのストーリーやグラフィック、音楽、ギミック、マップなど、
すべての要素に労力や時間、お金がかかっている。

そうして完成したゲームを売り出し、収益を回収して黒字にすることで、
ゲーム会社は利益を得ることができるのだ。

しかし、ゲームを買って遊んだプレイヤーにとってみれば、
実際に遊んだ感想がそのままゲームの価値となるため、
制作者の考える価値とは裏腹に、プレイヤーは真逆の評価を下すこともある

そして、それはゲーム実況者や、実況リスナーも決して例外ではない

ゲームをフルの価格で購入したプレイヤーから低評価を下されるならまだしも、
実況プレイを見てゲームに対して低評価を持つリスナーが増え、
そのようなリスナーがSNS上やゲームのレビューサイトなどに評価を書かれたら
ゲームメーカーにとってはたまったものではない。
(遊んでもいないのに「クソゲー」「金と時間の無駄」「面白くない」とか)
低評価レビューではなくとも、ストーリーのネタバレとかも同様だ。

それに、エアプのリスナーと実際のプレイヤーの見分けもつかないので、
それぞれがゲームのネタバレレビューを書いたところで、
どれが実際のプレイヤーによるものかを判別するのは殆ど不可能だろう。

そう、現代のゲームの価値はもはや、
実況動画を見た、エアプのリスナーによっても左右される時代になったのだ。

だからこそゲームメーカーは、
「ネタバレや秘密等の公開を事前に防ぎ、最低限のゲームの価値を守るため」
実況ガイドラインの制定や、配信システムの導入などを始めたのではないだろうか。

なので決してゲームメーカーはゲーム実況に寛容になったわけではないと思う。
むしろ逆で、ゲーム実況から身を守るための防衛を始めたに過ぎない。

ゲーム実況の未来予想

このようにゲーム実況は、
「コラボが容易」「サムネ・リアクションに困らない」ゲームが好まれ、
人気を博している。
しかしその反面、「動画配信によって価値を失うゲーム」も存在する。

そして、制作者にとってのゲームの価値が蔑ろにされつつあり
実況を見ただけのエアプによってもゲームの価値を左右できるようになっている。

そのような、ゲームをなりふり構わず実況する風潮が、今後より強まるならば、
今後のゲーム表現が、より委縮の一途を辿るのではないかと、俺は心配だ。

ここからは、完全に俺の妄想なので、話半分にしてほしい。

ゲームを持っていない人が実況動画を見て満足するという人は多いが、
中には、実況動画を見てゲームを買うかどうかを決める人も多い。

しかし、ゲームを遊んだり買おうという前に必ず、
実況配信を挟むという行動をする人が大多数になってしまうと
そのうち、動画配信で価値が失われない、実況向けのゲームしか
商業で販売されなくなるのではないだろうか。

そうなれば、シングルプレイヤー系ゲームや、ムービーゲー、
ノベルゲームなどはどんどん淘汰されていくだろう。
しまいには、「あんなのはゲームじゃない」と言われるような日が来るかもしれない。

それがずっと続けば、ゲーム表現が動画向けに最適化する反面、
ゲームもゲーム実況もマンネリ化し、衰退していくだろう。

そのような時代になれば、それまで「ゲームあっての実況プレイ」だったものが、
「実況プレイあってのゲーム」になっているかもしれない。

そのような、ゲームにとって暗い世の中になるかどうかは、
ゲームメーカー側が今後いかにゲーム実況から価値や収益を守る仕組みを作るか
かかっていると思う。


今回のNHKのニュースは、とても衝撃的なものだったが、
これを機に大きな転機が訪れることを、俺は期待している。

イザナギゲームズには、ぜひ頑張って良い前例を残してほしい。



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