伊藤剛×加治屋健司「美術からマンガを見る/マンガから美術を見る――『マンガを「見る」という体験』刊行記念対談」【2014/11/14収録】 @GoITO @kenji_kajiya

伊藤剛×加治屋健司「美術からマンガを見る/マンガから美術を見る――『マンガを「見る」という体験』刊行記念対談」【2014/11/14収録】 @GoITO @kenji_kajiya
鈴木雅雄編『マンガを「見る」という体験』(水声社)は、マンガ表現論と美術批評をクロスオーバーさせた連続討議を論集にまとめたものです。ともすればそれは、マンガと美術の接点をさぐるといったものととらえられますが(その見方も間違いではないにせよ)、むしろ「マンガ」と「美術」を同じテーブルのうえで扱うことで、私たちの視覚体験により深く切り込むことを試みたと言ったほうが適切でしょう。言い方を変えれば、ここで探られているのは、「マンガ」と「美術」を等しく語りうるプラットフォームということです。また、ともに平面のうえに「描かれたもの」であるはずの両者が、なぜかくも断絶させられてきたのかという問いを残すものであったと言ってもよいでしょう。

本書の刊行記念であるこの対談では、同書所収の加治屋論文『マンガと美術――現代美術批評の観点から』で提示された、「経験的イメージ/超越論的イメージ」という概念対を軸に据え、マンガを「読む」体験の側から「美術」を「みる」ことと、美術を「鑑賞する」体験の側から「マンガ」を「よむ」ことを試みます。マンガの側からは「コマ」「フキダシ」といった諸装置を手がかりに、美術の側からは「フラットベッド画面」といった議論を手がかりに、互いの領域について互いが材料を持ち寄り、互いに「知りたいこと」を訊ね、互いが答えるという応答を予定しています。
(伊藤剛)
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