田原総一朗「汚染水問題を東電任せにしてきた政府は、遅ればせながら原発と向き合う態勢ができた」
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水漏洩問題が、深刻化している。300トンを超える汚染水が漏れていたのだ。東京電力は「パトロールをしていた」というが、全くもってどこを見ていたのか、と言いたくなる。とはいえ、そもそも汚染水の処理を東電任せにしていたことこそ大問題だ。そもそも、増えるばかりの汚染水をどう処理するのか、根本的な解決策が何も出てこない。
いったいなぜ、この国家の一大事を政府は一企業に委ね、放っておいたのか。なぜ、政府自ら乗り出さなかったのか。
民主党政権は、東電を悪者にすることで自分たちの身を守っていた。昨年12月、政権が自民党に移った。しかし自民党も事態の収拾を東電に預けっぱなしにした。政府が関与するということは、税金を使うということだ。反対していたのは財務省である。8月28日になってようやく、「政府が責任を持って対応する」と安倍首相が明言した。原発事故発生から実に2年5カ月も経ってのことだ。
では、政府はどのように対処するのか。僕は専門家に聞いた。汚染水が増え続ける理由は、放射性物質で汚染された原発内部に地下水がどんどん流れ込んでくるからだという。これには、地下水をせき止める壁を作って、汚染される前の地下水を海に流すルートを作らなければならない。
もうひとつ、タンクに保管されている膨大な量の汚染水がある。これをどう処理するか。実は、汚染水を浄化する方法は、すでに確立されている。浄化の過程でトリチウムという物質が出るが、海に流しても問題ないレベルの量だそうだ。フランスやアメリカでも、この方法は使われている。問題は、漁業組合の反対だろう。この点についても、国がしっかり責任を持ってやり抜くしかない。
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