日本列島は全体のおよそ7割を山間部が占めるといわれていますが、どんなに山深い場所でも道は通じているものです。
今回、「絶対に行ったらヤバそうな道」をとらえた写真を投稿したツイートが『Twitter』で話題になっています。
そのツイートがこちら。
「この先危険!」とか「ここから先行くな!」とか書くよりよっぽど効果的な例…「無事に帰ってね!」 pic.twitter.com/9SbNLBasT8— ディカ@横幅勢 (@DICA_Coj) 2016年3月19日
「この先危険!」とか
「ここから先行くな!」とか書くよりよっぽど効果的な例…「無事に帰ってね!」
というツイートと共に投稿された写真が問題の写真。車道から突然それた1本の道は、真っ暗な深山幽谷へと向かっています。そして、その入口には「無事に帰ってね!」というポップな注意書きとお地蔵さんが手を合わせている看板。
この写真に対して『Twitter』では、
「行くなとか危険とか言われたら行きたくなっちゃうもんね」
「奥の道がめっちゃ怖いw」
「『何があるのか解らない』レベルでは、最強かと…」
のように、怖いけど見たいといったユーザーの好奇心をくすぐっています。
この道はどこにある……?
投稿したユーザーによればこの写真が撮影されたのは「長篠堰堤」という場所の付近であるとのこと。この情報から場所を調べてみると、この看板がある場所は愛知県を流れる豊川という河川沿いにあることがわかりました。
Googleマップで位置を確認してみると、
上の地図に印をつけた場所になります。
ストリートビューを見てみると、
こちらのストリートビュー画像の撮影年は2013年。この時点ではまだお地蔵さんの看板は設置されていません。看板が設置されたのはごく最近なのでしょうか。
この道はどこにつながっている……?
恐怖心と好奇心をかきたてるこの道ですが、いったいどこにつながっているのでしょうか。
地図によれば、この道を進んだ先には中部電力横川水力発電所があります。入口に設置されたもう一つの看板「この先行止り」のとおり、発電所で道は途切れているのですが、よく見てみると発電所の手前で左側にそれる細い道があります。
この道を進んでみると……。
ひたすら山奥へ繋がるこの道も最終的には行き止まりのようです。
ツイートで話題になっている道はストリートビューの写真もないような山深い場所。参考までにこの付近の林道の様子をストリートビューで確認してみると、
絶対に通りたくない……!方向感覚が狂ってしまいそうなほど周囲には木が迫っている、まさに狭隘道です。
それもそのはず、この付近を衛星画像で見てみると、道なんてものはほとんど確認できない山間部なのです。
この道の目的は……?
舗装されている普通の道から1本それただけでこのような山深い場所に入れてしまうこの道、いったい誰が通るのでしょうか。
日本各地の過酷な林道(オフロード)をいくつも走破した経験のあるフォトグラファー山岡和正さんにお話をうかがいました。
――この道は何のためにつくられたと思いますか?
以前は豊川沿いから支流沿いに伸びる山へのアクセス道が、発電所を設置後管理のため発電所から橋までを整備したように思えます。
――発電所の手前からそれた道も最後は行き止まりになりますが、こちらの道はどう使われているのでしょうか?
地元の人が山へアクセスする道か、杉などの植林を切り出すための林業用でしょう。
国土地理院の地図でも道路がはっきりと記されていますので、問題なく通れると思います。舗装されているかもしれません。
意外と通れる?過酷な林道。しかし注意点も
用事がなければ、お地蔵さんに無事を拝まれてまで入って行きたくはない今回の道、しかし実は日本にはこういった林道は多く存在し、山間部へ旅行をする際など、通らざるを得ないシーンが出てくることも考えられます。
山岡さんによれば、こういった林道は役所もリアルタイムで現状を把握しているわけではなく、昨日まで通れた道が今日は崩れて無くなっているということもよくあるとのこと。
「崖崩れや倒木はもちろん、突然、動物が前を横切ったり、石の欠片でタイヤがバーストしたりといった非日常的な想定外のアクシデントが起こるのが林道です。オフロードへ入り込むなら複数台で行くのが基本ですし、工具はもちろん、スコップ、牽引ロープ、サンドラダー、などリカバリーできる装備も必要になります。大きな車は身動きが取れなくなることもあるので特に注意が必要です」と、オフロードを通る際には、普段以上に細やかな注意が求められるということです。
「無事に帰ってね!」の看板は逆に恐怖心をあおる強烈なインパクトを持っていましたが、こういった道に入るときはそれくらいの気概が必要だということでしょうか。
林道に入る際には是非とも無事に帰ってきてください。
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(執筆者: ねぎしだいすけ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか