旅行や出張、またはちょっと荷物が多い人がキャリーケースを転がしている姿は、もはや街と同化していて不思議でも何でもない。
都市部では人にぶつかるケースも多くなり、駅では注意放送がされる機会も耳にする。
もちろん周りに配慮せず、転がす使い方に問題がある場合が多いのだが、普段あまり使わないキャリーケース初心者の記者があえて取材旅行に使用してみた。さらにコスプレ大好きモデルでキャリーケースが必修アイテムだという蘭乃まなみさんにレビューしてもらった。
使用したのは、イオンのプライベートブランドであるトップバリュセレクトの『LIGHTOUGH(ライタフ)』キャリーケースだ。
ラインナップは26.2L(税込み24624円)と45.2L(同27864円)の2種類。カラーは各サイズともホワイト、ネイビー、ブラックの3色。
今回使用したのは、26.2Lの小型のもので、カラーはネイビーだ。
まずは重いものを軽々と運ぶことができるキャスター。
1軸に2輪を配して4軸とした8輪構成。
ダブルホイールシステムという名称がついている車輪は日本製だ。ここは信頼度が高そうである。
ジッパー式ケースのロック部分はTSAロックを採用。
米国に旅行の際は目視検査のために預託手荷物にロックをしてはならないことになっているが、TSAロック搭載のケースは係官がマスターキーを持っているのでロックを掛けてもよい。
写真はジッパーの片側。二重構造で、パンパンに膨れがちなケースのジッパーが裂けるリスクを軽減している。
ケースを広げた状態と付属品一式。
4軸8輪構造なので、ケースを開けても安定して自立する。
こういう状態で撮影機材を裸のままで持ち歩くことはないが、一眼レフカメラ2台、レンズ3本、外部ストロボに4段三脚を入れてもまだ余裕がある。
ちなみに、空荷の状態で見た限りでは容量は小さいように見えたのが、実際にはかなり入る。
普段使用しているカメラバッグを中ぶたを開放して、そのまま入れて取材旅行に出かけた。このままでは高さが合わずケースは閉まらない。
大きさをわかりやすく表示するために便宜的に作って張り付けた黄色いシールは、約20センチメートル。
上から少し押さえてジッパーを閉じていくと、難なく収まった。
寝台特急サンライズ出雲号285系電車のB寝台シングル個室。玄関部分にも荷物置き場にもはみ出すことなく収まる。
次は山陽・九州新幹線N700系7000番台電車の普通車指定席。
東海道・山陽・九州新幹線程度のシートピッチがあれば、荷物だなに上げなくても特に問題はない。
次は、都市部ではかなり普及しているノンステップバス。日野・西日本車体工業製のバスだが、どのシャシーメーカー・コーチビルダーが製造した車両であっても、大した違いはないので路上から持ち上げてしまえば問題はない。
ただしハイデッカーの高速バスであれば、トランクに入れてもらう方が無難だろう。
最後は航空機で、もちろん機内持ち込み可能サイズ。
ボーイング767-300型機のハットラックだが、ワイドボディ機でこのクリアランスなので小型機でも問題はないだろう。
降機の際、ドアが開くまでの間に通路に対して縦方向に置いてみた。
最近は預託手荷物に別料金が必要なLCCの台頭や、返却を待つ時間が煩わしくて機内持ち込みとする旅客が増加傾向にあると思われるが、その分だけ機内の混雑が増すことになる。
カーペット上であっても8輪あれば難なく移動させることができるので、降機の際に特に持ち上げる必要はなかった。
大きな問題もなく、取材旅行を終えたのだが、今度は普段からキャリーケースを愛用している人の視点から話を聞いてみた。
蘭乃まなみさんは、声優、イベントコンパニオンをこなし、コスプレ大好きなモデルさん。
コスプレイベントや撮影会場までは必ずキャリーケースを使う。というよりも、これがないと衣装や小物が運べないという。
写真で大きさや高さを実感していただきたいが、彼女の身長は165センチメートルで、撮影時は約5センチメートルのヒールだということなので、おおむね170センチメートルと考えればよい。
--撮影で引いてみていかがでしたか?
「4輪(軸)なので、小回りが利きますね。容量もそれなりに大きいし、素材が硬くなくて割れにくいのが良さそうです。気が付いた点は、横位置にした時に取っ手がないことかな。階段の上り下りや飛行機に乗るときは背が低い女子は横位置で持つことが多いのです。その時に取っ手がないと持ち上げて縦位置で持つか、転がすしかないのでそこが気になりました。それと東京は人が多いので後ろに引いて歩くことはしません。ぶつかって危ないんです。横で引くか、前で押すかのどちらかです。そうなると軽く、その場でてくるくる回るのはいいですね」
記者注:大型の45.2Lタイプは横にも取っ手が付いている
主な素材はポリプロピレンで、スーツケースによくみられるポリカーボネートではない。
ただし、復元力があり柔軟性に富むので割れることはないだろう。また、本来の使用方法ではないだろうが、立てた状態で座ってもびくともしない。重量制限が厳しい航空機利用にあっては、最も軽量なプラスチックであるポリプロピレンであることは有利に働くと思われる。
--ところで何台も使ってきたとのことですが、替え時というか捨てる時の要因は何ですか?
「大小さまざまなものを使っていますが、一番の理由はキャスターの故障です。外れることはありませんが、壊れて動かなくなることが一番多いです。これ、日本製なんですか? へー、強そうですね」
--確かにキャスターは地面と接するので壊れやすそうですね。他に買い替えの理由はありますか?
「次の理由は割れでしょうか。さっきも言いましたけど、硬い素材のものは最後は割れて終わるんですが、これはいい意味で柔らかいので割れずに済みそうです。あとは、ハンドルが2本足のものが壊れて戻らないことがよくあります。戻らないだけだと”まぁいいか!”で済ませますけど、これはシングルアームハンドルなのでそういう故障がなさそうで興味があります」
記者注:大型の45.2Lタイプは2本足ハンドル
--一番多い価格帯はいくらくらいですか?
「そうですね。私はコスプレイベントでいつも使っていて旅行で使う方よりも圧倒的に使う頻度が高いので、消耗品と考えて6000円から8000円くらいの安いもので済ませます。海外旅行で年に数回程度しか使わない方は高いものを使っている印象があります。これいくらです? 22800円ですか? 本当に耐久性があるのであれば、取り回しもいいし軽いのでその価値はあると思いますけど、こればかりは長く使ってみないとわかりませんよね」
価格で比較すると有名メーカー製が2万円から3万円程度、ブランド品となると5万円を超えるものもあり、しかし蘭乃さんの話のように1万円を切るものも多く存在する。
使う人のスタイルと使用シーン、それに価格を天びんにかけて一般的な価格帯のものを選択するであれば検討に値すると思われる。
参考にして店頭で転がしてみていただきたい。
※写真はすべて記者撮影
モデル 蘭乃まなみ
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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