――子どもを殺すシーンがありますが、怒られませんでした?
イライジャ「ありがとうって言われました(笑)」
映画『ゾンビスクール!』で主演と製作を務めるイライジャ・ウッドに質問をぶつけたところ、意外な答えが返ってきました。映画『ゾンビスクール!』は、給食のチキンナゲットを食べた小学生がゾンビウイルスに感染し、教師たちを喰ってやろうと学校中を駆け巡る痛快なホラーコメディ。しかしながら、教師たちも自分たちの身を守るために、子どもたちを殺さなければいけないわけで……。
イライジャ「実は僕らも怒られるのではないかと身構えていたんですが、サンダンス映画祭のQ&Aのコーナーで、教師をしている5~60代の女性の観客が“ただひとこと、ありがとうと言いたいです”と言ってきたんです(笑)。彼女にとっては、長年教師をしてきた苦労が一気に洗い流された気分になったみたい」
イライジャ「この映画の子どもを殺すシーンのポイントは、他に選択肢がないということ。彼らが普通の子どもに戻れるというという希望が全くないということを明確に提示して、“キッズゾンビたちを殺すしかなくなる”という展開にしているんです。なので、反発を買うようなことにはなりませんでしたね」
――沢山の子どもが大人を襲うという設定はスペインのホラー映画『ザ・チャイルド』(1976)を思い起こしました。なにか影響を受けましたか?
イライジャ「『ザ・チャイルド』はとても意識しています。特に参考になったことは、『ザ・チャイルド』の子どもたちはモンスター化することがなく、子どもたちのままということですね。子どもの本能のまま行動しているんだけど、それが殺りくに向かってしまうという。この映画でもその部分をどう見せるのかという点はすごく重要でした。子どもらしさはキープしつつ、子どもだからこそ残酷さが増幅されてしまうんです」
――沢山の子どもたちとの撮影はいかがでしたか?
イライジャ「すごく楽しかったですね! みんな感染した役どころなのでメイクもグロくて、ハイパーやる気まんまんな子どもたちが沢山いました。メイク用のテントに沢山の子どもたちが集まった姿はまるでハロウィンみたいでしたね」
イライジャ「沢山の子どもたちに、“どのくらい暴力的になっていいのか”を説明しつつ、テンションをキープしてもらうのはすごく難しいことで、ひとつの挑戦でもありました。でも、すごいと思ったのは一度理解すれば本気で演技を楽しんでくれたことかな」
――完成した作品を観ていかがでしたか?
イライジャ「とにかく自分自身ウケちゃったし、ホラー要素も効果的に効いていたと思います。僕らが作りたかったイメージ通りの映画ができたと誇らしく思いました。でもホラーのファンって映画の知識がとても深くて、読み解く力もすごく持っているので、どんな反応が返ってくるかはとても緊張しましたね」
――もともと製作に携わっていたイライジャさんが、その過程で主演を務めることになったのはなぜでしょうか?
イライジャ「僕は大好きなジャンル映画・ホラー映画をサポートしたくて製作会社(Spectrevision)を立ち上げ、この作品も製作しているんですが、自分が自分の製作会社の作品に出演することには反対だったんです。それは役者である自分と製作者である自分を混同したくないから。しかしキャスティングの段階で、共に製作をしている仲間たちに“君がやるべきだよ!”と説得されました。結果的に“やってよかった”と本当に思っています。僕の演じた主人公はなんだか変人で、コメディの余地もすごくあるキャラクターだったからすごく楽しかったし、大好きなコメディの役者たちと共演できたこともとても嬉しかったですね!」
――近年、ホラー映画の製作に力を入れているのはなぜでしょうか?
イライジャ「これまで作られていないようなホラー映画を作りたいと思って製作会社を設立したんです。実際に製作をする時の基準も、“他の人がやっていないか”という要素はとても大きい。企画に共鳴してくれる人を探すのはとても難しいけれど、自分達がワクワクするアイデア・コンセプトを企画して、大好きなクリエイターたちと仕事ができることはすごくワクワクしますね。どの企画にしても僕らにしては新しい挑戦ですよ! 必ずしも商業的に分かりやすいものを手掛けている訳ではないけどね(笑)」
ホラー映画製作の情熱を語ってくれたイライジャ。彼が今後手がける“これまでにないホラー映画”にも是非とも期待したいところです。まずは映画『ゾンビスクール!』を劇場でお楽しみください! 映画『ゾンビスクール!』は2月13日よりシネマサンシャイン池袋にて先行公開ののち、2月20日より全国公開ですッ! どうぞお楽しみに! 先生なんて喰っちまえー!!!!
おまけ小話:“役者である自分と製作者である自分を混同したくない”とイライジャは語っている一方で、今作の脚本を務めながら出演もしているリー・ワネルは「いい役を得るには自分で脚本を書くこと!」と語っています。[記事リンク]そんなふたりの違いも心に踏まえつつ、ぜひお楽しみください!
公式サイト:http://www.zombieschool.jp/[リンク]
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